上 下
112 / 262
3 男を惹きつけてやまないミステリアスな女。なってやろうじゃないか! ミステリアスラビュリンス大暴走の私が行きつく先は…

20

しおりを挟む


目的地へ向かう途中、ナビはお相手の沢井彬さんの情報を伝えてくれた。

「沢井彬サン 43歳 スポーツ用品関係ノ 会社ヲ経営シテイマス。」

「えっ? 経営って…社長さんなの? でも、ちょっと年離れてるな…。」

「離婚歴アリ。バツ1デス。子供ハ ナシ。趣味ハ 旅行。登山。筋トレ。ソシテ………」

「ふ~ん、バツ1か…。離婚理由はなんだったんだろ…」


そうこうしているうちに目的地へ着いた。

待ち合わせの場所は神宮外苑にあるオープンテラスのレストランだった。

沢井さんはすぐに分かった。

椅子に座って寛いでいる姿はまるでモデルのようだった。

私とはまるで別世界の人間だ…。

この人は何故、私なんかと会おうと思ったのだろう…。

ナビのやつ、少しどころか別人クラスに私の事を盛ったのではなかろうか? 

一抹の不安を抱えながら沢井さんの座っている席に向かった。

「初めまして! 沢井です。」

沢井さんは立ち上がって挨拶した。

「初めまして。坂井です。」

沢井さんは爽やかな笑顔で私の座る椅子を引いてくれた。

ジェントルマンだなぁ…。

「おじさんでビックリしたでしょ?」

「いえ、とんでもない! 私と同年代としか思えないですよ!」

それはお世辞では無く、本当にそう思った。

筋トレが趣味というだけあって、体が引き締まっているし、年相応なオシャレな服装が、逆に若々しく見せている。

沢井さんは身のこなしがジェントルマンなだけではなく、会話の端々にも私に気を遣わせないように心配りをしてくれていた。

私のバカバカしい話も笑顔で頷きながら聞いてくれた。

はぁ…居心地がいい。

これってもしかして、運命の人なんじゃないっ?


しおりを挟む

処理中です...