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しおりを挟むノエルは昨日と同じようにお茶を入れてくれた。そして澄子さんがかつてしてたようにお茶菓子を添えて出してくれた。
「ありがとう。そうしていると、まるで若い頃の澄ちゃんを見ているようだ。」
じーちゃんは嬉しそうにノエルに言った。
ノエルは少し照れていた。
「そういえば、澄子さんがからの手紙って、何が書いてあったの?」
俺は何気なくじーちゃんに聞いた。
ノエルは俺を見て、それは聞いてはいけないのでは?という顔をして焦っていた。
「あ…、それは澄子さんとじーちゃんの秘密だからね。言わなくていいよ。忘れて…。アハハハ…。」
俺は必死に取り繕った。
「あの封筒か?」
じーちゃんは気にするようでもなく、ポケットから封筒を取り出した。
「これ見た時、澄ちゃんらしいなと思ったよ。」
じーちゃんは封筒を開けて中身を出した。
封筒の中には、じーちゃんと澄子さんが二人で写った写真が一枚と、小さなマッチ箱が入っていた。
「…、これだけ?手紙とか入ってなかったの?」
俺は聞いた。
「これだけ。手紙は入ってなかった。」
じーちゃんはあっさり言った。
「…そうなんだ。」
俺は少し肩透かしをくらったような気持ちだった。
さぞかし今までの想いを込めた感動的な手紙が入っていると思っていたからだ。来世の約束の事も、一切無し。何故なんだろう?澄子さんは、生まれ変わってまたじーちゃんに会いたいと思ってたんじゃなかったんだろうか?ノエルもそう思っていたみたいで、少し驚いているようだった。
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
ノエルが聞いた。
「どうぞ。」
じーちゃんは笑顔で答えた。
俺とノエルは写真を手にとって見てみた。若かりし日のじーちゃんは、今からはとても想像がつかないくらいハンサムで、じーちゃんに失礼だけど、男の俺から見てもカッコよかった。澄子さんはというと、ノエルのおばあさんだけあって、やっぱりノエルに似ていた。色白で儚げで、まさに守ってあげたい!という気持ちになるような感じだった。だけど、どこか芯の強さのような物を感じさせるところがあった。
「ステキな写真…。」
ノエルが呟いた。
「お似合いかな?」
じーちゃんがおどけて言った。
「はい、すごくお似合いだと思います。乃海君にも似てますね。お祖父さんだから当たり前ですよね。」
「ん?乃海よりワシの方が男前じゃないか?」
じーちゃんは調子に乗って言った。
「絶対俺のが男前だし!」
老人相手に大人気ないと思いつつも俺はムキになった。
「澄ちゃんが、俺と二人の写真が無いから撮りたいと言って、写真館で一枚だけ撮ってもらったんだ。懐かしいなぁ。大事に取ってくれてたんだ。」
「私、その写真は見たことありません。おばあちゃん、乃海くんのおじいさんと二人だけの宝物にしておきたかったのね。」
澄子さん、なんか可愛い人だなと思った。
実際かわいい人だったけど、性格も可愛かったんだろうなと思った。そんな可愛い人に酷い仕打ちをした澄子さんの旦那は許せん!と今さらながらも怒りを感じた。ノエルのお祖父さんなのだから、そんな風に思っちゃ悪いとは思うけど…。
「こっちのマッチ箱…これは何か意味がある物なの?」
俺はマッチ箱を手にとって表や裏を見てみた。
それは店のマッチのようだった。古くて見えにくいが、住所や電話番号などが書かれてある。
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