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裏の真実
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クンクン…。
美味しそうなタレの匂い…。
「…っ!うなぎ!」
「おっ!起きたか(笑)ちょうど起こそうと思ってたんだ。顔洗ってこい。歯ブラシは新しいやつ出してるから、使いな。服は洗って乾かして置いてあるからな。」
あっ…。そういえば昨日…。
僕はゆっくり起き上がって、洗面所で身支度を整える。
なんでこんなに世話焼いてくれるんだろ…。
この年代の知り合いは居ないし、親戚はみな小綺麗な金持ちばかり…。
そんなことを考えながら、部屋へ戻る。
「冷めないうちに食べようぜ。ほら、肝吸いもある。」
「はい!」
僕は大好物のうな重を目の前に、先程の疑問がどこかへ行ってしまう。
「「頂きます!」」
はふっ…、はふっ…。
「美味しい…!」
「奮発したかいがあったな…。」
にこっと笑う末治さん。
半分くらい食べた頃…
「輝彦くん。」
末治さんは先程までの砕けた物言いから、急にかしこまる。
「…。」
僕は箸を止めて向き合う。
「今から辛い話、今後の話をする。」
そう言ってポツポツと話始める。
「俺は元刑事でな…。今はある薬物について、一般人側から調べてんだ…。そこでな、お前の親父さん…。森谷製薬の副社長に突き当たったってわけだ…。」
「え…?」
「だからって、お前を付けていた訳じゃねぇ…。話を聞きに行こうとは思ってたが、昨日はお前辛いことあっただろ?だから、少し時間を置いてからと…。」
なんで、失恋のこと…?
「俺は、お前の…。」
末治さんがかなりいいにくそうにしている。
「僕の?」
「いや…。これは最後に話す…。輝彦くん、君はある人を襲うように指示したことは調べがついている。俺と出頭して、心苦しいとは思うが父親を告発してくれないか…?」
「は…?」
その後末治さんから語られた真実…。
僕の父親が秘密裏にかなりヤバい薬物を作って流通させていて、何人もその薬物で亡くなったこと。
またその薬物で売り上げた金を賄賂に、僕のおじで実の兄である社長を引きづり下ろそうとしていた。
父親がおじさんを嫌っていたことは知っていた。
僕の母親は、おじさんの事が好きだった。それを既成事実を作って略奪したのが父親…。
母は、ずっとおじさんの事が好きで精神的にもおかしくなってしまった。
父ならやりかねない…。
そして、僕は父から元恋人・太郎の浮気相手のことを知り…。
父の手駒の男達にその浮気相手を『穢す』ように指示したのだ。
ふつふつと怒りが沸く。
なんで関係ないおっさんに、諭されなきゃいけないんだ。
元刑事なら逮捕権はないし、それになんでバレてんだ…?
「末治さんには関係ない。昨夜はお世話になったけど、それが無かったら出てってる。」
「じゃあ、俺の正体バラしたらぶん殴るか?」
ピリピリとした空気が2人に流れる。
元刑事だけあって威圧感が…。
「なんだよ、正体って?」
僕は負けないように虚勢をはる。
『俺は佐藤太郎のおじだよ。』
ブチッ!
僕の堪忍袋の緒が切れた音がした。
反射的に殴りかかる。
ガッ…!
元刑事にかなうはずも無く、殴りかかった拳を捕まえられてそのまま後ろへひねり上げられる。
「いっ、つっ…!」
「暴れるのはやめろ。約束出来たら離してやる。」
冷静沈着で、冷たい声色…。
「太郎もお前も、みんな僕のこと笑ってたんだろ!?僕は海外でずっと太郎のこと思ってたのに!手紙も何も連絡無くても、ずっとずっと思ってたのにっ…!こんな仕打ちってあるかよ!少しぐらい復讐してもバチ当たらないだろうがっ!」
末治さんの拘束を振り払おうともがきながら、騒ぎ立てる。
「太郎はお前のことずっと思ってた。手紙も書いて、お前の家まで行った。海外出張なのも知らされてなくて、探し回ってた。飲まず食わずで、病院に運ばれたぐらい衰弱してた。そのせいであいつの母親は…。それになんで太郎が探偵やってるのか知ってるのか?」
僕と比例して落ち着いた語り口で諭すように問われる。
「僕だって、何度も何度も手紙書いて…。海外出張なのは、父から伝えてくれるって言ってたし…。なんで探偵してるかなんて知らない!」
太郎はずっと亡くなった父親と同じ警察になろうとしていたのを、今思い出した。
「お前の父親、太郎には何も連絡してない。それに双方からの手紙も全て父親が破棄してた。お前の海外出張は太郎と別れさせるためだったんだよ。別れる手紙はお前の直筆だったから、太郎が廃人のように衰弱して…。もう、警察の試験を受けられる年齢を超えてしまったんだよ。」
「そんな…!僕そんな手紙なんて…。」
もしかして…?
「思い当たることあるか?」
「前に僕のストーカーが家に来て困るって。付き合ってるって妄想癖あるから、穏便に済ませたいから手紙書けって…。」
「父親に言われて書いたな…?」
「うん…。昔からストーカーなんて日常茶飯事だったから。」
「お前の父親はそれを太郎に渡したんだよ。」
…は!?
じゃあ、全ての元凶は俺の父親…?
確かに性格はひねくれてたけど、そこまで…。
「大丈夫か?」
ゆっくりと拘束を外し、青ざめている俺を見つめる。
「俺も太郎も、あの父親に人生狂わされた…。」
「他にも被害者はいる。一番可哀想なのは…。いや、ここで比較することじゃないか…。」
「なんだよっ!僕のこの10年はなんだったんだよ!」
「落ち着けっ!」
ポロポロと涙を流しながら騒ぎ立てる僕を抱きしめる。
「話せよ!太郎の親戚なんて…。僕は…。」
「もっと酷なこと、伝えなきゃいけない。」
ぎゅっと苦しくなる。
「太郎の恋人はお前のいとこだ。社長と…、お前の母親に追い出されたハウスキーパーとの間の子。」
「やっぱりあいつが!あいつの家族が全部、全部悪い…!」
ギリギリと怒りで歯を食いしばる。
「違う…。」
何度も何度も末治さんは、僕に説明してくれた。
そして僕がどれだけ海外出張で辛かったか、太郎を思っていたか…。
浮気相手と太郎をみて激昂したか、襲撃を命じたか、振られて悲しかったか。
全て聞いてくれた…。
段々と冷静になっていく僕の頭…。
先程まであんなに美味しそうな匂いを出していたうな重も冷めてしまって…。
「お前の父親、社長と元ハウスキーパー…。2人とも薬漬けにしてるらしくてな…。早く助けてやりたいんだ。出頭してくれねぇか…?太郎が不本意ながらもお前を裏切った分、俺でできるか分からねぇが償わせてくれ。太郎は俺の息子みたいな存在なんだ。」
「つぐない…?太郎は何も悪いことしてない!やっぱり太郎が好きで、諦めるのも辛い!認めたくないっ!」
とめどなく流れる涙…。頭では分かってるのに、心が追いつかない…。
父親のこと、太郎のこと、いとこのこと…。
犯罪のこと…。
「やだっ!もう何も考えたくない!辛い、苦しいっ!」
駄々っ子のようにわんわん泣く僕。
涙を拭いて、背中をさすってくれる末治さん。
泣き疲れて瞼を閉じる。
優しく抱きしめて、頭を撫でられて…。
美味しそうなタレの匂い…。
「…っ!うなぎ!」
「おっ!起きたか(笑)ちょうど起こそうと思ってたんだ。顔洗ってこい。歯ブラシは新しいやつ出してるから、使いな。服は洗って乾かして置いてあるからな。」
あっ…。そういえば昨日…。
僕はゆっくり起き上がって、洗面所で身支度を整える。
なんでこんなに世話焼いてくれるんだろ…。
この年代の知り合いは居ないし、親戚はみな小綺麗な金持ちばかり…。
そんなことを考えながら、部屋へ戻る。
「冷めないうちに食べようぜ。ほら、肝吸いもある。」
「はい!」
僕は大好物のうな重を目の前に、先程の疑問がどこかへ行ってしまう。
「「頂きます!」」
はふっ…、はふっ…。
「美味しい…!」
「奮発したかいがあったな…。」
にこっと笑う末治さん。
半分くらい食べた頃…
「輝彦くん。」
末治さんは先程までの砕けた物言いから、急にかしこまる。
「…。」
僕は箸を止めて向き合う。
「今から辛い話、今後の話をする。」
そう言ってポツポツと話始める。
「俺は元刑事でな…。今はある薬物について、一般人側から調べてんだ…。そこでな、お前の親父さん…。森谷製薬の副社長に突き当たったってわけだ…。」
「え…?」
「だからって、お前を付けていた訳じゃねぇ…。話を聞きに行こうとは思ってたが、昨日はお前辛いことあっただろ?だから、少し時間を置いてからと…。」
なんで、失恋のこと…?
「俺は、お前の…。」
末治さんがかなりいいにくそうにしている。
「僕の?」
「いや…。これは最後に話す…。輝彦くん、君はある人を襲うように指示したことは調べがついている。俺と出頭して、心苦しいとは思うが父親を告発してくれないか…?」
「は…?」
その後末治さんから語られた真実…。
僕の父親が秘密裏にかなりヤバい薬物を作って流通させていて、何人もその薬物で亡くなったこと。
またその薬物で売り上げた金を賄賂に、僕のおじで実の兄である社長を引きづり下ろそうとしていた。
父親がおじさんを嫌っていたことは知っていた。
僕の母親は、おじさんの事が好きだった。それを既成事実を作って略奪したのが父親…。
母は、ずっとおじさんの事が好きで精神的にもおかしくなってしまった。
父ならやりかねない…。
そして、僕は父から元恋人・太郎の浮気相手のことを知り…。
父の手駒の男達にその浮気相手を『穢す』ように指示したのだ。
ふつふつと怒りが沸く。
なんで関係ないおっさんに、諭されなきゃいけないんだ。
元刑事なら逮捕権はないし、それになんでバレてんだ…?
「末治さんには関係ない。昨夜はお世話になったけど、それが無かったら出てってる。」
「じゃあ、俺の正体バラしたらぶん殴るか?」
ピリピリとした空気が2人に流れる。
元刑事だけあって威圧感が…。
「なんだよ、正体って?」
僕は負けないように虚勢をはる。
『俺は佐藤太郎のおじだよ。』
ブチッ!
僕の堪忍袋の緒が切れた音がした。
反射的に殴りかかる。
ガッ…!
元刑事にかなうはずも無く、殴りかかった拳を捕まえられてそのまま後ろへひねり上げられる。
「いっ、つっ…!」
「暴れるのはやめろ。約束出来たら離してやる。」
冷静沈着で、冷たい声色…。
「太郎もお前も、みんな僕のこと笑ってたんだろ!?僕は海外でずっと太郎のこと思ってたのに!手紙も何も連絡無くても、ずっとずっと思ってたのにっ…!こんな仕打ちってあるかよ!少しぐらい復讐してもバチ当たらないだろうがっ!」
末治さんの拘束を振り払おうともがきながら、騒ぎ立てる。
「太郎はお前のことずっと思ってた。手紙も書いて、お前の家まで行った。海外出張なのも知らされてなくて、探し回ってた。飲まず食わずで、病院に運ばれたぐらい衰弱してた。そのせいであいつの母親は…。それになんで太郎が探偵やってるのか知ってるのか?」
僕と比例して落ち着いた語り口で諭すように問われる。
「僕だって、何度も何度も手紙書いて…。海外出張なのは、父から伝えてくれるって言ってたし…。なんで探偵してるかなんて知らない!」
太郎はずっと亡くなった父親と同じ警察になろうとしていたのを、今思い出した。
「お前の父親、太郎には何も連絡してない。それに双方からの手紙も全て父親が破棄してた。お前の海外出張は太郎と別れさせるためだったんだよ。別れる手紙はお前の直筆だったから、太郎が廃人のように衰弱して…。もう、警察の試験を受けられる年齢を超えてしまったんだよ。」
「そんな…!僕そんな手紙なんて…。」
もしかして…?
「思い当たることあるか?」
「前に僕のストーカーが家に来て困るって。付き合ってるって妄想癖あるから、穏便に済ませたいから手紙書けって…。」
「父親に言われて書いたな…?」
「うん…。昔からストーカーなんて日常茶飯事だったから。」
「お前の父親はそれを太郎に渡したんだよ。」
…は!?
じゃあ、全ての元凶は俺の父親…?
確かに性格はひねくれてたけど、そこまで…。
「大丈夫か?」
ゆっくりと拘束を外し、青ざめている俺を見つめる。
「俺も太郎も、あの父親に人生狂わされた…。」
「他にも被害者はいる。一番可哀想なのは…。いや、ここで比較することじゃないか…。」
「なんだよっ!僕のこの10年はなんだったんだよ!」
「落ち着けっ!」
ポロポロと涙を流しながら騒ぎ立てる僕を抱きしめる。
「話せよ!太郎の親戚なんて…。僕は…。」
「もっと酷なこと、伝えなきゃいけない。」
ぎゅっと苦しくなる。
「太郎の恋人はお前のいとこだ。社長と…、お前の母親に追い出されたハウスキーパーとの間の子。」
「やっぱりあいつが!あいつの家族が全部、全部悪い…!」
ギリギリと怒りで歯を食いしばる。
「違う…。」
何度も何度も末治さんは、僕に説明してくれた。
そして僕がどれだけ海外出張で辛かったか、太郎を思っていたか…。
浮気相手と太郎をみて激昂したか、襲撃を命じたか、振られて悲しかったか。
全て聞いてくれた…。
段々と冷静になっていく僕の頭…。
先程まであんなに美味しそうな匂いを出していたうな重も冷めてしまって…。
「お前の父親、社長と元ハウスキーパー…。2人とも薬漬けにしてるらしくてな…。早く助けてやりたいんだ。出頭してくれねぇか…?太郎が不本意ながらもお前を裏切った分、俺でできるか分からねぇが償わせてくれ。太郎は俺の息子みたいな存在なんだ。」
「つぐない…?太郎は何も悪いことしてない!やっぱり太郎が好きで、諦めるのも辛い!認めたくないっ!」
とめどなく流れる涙…。頭では分かってるのに、心が追いつかない…。
父親のこと、太郎のこと、いとこのこと…。
犯罪のこと…。
「やだっ!もう何も考えたくない!辛い、苦しいっ!」
駄々っ子のようにわんわん泣く僕。
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泣き疲れて瞼を閉じる。
優しく抱きしめて、頭を撫でられて…。
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