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2、囚われる男
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「どうして起きないの?」
「心配はいりません。医師が疲労がたまっているだけだと言っていたではありませんか。時間が経てば目覚めます」
「そう……早く起きてね、レオンさん」
二人の声に意識が揺れる。
誰だ……?
名前を呼ぶ声に、まぶたは固く閉じたまま。
レオンは再び深い眠りに落ちた。
まぶしい……。
顔を照らす光に目が覚める。
寝返りをしようとすると何かに阻まれる。
グッと引っ張られる身体に「ウッ」と声が漏れる。
左腕に冷たい感触。
違和感を覚えて重い瞼を上げると、鎖が繋がれていた。
「なん、だこれ……」
数年ぶりに話したような、枯れた声。
レオンは眠りから覚め、自分がどんな状況に置かれているのか周囲を見渡した。
ベッドに繋がれている鎖。
レオンが寝ているベッドを中心に配置された家具。
狭いとまでは言わないが、家具は鎖の届く範囲に配置されている。
まるで檻の中の獣――それが今の自分だった。
ガチャッ
ノックなしに開かれたドア。
レオンは身構える。
入ってきたのは――、あの碧い瞳の少年。
少年はレオンを見ると、驚いた顔の後、パッと笑顔を浮かべた。
「体調は大丈夫ですか?」
「…………」
ソファに座って無視するレオンを、気絶させ誘拐した張本人である少年が心配そうに見ている。
正確には、ドア脇に立つ騎士が実行犯だろう。 レオンは痛む腕を無意識に触った。
少年が部屋に入ってきた時。
レオンは少年に襲いかかった。けれど、レオンの腕は少年に届くことなく騎士によって取り押さえられる。
ベッドに押さえつけられるレオンを少年が騎士を止めたことにより、レオンは拘束から解放される。
一度ならず二度までも騎士の気配に気付けなかった自分に、レオンはショックを受けていた。
少年はマルセルと名乗った。
そして、自分はレオンが酒場で見たローブを着た人物であると告げた。
線が細く、中性的な儚さ。
一度見たら忘れられない美貌。
淡い金髪。 宝石のような碧い瞳。
水を差し出すマルセルを、レオンは警戒しながら受け取る。
水を飲むレオンを心配そうに見る、毒気のない無垢な顔。レオンは誘拐された身でありながら不思議と警戒心が薄れていった。
だが、この瞳――、どこかで見たことがあるような……。
「…………俺たちどこかで会ったことがあるか?」
マルセルの動きがピタッと止まる。
主人の異変に反応してか、ドアの前で静かに立っている騎士の目が鋭くなったのを感じた。
何かまずいことを言ったか?
部屋の雰囲気が変わったことに混乱していると――。
「レオンさん」
先程までの純粋な笑顔が嘘のように、マルセルは妖艶な笑みを浮かべた。
レオンは動揺を悟られないように冷静を装いながら、生唾を飲んだ。
「なんだ?」
レオンの緊張を知ってか知らずか、マルセルはクスッと笑う。そして、どこからか取り出したモノを手に持つ。
欲を孕んだ目でレオンを見つめ――。
「僕のモノになってくれますか?」
ご飯を誘うような軽さと自然さ。
黒革に銀の金具。鎖と繋がるリングが揺れる。
マルセルは首輪を差し出した。
「心配はいりません。医師が疲労がたまっているだけだと言っていたではありませんか。時間が経てば目覚めます」
「そう……早く起きてね、レオンさん」
二人の声に意識が揺れる。
誰だ……?
名前を呼ぶ声に、まぶたは固く閉じたまま。
レオンは再び深い眠りに落ちた。
まぶしい……。
顔を照らす光に目が覚める。
寝返りをしようとすると何かに阻まれる。
グッと引っ張られる身体に「ウッ」と声が漏れる。
左腕に冷たい感触。
違和感を覚えて重い瞼を上げると、鎖が繋がれていた。
「なん、だこれ……」
数年ぶりに話したような、枯れた声。
レオンは眠りから覚め、自分がどんな状況に置かれているのか周囲を見渡した。
ベッドに繋がれている鎖。
レオンが寝ているベッドを中心に配置された家具。
狭いとまでは言わないが、家具は鎖の届く範囲に配置されている。
まるで檻の中の獣――それが今の自分だった。
ガチャッ
ノックなしに開かれたドア。
レオンは身構える。
入ってきたのは――、あの碧い瞳の少年。
少年はレオンを見ると、驚いた顔の後、パッと笑顔を浮かべた。
「体調は大丈夫ですか?」
「…………」
ソファに座って無視するレオンを、気絶させ誘拐した張本人である少年が心配そうに見ている。
正確には、ドア脇に立つ騎士が実行犯だろう。 レオンは痛む腕を無意識に触った。
少年が部屋に入ってきた時。
レオンは少年に襲いかかった。けれど、レオンの腕は少年に届くことなく騎士によって取り押さえられる。
ベッドに押さえつけられるレオンを少年が騎士を止めたことにより、レオンは拘束から解放される。
一度ならず二度までも騎士の気配に気付けなかった自分に、レオンはショックを受けていた。
少年はマルセルと名乗った。
そして、自分はレオンが酒場で見たローブを着た人物であると告げた。
線が細く、中性的な儚さ。
一度見たら忘れられない美貌。
淡い金髪。 宝石のような碧い瞳。
水を差し出すマルセルを、レオンは警戒しながら受け取る。
水を飲むレオンを心配そうに見る、毒気のない無垢な顔。レオンは誘拐された身でありながら不思議と警戒心が薄れていった。
だが、この瞳――、どこかで見たことがあるような……。
「…………俺たちどこかで会ったことがあるか?」
マルセルの動きがピタッと止まる。
主人の異変に反応してか、ドアの前で静かに立っている騎士の目が鋭くなったのを感じた。
何かまずいことを言ったか?
部屋の雰囲気が変わったことに混乱していると――。
「レオンさん」
先程までの純粋な笑顔が嘘のように、マルセルは妖艶な笑みを浮かべた。
レオンは動揺を悟られないように冷静を装いながら、生唾を飲んだ。
「なんだ?」
レオンの緊張を知ってか知らずか、マルセルはクスッと笑う。そして、どこからか取り出したモノを手に持つ。
欲を孕んだ目でレオンを見つめ――。
「僕のモノになってくれますか?」
ご飯を誘うような軽さと自然さ。
黒革に銀の金具。鎖と繋がるリングが揺れる。
マルセルは首輪を差し出した。
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