4 / 47
3 婚約破棄⑵
しおりを挟む
かつての私はエドワードの『僕が望んだ事じゃない』という言葉に何も言うことが出来なかった。
婚約者の浮気に悩まされる事も、エドワードのことで女子生徒に陰口を言われるのも、私が望んだ事ではなかったのに。
でも、言葉を口にすれば惨めな自分をエドワードに知られるようで嫌だった。
私達は母親同士の仲が良く、親が決めた婚約者で、幼馴染みの延長線で婚約者になっただけ。そこに友達としての愛はあれど、異性としての愛はない。
ただの幼馴染みならどれほど良かったか、エドワードに婚約を解消しようと言おうとした事は何度もあった。
でも、エドワードの亡きお母様の言葉である『シャーロットちゃんがお嫁さんになってくれたら嬉しいわ』『エドワードをよろしくね』という言葉が呪いのように私を苦しめる。
そして、エドワードの浮気と女子生徒からの陰口に耐えれなかった私は外国に留学する事を決めた。
外国に留学してもエドワードの浮気は治らなかったが、私が悩んでる事を知った両親は婚約を私の判断で破棄していいと言ってくれたお陰でエドワードの浮気を気にせずに留学する事ができた。
まさか、帰国して直ぐに婚約者の浮気をゴシップ紙で知る事になるとは思わなかっけれど……
◇◇
笑いながら怒る私を困惑した顔で見るエドワードに言葉を続ける。
「エドワードは私がどうして留学に行ったのか知ってる?」
「それは…学びたい事があったからじゃないの?」
「確かにそうだけど、国内でも十分に学べたし、学園を卒業してからでもよかったわ」
「私が外国に行ったのはあなたのせいよ。あなたのせいで私がいじめられていたの知らないでしょう?」
「いじめ、られてた……?」
私の言葉にエドワードは驚いた顔をした。
エドワードは私がいじめられてた事を本当に知らなかったみたいね。助けて欲しかったあの頃の私はもういないのに、胸が痛むのはどうしてかしら…
「どうして…どうして、相談してくれなかったの?」
「相談しようとしたわよ。でも、あなたが言ったのよ『僕が望んだ事じゃない』って。そう言われたから、エドワードに言うのは無駄だと思って留学を決めたの」
数年ぶりの真実を知って、エドワードは驚いているけれど、学園時代も今も自分の行動で何が起きるか分からないのは変わっていないらしい。
「エドワード、あなたは今も昔も自分の行動に自覚を持つべきよ。未婚の男女が勘違いされるような場所で会うのは控えないといけないし、あなたは婚約者がいる身でしょう?それに、経済省長官子息であり、職員のあなたは令嬢とはいえ、関係者との私的な交友をするべきではないわ。これは、婚約者でもあり、幼馴染みとしての最後の忠告よ」
婚約者として、そして幼馴染みとして最後の助言だった。
「この事についてアマン卿は何と?」
私の言葉に俯いたまま沈黙していたエドワードから発せられた言葉は、私の父についてだった。
「お父様は婚約については私の好きなようにするように言われているわ。ゴシップ誌については…快くは思っていないでしょうね」
項垂れるエドワードを置いて、私は帰る準備を整える。
テーブルに婚約破棄の書類を置いて席を立った。
「この資料にサインをして屋敷に送ってちょうだい。なるべく早くに送ってくれるとありがたいわ」
「待ってくれシャーリー。こんな事で僕達の関係が終わってしまうのか?」
扉に向かう私をエドワードが慌てて引き止める。
"こんな事"ですって?
エドワードにとっては"こんな事"でも、私には長年苦しめられしきた事なのに。
エドワードは最後まで私を傷付けたいらしい。
「勘違いして欲しくないのだけど、婚約破棄は前から考えていた事なの。この記事はきっかけに過ぎないわ」
言うつもりがなかった言葉が毒となって口から出てくる。
「あなたが浮気をするたびに、私は惨めな思いをして来たわ。婚約者から愛されない女なんて言われたけど、気にしないで、これからはただの"幼馴染み"に戻るだけだから」
エドワードの傷付いた顔を見ても私は口を止める事が出来なかった。
これだけ言うと幼馴染としての関係も終わってしまいそうだが、「さようなら」と言って今度こそ私は部屋を後にする。
婚約者の浮気に悩まされる事も、エドワードのことで女子生徒に陰口を言われるのも、私が望んだ事ではなかったのに。
でも、言葉を口にすれば惨めな自分をエドワードに知られるようで嫌だった。
私達は母親同士の仲が良く、親が決めた婚約者で、幼馴染みの延長線で婚約者になっただけ。そこに友達としての愛はあれど、異性としての愛はない。
ただの幼馴染みならどれほど良かったか、エドワードに婚約を解消しようと言おうとした事は何度もあった。
でも、エドワードの亡きお母様の言葉である『シャーロットちゃんがお嫁さんになってくれたら嬉しいわ』『エドワードをよろしくね』という言葉が呪いのように私を苦しめる。
そして、エドワードの浮気と女子生徒からの陰口に耐えれなかった私は外国に留学する事を決めた。
外国に留学してもエドワードの浮気は治らなかったが、私が悩んでる事を知った両親は婚約を私の判断で破棄していいと言ってくれたお陰でエドワードの浮気を気にせずに留学する事ができた。
まさか、帰国して直ぐに婚約者の浮気をゴシップ紙で知る事になるとは思わなかっけれど……
◇◇
笑いながら怒る私を困惑した顔で見るエドワードに言葉を続ける。
「エドワードは私がどうして留学に行ったのか知ってる?」
「それは…学びたい事があったからじゃないの?」
「確かにそうだけど、国内でも十分に学べたし、学園を卒業してからでもよかったわ」
「私が外国に行ったのはあなたのせいよ。あなたのせいで私がいじめられていたの知らないでしょう?」
「いじめ、られてた……?」
私の言葉にエドワードは驚いた顔をした。
エドワードは私がいじめられてた事を本当に知らなかったみたいね。助けて欲しかったあの頃の私はもういないのに、胸が痛むのはどうしてかしら…
「どうして…どうして、相談してくれなかったの?」
「相談しようとしたわよ。でも、あなたが言ったのよ『僕が望んだ事じゃない』って。そう言われたから、エドワードに言うのは無駄だと思って留学を決めたの」
数年ぶりの真実を知って、エドワードは驚いているけれど、学園時代も今も自分の行動で何が起きるか分からないのは変わっていないらしい。
「エドワード、あなたは今も昔も自分の行動に自覚を持つべきよ。未婚の男女が勘違いされるような場所で会うのは控えないといけないし、あなたは婚約者がいる身でしょう?それに、経済省長官子息であり、職員のあなたは令嬢とはいえ、関係者との私的な交友をするべきではないわ。これは、婚約者でもあり、幼馴染みとしての最後の忠告よ」
婚約者として、そして幼馴染みとして最後の助言だった。
「この事についてアマン卿は何と?」
私の言葉に俯いたまま沈黙していたエドワードから発せられた言葉は、私の父についてだった。
「お父様は婚約については私の好きなようにするように言われているわ。ゴシップ誌については…快くは思っていないでしょうね」
項垂れるエドワードを置いて、私は帰る準備を整える。
テーブルに婚約破棄の書類を置いて席を立った。
「この資料にサインをして屋敷に送ってちょうだい。なるべく早くに送ってくれるとありがたいわ」
「待ってくれシャーリー。こんな事で僕達の関係が終わってしまうのか?」
扉に向かう私をエドワードが慌てて引き止める。
"こんな事"ですって?
エドワードにとっては"こんな事"でも、私には長年苦しめられしきた事なのに。
エドワードは最後まで私を傷付けたいらしい。
「勘違いして欲しくないのだけど、婚約破棄は前から考えていた事なの。この記事はきっかけに過ぎないわ」
言うつもりがなかった言葉が毒となって口から出てくる。
「あなたが浮気をするたびに、私は惨めな思いをして来たわ。婚約者から愛されない女なんて言われたけど、気にしないで、これからはただの"幼馴染み"に戻るだけだから」
エドワードの傷付いた顔を見ても私は口を止める事が出来なかった。
これだけ言うと幼馴染としての関係も終わってしまいそうだが、「さようなら」と言って今度こそ私は部屋を後にする。
75
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる