最強魔法剣士が行く異世界自由冒険譚

fan

文字の大きさ
20 / 24
第1章

1-18 嵐の前の優しさ

しおりを挟む
ウォートロールの1件から3日経った。
これと言って目立った事は特にない。
いや、あるにはあった。

あの日、『愚連隊』のベルゼとレニスが変異種のウォートロールの事をギルドに報告しに行き、それらが受理され報酬をかさましで貰えた。

その後ティータさんがこちらに光の速さかと見間違う勢いで俺の隣に立ち可憐な笑顔と共にこう言った

「アルヴィスさん、もしかしたら怪我等しているかもしれません職員用休憩室で見てあげますから来て下さい」

そう言いながら俺の手を取ろうとした瞬間、リーナがカルタの名人の如き勢いでティータの手をはたきおとす。

「結構、アルヴィスはウチの家で見るから」

そのセリフを聞いた他3名の目付きがさながら肉食獣の様に変わる。

「そうですわね。ギルドの方にも迷惑は掛けられませんから私達が見るとしますわ」

「そ、そうですね、私達のせいでもあるのでそれが妥当かもしれません。元姫である私に任せてください」

「アルヴィスさんの肉体の管理、精神のケア、宿屋で鍛えられた私もいるので問題ありませんよ」

「いやいや、そう言う訳にも行きませんよ。こういったことは早めにしておかなければいつ何が起こるか分かったものじゃないので。それに皆さんが寄って集ってした所で素人同然。こう見えて何人者の冒険者さん達の怪我の具合やケアを見て来た私だからできる事もあるしょう?」


ニコニコとティータさんとクレア達が火花を散らして睨み合う。


その後はご想像にお任せします。
ちなみに、俺は傷一つ負って無いから大丈夫と言ったら収まったとだけ言っておく。

「あっ!そう言えば」

ティータさんは何かを思い出した様にそう言った。

「アルヴィスさん、それと皆さんのパーティーに重大な報告がありました」

「えっ?重大な事なのに今思い出したんですか....それでその重大な報告というのは?」

彼女に呆れながら問う

「なんと、遂にアルヴィスさん達のDランク昇級試験が4日後に決まりました!」





「はぁ、明日には昇級試験か....」

此方に来た当初であればきっと喜んで勇んでいたであろうが、今はどちらかと言えば憂鬱でしかない。

「何で俺だけ外されてるんだ.....」

そう、ティータさんに俺だけパーティーから外れてくれとお願いされた。
それはきっと当たり前の事ではあるのだろう、今までの自分が打ち立ててきた功績を考えれば。
どの功績も結果的に見るとほぼ1人で成し遂げてしまった為に俺がパーティーに入ると皆の正確な実力が測れないかもしれないということらしい

昇級試験内容はこうだ。

Aランク冒険者パーティーとの模擬試合で彼等から合格を貰えればDランクに昇格が決定する。

とまぁ、かなり分かりやすい試験内容である。

おそらくこの試験に問われる物はパーティー内の連携だと思う。
連携?そんなの簡単な事じゃないかと思うかもしれないが案外馬鹿に出来ない。
格上の敵と戦う時に肝心の連携が取れてなければ簡単に殺されてしまう。
更に、今回の敵はAランクパーティーの冒険者だ、集団戦に於いてまず先に誰から倒すべきかをすぐに見当を付けそれをどうやって倒すか等、状況判断能力を問われる。
俺は、今まで1人で戦うすべを祖父に教えて貰って来たが集団戦となると話が違う。
俺は軍人では無い、周りと合わせて戦う事自体ウォーバルウルフが初めてであ
る。
拙いながらも指示を出したが其れも結局自身の能力が高かったからなんとかなっていただけかもしれない。
結局の所、俺が皆を信用出来て無いという話だ。

故に憂鬱だ。

彼女達はこの3日間連携の確認の為にクエストに出ている。

自分には、何も出来ない。

今までずっと1人だったから。

きっと普通の人の様に過ごして他者とのコミニュケーションをちゃんととれていればきっと上手く連携指示が出せただろう。

1人で戦う事ばかりして来た。

学校での集団生活、ハブられて目立たない為に他者と上手く付き合っているように見せて本当の所、何も思って無かった。

俺の今までの行いが結果として今自分に帰って来ている、そこまで考えてやめた。

「ダメダメ、こんなネガティブな事考えていても仕方ない。ポジティブに考えよう」

リーナ達が帰って来たら、簡単な戦闘の手解きを教えよう。
そう考えていて、自室のドアがノックされた

「アルヴィスさん、入りますよ?」

「ん?アリアンか、どうしたんだ?」

「お茶菓子を作ったので持ってきました、それとアルヴィスさんとお話でもしようと思って」

そう言って部屋の窓際に置いてあるテーブルへとお茶菓子をおくと2人で向かい合うように座る
彼女は窓から外の景色を眺めながら語り始めた

「アルヴィスさん、私達が出会ってもう2週間位経ちますね。初対面なのにアルヴィスさんにイタズラをして困らせて。更にリーナとクレアの事をお願いして...ふふっ何だか私アルヴィスさんの事を困らせてばかりですね。でも困った顔のアルヴィスさんはとても可愛くてついつい困らせたくなります」

本当に困った人だ。でもそんな彼女が微笑んでいる姿を眺めるのは結構好きだ。
だから隠し事をせず正直に言う

「でも、アリアンにはお世話になったから全然迷惑はしてないぞ?」

「えぇ勿論、本当に嫌がるような事はしないですよ。でも、昇級試験の事を聞かされてから憂鬱な顔されていましたから、少し心配になったんです。私がこんな事をお願いし無かったらそんな顔をさせるような事にならなかったんじゃないかなって」

驚きで少し目が見開く。

「驚いた、そんなに顔に出ていたか?結構上手く隠せていたと思ったんだけど」

「普段はあまり分かりませんが、ふとした時に」

「そっか、いや、お願い事の件に関しては全然そんな事思ってないよ、ただ今までの自分を見つめ直していて、もっとああ出来ていれば上手くリーナ達に戦い方教える事が出来たんじゃないかなって考えていてな...」

「そうですね、アルヴィスさんはなまじ戦い方を知っているが故に上手く伝えられなくてもどかしいんだと思います」

「...そうかもしれない」

アリアンはゆっくりと小さな子供を優しく諭すように言う

「でもね、誰だって最初があって初めてがあるんだから、そう思い詰めなくても大丈夫なの。失敗したら次に活かせばいい。これは誰にだって言えるし、何にだって言える事。だから大丈夫」

そう言って席を立ち俺の横に来るとアリアンは頭を撫でながら

「そんなクヨクヨしないで。アルヴィスは私達に何時いつだって何が必要かは教えてくれた、リーナやクレア、ティアル、もちろん私だって分かるよ」 



「だから何時もの貴方でいて」


「....っ!」

(そんな事にも気付かないで悩んでいるなんてまるで子供じゃないか!でも...)

何故こんなにもアリアンの言葉は自分の心を揺らすのだろうか。
時折見せる彼女の慈愛に満ちた言葉、行動全てが自分の心にあった重石を退けてくれる。

なら。

きっともう大丈夫。

1人で居なくていい。

1人で居ようとしなくていい。

何時だって彼女が、彼女達が一緒に居てくれるから。

なら自分も彼女達と一緒に歩いて行こう、同じペースで、同じ歩幅で。

そして今までの重石が消えて晴れ晴れとした気持ちになり、そして眠たくなって来る

(そう言えば、この3日間眠れてなかったっけ…)

「ありがとう。アリアン何時も俺達を見ていてくれて」

立ち上がり今にも襲いかかって来る眠気を抑えながらベッドへと向かう。

「うん」

「ごめん、何だか悩んでいた事を話したら眠たくなって来た」

「うん、分かってるよ」

アリアンは優しく頷く

そしてアルヴィスはベッドに倒れ込み最後にもう一度

「本当にあり...が...と」

襲いくる眠気に身を任せ、眠りにつく

「うん、私は皆と違って戦う事も出来ないから。皆が抱えてる悩みに気付いて上げてそれを解いて上げることしか出来ないから。私もお礼言わないと」

眠ったアルヴィスの近くまで行きしゃがんで寝顔を覗きながら頭を撫でる

「ウォートロールの時は、本当に駄目だと思った。諦めていた。けれど貴方はそれを覆す様に私達を助けてくれた。ありがとう。私の、私達の大好きなアルヴィス」

眠ったアルヴィスの頬にチョンとキスをして部屋から出る。

ドアを背に、アリアンはバクバクと鼓動する心臓を抑えて真っ赤になった顔の頬に手を当てて冷却をする

「皆には悪いけど少しフライングしちゃったかな」

そう呟いて廊下を歩き始める







ーーーーーーーーーーーーー

あとがき

この話を書いていて思う事はただ一つ
アリアンは可愛い

以上!





しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...