ホームレスを装備しました(この小説はホームレス専用の小説です! ホームレスではない方は見ないでください!)

大和田大和

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逆チェックメイト!

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空気中を漂っていた宝石片は次第に地面に羽を下ろす。空気は透明性を取り戻した。地面は赤、青、緑、黄色、透明、紫色に輝く。宝石の撒き散らされた地面はまるで花畑。様々な花が咲き乱れ、その美しさを競い合う。贅沢と豪華を頂点まで極めたような景観は私のここをを不快な気持ちでいっぱいにした。

「私はずっとホームレスだったから宝石なんて見たことがなかった」
私の声が空に向かって吸い込まれる。
「石ころ一つでホームレスが何ヶ月も生きていけるほどの価値があるって聞いていたから、どれくらい綺麗なのかと思って、ずっと見てみたかった」

私は地面に散った宝石を脚で無造作に踏みつけた。石が砕けて破片になるような無機質な音が広がる。
「でも実際に目にしたら大して欲しくもないわ」
私が靴をどかすと、砕けた宝石が無念の表情を浮かべていた。もう先ほどの輝きは完全に失われていた。地面に溶けた価値ある宝石はもはやただの塵となった。

「こんなもののために、パパは搾取を繰り返していたの?」
王様は何も言わずに、腰を上げた。
「この国にはホームレスたちがたくさんいる。この宝石をその人たちに分けてあげれば、貧困なんて今すぐにでもなくなるのに」

王様は座っていた玉座に右手で触れた。すると巨大な宝石でできていた玉座は、音を立ててその姿を変形させていく。そして、大きな剣の形に変わった。この世の贅を押し固めたような巨大な剣だ。
「もうこんなことやめてよ、パパ」
私の心の叫びは誰にも届かなかった。ただ虚しく空に溶けて消えてしまった。
「桜、お前を殺す」
王様は私の名前を呼んだ。もう忘れかけていた自分の本当の名前が私の耳にそっと触れた。

そして、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。音を立てて火花が飛び交う。戦場はまるで地獄の底のようだった。

戦闘開始と同時に、私は空に落ちた。
「な、何これっ?」
体が惑星の重力に逆らって、空の方向に落ち始めたのだ。
「気をつけろ! 王の装備だ!」

私は素早く体の向きを逆転させて、玉座の天井に降り立った。今、私と黒髪の少年は上下反転して天井に両足で立っている。空が地面の代わりに私の体を引っ張っているみたいだ。天井に立つのは妙な気分だった。
続いて、右からアジの魚群が襲い来る。何百匹ものアジは私たちの体に勢いよくぶつかった。気づいたら私は海中にいた。

(何がどうなっているの?)

素早く周囲に目線を滑らせた。ここは間違いなく海中だ。玉座の天井に五立法メートルほどの立方体の海がある。そっくりそのまま海を切り取ってテレポートさせたみたいだ。これも王様の能力なのだろうか?
すると、今度は、私たちのいる海水が地面に叩きつけられた。戦場は再び天井から地面に戻る。足元にはアジが水を失って、体を身悶えさせている。全身の筋肉を使って必死の抵抗を続けるがやがて動かなくなった。私は落とした剣を拾った。

「大丈夫か?」
「ええ! 相手が何を装備しているかわからないけど、冷静に対処しましょう」
その瞬間、黒髪の少年を私の剣が刺した。
「ぐっ。何をするっ?」
少年は剣を引き抜いて、距離を取る。
「ちょっと待って。手が勝手に動いたの。王様の能力よ!」
そして、次は黒髪の少年がこちらに向かって斬りかかってきた。
「だから操られているって言っているでしょ! 攻撃をやめて!」
私は彼の攻撃を、彼を傷つけないように躱す。
「俺も操られているんだ! 早く躱せ!」
しばらく斬り合った後、ようやく能力が解けたのか私たちは、自身の体の主導権を取り戻した。
「大丈夫?」

「ああ。致命傷は受けていない」
気づけば、私たちは満身創痍になっていた。まだ一撃も王様に加えていないのに、こちらはボロボロだ。目立つ外傷はないが、体のあちこちから宝石のように赤い血が流れている。
「まだ戦えるわよね?」
「ああ」
私たちは王様の方を向いた。

「俺はもうあなたの考えに賛同できない。俺のつるぎはあなたという悪を砕く!」
「私たちは絶対に諦めない! この国の運命は私たちの手にかかっている。ここで諦める選択肢も敗北する選択肢もない! 運命なんかに絶対に屈しないっ!」
そして、その後、何の抵抗もできないまま、一方的に敵に叩きのめされた。勇気を踏みにじられ、努力を嘲笑われ、精一杯の抵抗すらさせてもらえなかった。それはまるで何もできずに死を待つホームレスの運命のようだった。

嬲られ、痛めつけられる。全身が炎を纏っているように熱い。斬り付けられ、蹴り飛ばされて、殴られて、突き刺された。燃やされて、溺れさせられて、体を生きたまま焼かれた。射抜かれて、毒に侵されて、窒息しかけた。上からの圧力で潰されて、殴打され、締め付けられた。この世に存在する全ての攻撃を食らったような気がした。
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