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交差する身体とすれ違う心 ★
「そんなに……聖女の事が、好きなの?」
ここまでやっても勃たないとは夢にも思わず気落ちするメルセデスの問いに対して、エドワルドはひどく不本意そうに口元をひくつかせた。
「いや、だからアイツとはそういう関係じゃ……」
エドワルドは、ふとメルセデスの身体の一部に目を止めて、そこを凝視した。
「──あっ……? いや、ちょっと待て……っ! おい、メルセデスっ! そのまま、こっちに来い」
常にない強い口調でメルセデスを呼びつけるエドワルドの鬼気迫る様子にも、心がポキリと折れてしまったメルセデスにはいまいち届かない。
「……はぁ」
「メルセデスっ!」
しょんぼりとため息をついて「……はぁい」と言いつつ、しぶしぶと怒り心頭なエドワルドの指示に素直に従った。
目の前に座ったメルセデスの下腹部を見つめて、エドワルドは静かに息を呑む。
「──……、お前っ、ナニと契約した……?」
「……えっ? ああ、えーと。アースっていう金眼の可愛い黒うさぎの精霊と……」
エドワルドがあまりにも下腹部を見るので、何かあるのかとメルセデスも目線をやると、そこには入れ墨のような紋様が浮かび上がっていた。
月桂樹の葉がハート型の枠として朱色で描かれており、その中に兎に山羊の角が生えた動物と、古代魔法語がビッシリと刻まれている。
「なぁに……、これ」
「……」
変なアザが出来てしまい困惑するメルセデスをよそに、エドワルドは重く沈黙する。
普段は飄々として掴み所のないエドワルドが、やけに切羽詰まった様な顔をしている事に、メルセデスの不安はひどく掻き立てられた。
「エド……?」
それと同時に、外から「ギィッ!!」という人ではない獣の鳴き声の様なものが聞こえて、メルセデスの肩がビクリッ跳ねた。
「……心配ない。俺の縄張りを荒らす害獣が罠にかかっただけだ」
いつもよりも、更に低く温度のないエドワルドの声が室内に響き、メルセデスは体に出来た謎のアザよりも、その害獣とやらよりも、突然様子が変わったエドワルドの事が気になってしまう。
先程までメルセデスを突き動かしていた熱が引いていくのを感じて、なんだか全裸でいるのが居た堪れなくなってきた。
仕方なく服を着ようと脱いだ下着に伸ばした手を、エドワルドの腕に阻まれ、そのままベッドへと押し倒された。
「……メルセデス、俺の事は許さなくていい。一生、恨んでくれて構わない」
「え……どういう、こと?」
──あれ……? そんなことより、拘束植物は。
エドワルドの腕を縛っていたはずの植物はボロボロに枯れ果てており、床に落ちていた。
メルセデスは、状況が飲み込めずに「あれ?」と呟くが、その戸惑いの声はエドワルドからのキスにより発音されずに消えた。
「ンッ!……んんんっ?……、えどっ、ンン」
メルセデスが先ほどしていた拙い口付けとちがい、エドワルドの太い舌が口内をくまなく弄り、蹂躙してくる。メルセデスの舌先を味わい、歯列をなぞり、唾液を啜りとる。
急なエドワルドの行動に頭が付いていかず、働かない頭で一生懸命状況を整理する。
──きっと、揶揄われてるんだ。さっきの意趣返しのために、こんな事をしてるんだ。
メルセデスはそう思い至り、まんまと翻弄されている悔しさからエドワルドから体を離そうをするが、男の強い力によりびくともしない。
少し体が離れた時、抗議をするためにキッと睨むと、そこには見た事のない情欲に濡れた目をして自分を見ているエドワルドがいた。
その目から視線が外せなかった。外した瞬間、食われてしまう。直感でそう感じた。
「……俺が怖いか? なるべく痛くないようにするから」
「っ、エド……? ねえ、怒ってるの……? あっ、ひあっ!」
突然ぶつけられたエドワルドの肉欲を込めた瞳に、メルセデスは思わずすくみ上がった。
メルセデスの問いかけに答えずに、エドワルドは乳首に貪りついた。まだ硬い蕾は、突然の刺激にツンッと上を向き存在を主張する。
小さめなのを気にしていたため、隠そうとするが両手をエドワルドの大きな片手で一纏めに頭の上に拘束され、好きなように弄られる。
「──やっ、むね、小さいからッ! あんまり、みないでっ……おねがい……あっ、いやっ!」
メルセデスの懇願を無視して、ピンク色の乳輪を舌先で舐め転がし、キツく吸い上げると高く色めいた声でメルセデスは啼いた。
「あっ、あっ、ンンッ、やっ、! えど、こわいよ……っ」
あまりに急な展開について行けず、メルセデスは涙目で訴えた。乳首を舐めながら吸い上げ、もう片方の胸も手のひらで弄んでいたエドワルドは、この言葉に一瞬手を止め傷ついたような顔をした。
「──メルセデス……ごめんな」
エドワルドに謝ってほしい訳じゃなかった。いつもそうだ。大人の顔をして、エドワルドは全てを背負い込もうとする。
この性急すぎる行為にも、きっと彼なりの理由があるに違いない。話を聞きたいのに、口から漏れるのははしたない嬌声だけだった。
そして、一番反吐が出るのは「自分にこんな事をしたならば、エドワルドはこれからもずっと一緒に居てくれるかもしれない」と、心のどこかでそう浅ましく考えているメルセデス自身だった。
「……っ、あ、あっ! まっ、て……はなし……っ、あっひあっ!!」
「……今は、何も考えずに、ただ感じていろ。ほら、こっちも膨れてきた」
「やっ、あっ……!」
わざと見せつける様にメルセデスの乳首を舐め転がし、思考能力をうばっていく。
置いて行かれている心はそのままに、行為は続けられていき、チュッ、チュッと水音混じりの淫猥なリップ音が室内に響いていく。
段々と胸の愛撫に慣れてきて、メルセデスはだいぶ快感を拾える様になってきた。それを見計らって、エドワルドの手が下腹部を通り過ぎてメルセデスの秘所へと伸びる。
「──ッッ! あっ、そんなところ……っ!」
慌てふためくメルセデスを落ち着かせるように頭にキスを落としていき、耳元に唇を寄せた。
「……ほら、大人しくしないとケガするぞ。俺に、こうされたかったんだろう? なら、俺の言う事をちゃんと聞かねーと……な?」
吐息混じりに囁かれる声は耳朶に響いて、まるで耳まで犯されているようだ。大好きなエドワルドから指示されれば、言うことを聞く以外の選択肢はメルセデスには存在しない。
「あっ、あぅ……」
一生懸命両足を開くと、エドワルドが割れ目に指を伸ばす。あまりの刺激に体が強張った。
「あっ、ご、ごめん……なさ」
拒否する様なメルセデスの動きに、エドワルドの眉が一瞬上がったのを見て、つい謝罪の言葉が口から出た。
「……悪いな。本当は、もっとゆっくり進めてやりたいんだが……これを使うしかねーな」
エドワルドはそう言うと、メルセデスの下腹部に施された魔法紋に手を置き神聖力を集め、呪文を唱えると、メルセデスの身体の奥が熱く火照り出した。
「な、に……? ──っ?! いや、あっ、あっ!」
「これは淫紋としても使えるらしい。神聖力を流すと発動する」
エドワルドはそう言うと、再び割れ目に指を埋めていった。先ほどとは比べ物にならないほど濡れそぼり蜜が滴っている。
「あっ、あっ、えど、なんかっ……おかしい……っ! あっあぁ」
エドワルドは狭い隘路に指を割り入れ、グチュグチュと抽挿を繰り返す。
ずちゅっ、ぐちゅっ。
エドワルドが指を少し動かすだけで、下半身が猛烈に疼き、期待する刺激を求めて腰が揺れる。
「あっ、ああっ、えどのゆび、きもち、い……あっ、あああっ!」
指だけで何度か果て、メルセデスの理性はほとんど崩れ去っていた。蕩け切ったメルセデスの弛緩した姿を見たエドワルドの喉元が鳴った。
「噂には聞いていたが、すげぇな……」
エドワルドは自分を落ち着けるように息を吐いてから「……そろそろ挿れるぞ」と言った。
(挿れるも何も、あんなくにゃくにゃのものをどうやって……)
辛うじて残っていた理性を総動員してエドワルドの股間部分を凝視すると、先程の豚肉の腸詰めは消え去り、女冒険者達から聞いていた以上の棒がそこにはあった。
凶悪なほど赤黒く筋立ち、硬く芯の入った陰茎はガチガチに勃起しており、鈴口からはタラタラと粘度のある透明な液体が流れていた。
「……はっ、入らないよ、そんな大きいの……」
「……そうだな、お前は小せえからこんなもんいれたら、壊れちまうかもしれねぇな」
「──ッッ!」
エドワルドは恐怖に怯えたメルセデスの顔を見て「悪りぃ、冗談だ」フッと笑った。揶揄われた事への怒りでメルセデスの力が抜けた隙に、亀頭が蜜壺の入口へと擦り付けられ、ゆっくりと侵入してきた。
「あっ、ぁ、んんっ……!」
「ああ……あったけぇな、お前の中は。……そうか、こんなに気持ちいいんだなぁ」
まるで噛み締めるように、独り言を呟いたエドワルドは緩慢に律動を開始した。ずちゅっ、ずちゅんっと中をかき混ぜるような動きに、体全体が跳ねる。
「──あっ! あっ、あっ、あっ!」
エドワルドはタンタンタンッとリズミカルに腰を揺らし、肉同士がぶつかる度にパンパンと破裂音が鳴った。揺さぶられる度に胸がゆさゆさと揺れ、まるで触ってほしいと言わんばかりに乳首も勃ち上がっていた。
「メルセデス……綺麗だ、かわいい」
エドワルドの顔はすっかり興奮しており、いつも穏やかな彼とはまったく違う男のように見えて少し怖い。その反面、エドワルドの違う顔が見られて嬉しいと言う気持ちも湧き上がる。
『そんな目で見れない』はずのメルセデスで興奮しているエドワルドに、愛おしさが増していく。
「あっ、ああっ! えど、すき……すきなのっ、あっ! あっ、あっ!」
「──ッ、俺に……っ、こんな事されてんのにっ、……まだそんな事が言えんのか、お前は、よ……ッ!」
「あっ!! あっ、んンっ! ……えどッ、はげし……っ! あっあっ!!」
メルセデスが好意を口にした途端に、エドワルドはそれを否定するように抽挿を速めて、抉るように中を侵食する。そして、剛直を入り口まで引き抜き叩きつける様に一気に刺し貫いた。
「あっ!! ん、あぅっ、! あっ、ぁアああーーーーっ!!」
目の前が明滅し、全身の力が抜ける。達したばかりのメルセデスの体をエドワルドは構う事なく再び犯し始めた。
「あっ、あっ、まだ……、だめぇ……あっ、あんっ!」
ずっちゅ、ぐちゅっ、どちゅん。
「ダメとか言う割にはっ、嬉しそうな顔しやがって……」
「あっ、あっ、きもちい……あっあ、アッーー!」
メルセデスの弱い所をガツガツと抉られて、まるで発情した雌猫のような声が口から漏れた。
「ここだな……ほら、よーく擦ってやる」
エドワルドもそろそろ限界が近いのか、余裕なく腰を振りたくり快感を突き詰めていった。
「あっああっ! ああ、アアあーーーーッ!」
遠慮なく突き上げられて揺れる乳首をキツく吸い上げられ、あまりの快感にメルセデスは再び盛大に果てた。
「……俺もっ、もたねぇっ……、ぐっ……!」
エドワルドも同時に達し、膣内に白濁の熱を放った。
互いに肩で息をして余韻に浸る前に、エドワルドはメルセデスの目に手のひらを翳し、耳元で「よく、頑張ったな……」と囁いた後に、呪文を詠唱しメルセデスの瞼はとろとろと闇へと落ちていった。
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