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しおりを挟む「そんなママ友なんか、友達辞めてしまいなさいよ!」
「…そうしたいのはヤマヤマなんですけど…あの人たちの娘さんたちとうちのリコが仲良しだから…私のせいで子供の友達関係崩すわけにはいかないんです!」
「あら、リコ、私に本当はあの子たちと気が合わないんだって言ってたわよ。」
「え! リコ、お母さんにそんなこと言ってたんですか? そんなはず無い…だって毎日仲良く遊んでるんですよ!」
「あなたには本心を言えなかったんじゃない。リコはあの子たちの事があんまり好きじゃないけど、ママたちが仲良しだからリコは我慢するのって言ってたわよ。ママ思いのいい子ね、リコは。」
「えーーー! そうなんですかーーー? 私はてっきり…。」
「子供ってね、けっこういろんな事考えているのよ。子供扱いしすぎない方がいいわよ。あの子は十分、子供たちの世界で戦っていけるわ。それもあなたが愛情を注いで育ててくれたおかげね。」
「お義母さん…」
リコは知らない所で私が思っているよりずっと大人になっていたのね…。
リコの優しさと、ずっと誰かにそういって欲しかった言葉を思いもよらず義母の口から聞いた事で、胸の中に暖かい物が込み上げてきた。
すると同時に自分が情けなくなった。リコの為にと思ってしたくもない我慢を続けていたのに、実はリコを苦しめていたなんて! 本末転倒じゃない!
「アハハハハハ」
愕然としている私を見て、義母は大笑いした。
「アハ…アハ…アハハハハハハ」
義母につられて苦笑いをしていたら、そのうち情けない自分がバカみたいに思えてきて大笑いしてしまった。
「さあさ、踊りましょうよ!」
タヌキ女将はヘンテコな音頭をかけて、不思議な舞を踊り始めた。
「さあさ! みなさんご一緒にぃ~!」
…え…何で…?
タヌキ女将は訝る私の手を引っ張って無理やり躍らせた。義母もそこに加わった。
何故踊らなければならないのか全くわからなかったが、踊っているうちに何だかすごく楽しい気分になってきた。
義母は口に手を当てず大笑いしている。タヌキ女将も上機嫌だ。
店の中なのに、何故か天井は夜空で、お月様が浮かんでいた。
散々踊りあかした後、タヌキ女将にお礼を言って、義母と店を出た。
今夜は満月かぁ~。キレイだなぁ~。
今まで空を見上げる余裕も無かったから、お月様がこんなにキレイだなんて気が付かなかったな…。
そして、あんなに苦手だった義母が、実はこんなに話せる人だったなんて知らなかった。これからは義母にいろんな事を相談に乗ってもらおう!
「ね、お義母さん。これからもよろしくお願いしま…」
振り向くと義母の姿は消えていた。
「…お義母…さ…ん…」
…そうか…
…そうだったよね…
お義母さん…亡くなってたよね…
冷たい風が吹いて、一気に酔いが醒めた。
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