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7.懐かしい瞳
服の上からでも分かるがっしりとした肩幅に、見上げるほど高い背丈。
強い意志を感じる藍色の瞳に、通った鼻筋。
攻略対象であるイサークや、ルペルトに引けをとらない整った顔立ち。
戦争を勝利に導いた褒章として、爵位を与えられ騎士団長まで上り詰めた男アルフレッド・ヴァルモンド。
ナディアが初めて彼を見たのは戦勝パーティーの夜だった。
主役にも関わらず笑顔を一切見せないその姿に、驚いたのを覚えている。
それ以降は遠目でしか見たことがなく、『権力に固執した冷徹な男』と大人たちに囁かれていた印象だけが残っている。
そんな彼が、なぜイサークから私を助けてくれたのか。理解ができない。
ちらりと隣を歩くアルフレッドを見上げる。
「……どうかされましたか?」
イサークと話していた時とはまるで違う、落ち着いた低い声。
藍色の瞳が柔らかくこちらを見つめ返す。
その視線に、ナディアは理由もなく胸がざわついた。
「ヴァルモンド卿は、なぜ私を助けてくださったのですか?」
「あなたが困っていたから」
あまりにもシンプルな答えに、ナディアは言葉を失う。
「私を助けた何の得にもなりません。第二王子を敵に回すのは、騎士団長として得策ではないはずです」
アルフレッドはわずかに首を傾げ、静かに口を開いた。
「ナディア嬢は覚えておられないかもしれませんが、私は何度もあなたに助けられているのです」
「……え?」
何度も?
そんな記憶はない。
アルフレッドのような男性を忘れるはずがない。
記憶を辿ろうとすると、転生前の記憶の断片と、元のナディアの記憶が頭の中で混濁しざわめき合う。
「いつ……?どこでですか?」
アルフレッドは答えず、ただ視線を前に戻した。
夕陽が彼の横顔を赤く染め、藍色の瞳に影を落としている。
「いずれ、お話しする機会もあるでしょう」
その声は静かで、長い間封じていた何かを解き放つような意味深な響きを持っていた。
「……お手をどうぞ」
いつの間にか馬車乗り場に着いていた。
差し出された大きな手に、ナディアは一瞬だけ躊躇する。
けれど結局、その手に自分の細い手をそっと重ねた。
馬の蹄が石畳を叩く。
遠ざかる王宮を背に、ナディアは静かに瞳を閉じる。
私を見つめる藍色の瞳。
なぜ、あの瞳がこんなにも懐かしく感じるのだろう。
強い意志を感じる藍色の瞳に、通った鼻筋。
攻略対象であるイサークや、ルペルトに引けをとらない整った顔立ち。
戦争を勝利に導いた褒章として、爵位を与えられ騎士団長まで上り詰めた男アルフレッド・ヴァルモンド。
ナディアが初めて彼を見たのは戦勝パーティーの夜だった。
主役にも関わらず笑顔を一切見せないその姿に、驚いたのを覚えている。
それ以降は遠目でしか見たことがなく、『権力に固執した冷徹な男』と大人たちに囁かれていた印象だけが残っている。
そんな彼が、なぜイサークから私を助けてくれたのか。理解ができない。
ちらりと隣を歩くアルフレッドを見上げる。
「……どうかされましたか?」
イサークと話していた時とはまるで違う、落ち着いた低い声。
藍色の瞳が柔らかくこちらを見つめ返す。
その視線に、ナディアは理由もなく胸がざわついた。
「ヴァルモンド卿は、なぜ私を助けてくださったのですか?」
「あなたが困っていたから」
あまりにもシンプルな答えに、ナディアは言葉を失う。
「私を助けた何の得にもなりません。第二王子を敵に回すのは、騎士団長として得策ではないはずです」
アルフレッドはわずかに首を傾げ、静かに口を開いた。
「ナディア嬢は覚えておられないかもしれませんが、私は何度もあなたに助けられているのです」
「……え?」
何度も?
そんな記憶はない。
アルフレッドのような男性を忘れるはずがない。
記憶を辿ろうとすると、転生前の記憶の断片と、元のナディアの記憶が頭の中で混濁しざわめき合う。
「いつ……?どこでですか?」
アルフレッドは答えず、ただ視線を前に戻した。
夕陽が彼の横顔を赤く染め、藍色の瞳に影を落としている。
「いずれ、お話しする機会もあるでしょう」
その声は静かで、長い間封じていた何かを解き放つような意味深な響きを持っていた。
「……お手をどうぞ」
いつの間にか馬車乗り場に着いていた。
差し出された大きな手に、ナディアは一瞬だけ躊躇する。
けれど結局、その手に自分の細い手をそっと重ねた。
馬の蹄が石畳を叩く。
遠ざかる王宮を背に、ナディアは静かに瞳を閉じる。
私を見つめる藍色の瞳。
なぜ、あの瞳がこんなにも懐かしく感じるのだろう。
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