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しおりを挟む棺桶の中に横たわるじーちゃんは、とても穏やかで優しい顔をしていた。
葬儀には、ノエルも駆けつけてくれた。そして旭と類、何故か安藤まで参列してくれた。ノエルから聞いたのか、旭から聞いたのかは不明だが、安藤はじーちゃんと澄子さんの話しを聞いていたらしく、終始涙目だった。あいつも涙する事があるのかと少し驚いた。
俺は葬儀の間、不思議と涙一つ出なかった。
出棺の前に、あのラジオと澄子さんから預かったマッチ箱の入った封筒を棺桶に入れた。じーちゃんの遺体を見て、人の体って、本当に入れ物なんだなと思った。俺は霊感などないが、やっぱり魂はあるのだと思った。魂の抜けたじーちゃんの体は、抜け殻という言葉がぴったりだった。そもそも嘘とは思ってないけど、石田さんのように霊が見える人がいるのもわかる。体から抜け出たじーちゃんの魂は、あの世へ行って、また然るべき時に生まれ変わるのだろう。俺とノエルも生まれ変わったように。
次の人生でもまたあの二人が出会えますように。
ノエルは火葬場まで付き合ってくれた。俺はノエルに一緒にいて欲しかった。待ち時間、外のベンチに二人で座った。風が冷たかったが、何となくそこに座っていたかった。ノエルは自販機で温かいミルクティーを買ってきて俺に差し出した。
「乃海君のおじいさん、最後に会ったとき、うちのおばあちゃんと同じこと乃海君に言ってた。おばあちゃんも私に自分の気持ちを大事にして生きなさいって言ってた。」
「そっか…。うちのじーちゃんとノエルのおばあさんが、二人の長い人生から学んだ教訓だな。しっかり心に留めとかないとな…。」
「そだね…。」
ノエルからもらったミルクティーのプルトップを開けると小さく湯気が舞い上がった。飲むと一気に体の中が暖かくなった。じーちゃんの抜け殻を見て、俺も抜け殻のようになっていたのが、ミルクティーの温かさのおかげで我に返った気分だった。
「これ、ほんとに私が持って帰っていいのかな?」
ノエルは封筒に入っていた写真を見せて言った。
「じーちゃんが澄子さんの部屋に飾って欲しいって言ってたからそうして欲しい。遺言みたいなもんだからな。」
「そっか。じゃあそうさせてもらうね。」
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