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第三章 Side A
7 エリーと新しい求婚者
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ひとまずの勝利の後、兄のフレデリックはアーチボルト侯爵としての仕事のために王都へと出た。エリーも共に約四年ぶりに王都へとやってきた。
軍服に身をまとい、国王陛下に謁見した。その場にはこちらも四年ぶりとなる王太子であり幼馴染のフェイビアンと宰相でありもう一人の幼馴染のブラッドリーの父であるオルグレン公爵もいた。
ちなみにサムはお留守番である。
まずは、前アーチボルト侯爵が戦死した経緯を報告した。
「すでに簡単な報告は受けていたが、そうか、上官の使役する海馬だけを狙った攻撃、か。」
「それはやはり、セオドア殿下が危惧していたことなのでしょうか。」
「かもしれないが、確認はしようがないな。しかし、なぜ前公爵までもが戦死することになったのだ?」
「総大将として指揮を執っていた父は前線の崩れた海馬部隊を立て直すために単騎で飛び出していったと聞いています。」
「…やつの単細胞ぶりが悪い方に出たな。」
そう、父はあの場で飛び出して行ってはいけなかった。実際にその場にいたエバンズ大佐はかなり真剣に止めた。遠目からも海馬が倒されたことが見えていたからだ。
しかし、父は海馬部隊が負けることの方が問題だと主張し、大佐を説得して飛び出した。エバンズ大佐は今でも後悔している。
「しかし、海馬部隊なしでもポートレット帝国を退けられたのはよかったです。」
「我が軍の頭脳である軍略部隊では、セオドア殿下のご意見を受けて、海馬部隊に頼らない戦略を考えておりました。その一つが今回、当たったということです。」
「昨年、エスパルの軍船を使いたいと言われたときは何事かと思ったが、今回はそれを使ったのか?」
「はい。次の侵攻を前にもっとも敵軍を悩ませられる作戦として、早速使わせていただきました。しかし、今後も上手くいくとは限りません。我が軍は主力であった海馬を半数は失いました。各地に展開している海馬を呼び戻したとしても元の戦力とは大きな差があります。
陛下と宰相様にはエスパルからのさらなる援軍の交渉をお願いしたく。」
「ああ。今回の勝利で二の足を踏んでいたエスパルも説得しやすくなるだろう。」
エスパルは海馬部隊を当てにしてブルテンとの同盟を結んでいた。その海馬部隊の敗北に、話が違うと難色を示していたのだ。
「次の侵攻までに我々は三か月ほど猶予があるのではないかと思っています。その前に援軍がいればと。」
「善処しよう。」
ポートレット帝国の次の手がわからない以上、この場で話せることはもうない。話題は次にうつった。
「ダンフォード公爵令嬢はこの夏にアーチボルト侯爵家に輿入れるはずだったな。」
国王陛下肝いりの縁談だ。
「前侯爵が亡くなった今、ダンフォード公爵令嬢との縁談は白紙となる。代わりに現公爵に嫁がせたいところだが、君にはフリーマントル辺境伯家の娘が嫁ぎ、もう嫡男もいるからな…。」
正直なところ、アーチボルト侯爵家にとってフリーマントル辺境伯家は最も重要と言えるつながりだ。離縁はありえない。
王家にとっても辺境伯家の機嫌を損ねたくはない。
「やはり、宰相の息子を離縁させるしかないのではないか?ロンズデールの娘なのだろう?」
国王陛下はロンズデール家が気に入らないらしい。おそらくセオドア殿下がロンズデール領で行方不明になったことが原因だろう。
「息子は一度、ダンフォード家の不興を買っていますから、嫌がられそうですが。」
「しかし、それではなあ…。」
国王陛下は重たいため息をついた。
「ダンフォード公爵令嬢については侯爵にはどうしようもないでしょう。総大将としての仕事に集中してください。ただ…。」
宰相はちらりと控えているエリーの方を見た。
「今、貴族の間ではアーチボルト侯爵家に敗戦の責任を取らせるべきだという声がでています。今回の勝利で落ち着くことを期待したいですが、海馬部隊を失ったことに変わりはないですからね。」
「責任といっても、排するわけにはいかない。降爵程度にとどめたいが。安全なところでぬくぬくしている貴族どもにはわからないだろうな。」
「高位の貴族家と縁を結んでおいた方がいいでしょう。過剰な声を抑えるためにも。幸い、アーチボルト侯爵令嬢は王立学園の中等部を卒業された身ですし、事情を理解できる家ならばこの結婚の重要性を理解し、迎え入れてくれるでしょう。」
「こちらで侯爵令嬢に縁談を用意したいが、問題ないか?」
これはつまり、王命で結婚させるということだ。父の縁談よりも一段と拘束力が高いものである。兄がちらりとこちらを見るのでエリーは問題ないと頷いた。
家のために嫁ぐ覚悟はとっくにできている。
「もちろんでございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
「そうか!」
国王陛下は満足げに頷いた。ここにいるのが父であったなら大いにもめた話であろう。
「おって連絡をするので、令嬢の縁談については勝手に進めないように。」
そう釘をさされて謁見は終了となった。
ーーーー
退室したエリーはフェイビアンに呼び止められた。
「アーチボルト侯爵、少し時間をもらえるか?」
「構いませんが…。」
フレデリックはちらりとエリーを見た。フェイビアンも心得たように頷く。
「もちろん、妹殿も一緒で構わない。」
そうして二人が通されたのは王太子の応接室だ。フェイビアンは随分と疲れた顔をしていた。その疲れを隠せないあたりが、まだまだ若いということだろう。
「急な代替わりにも関わらず、侯爵の働きぶりはすばらしい。今後もよろしく頼む。」
「ありがたいお言葉でございます。」
「今日は話したいことが二つある。まずは父上との謁見でもあがった、妹殿の縁談の話だ。」
エリーは兄と顔を見合わせた。
「どういった意味でしょうか?」
「妹殿の縁談に、おそらく父は公爵家との縁談を考えていると思う。しかし、ダンフォード公爵令嬢の時にも問題になったが、年のあう令息はすでに結婚・婚約が成立している。多少強引に話を進めることになると思う。」
フェイビアンはエリーの方を見た。
「それで、相手はブラッドリー・オルグレンになると思う。」
「え!?」
エリーは思わず声をあげた。
「ブラッドリー殿はすでに結婚されていたと思いますが。」
「ああ。だが、父の様子を見ただろう?ブラッドの妻の実家はロンズデール家、父が嫌っている家だ。夫人は王立学園にも通っていない。簡単に離縁ができる、ブラッドが完全に上位の縁談なんだ。」
「で、ですが、奥様はオルグレン様が無理をしてお迎えになさった方なのですよね?」
エリーも思わず言い募ってしまう。
「エリー、君が中等部を卒業した後、ブラッドは君のところに行っただろう?」
「え、ええ。ま、まさか…?」
「まだあいつは諦めてない。この話をきいて離縁の準備を進めていると聞いたよ。」
エリーは絶句してしまった。諦めていないって、まだ自分と結婚したいと思っているってこと?なんでこんなにも執着されているの?
「いつ破断しても問題ない相手として、ブラッドは夫人を迎えているんだ。」
「しかし、それならば、ダンフォード公爵令嬢との縁談もありうるのでは?」
「それはそもそも破談になっている。ダンフォード家はブラッドに馬鹿にされたと思っているし、父もオルグレン家の権力を増すような縁談は望んではいないから、あっさり白紙になったんだ。
父もあっさりと認めると思う。」
後味が悪い。嫌な話だ。だが、家のためには致し方ないことだろう。
「もう一つの話は…、お、ちょうど来たな。」
ノックの後に部屋に入ってきたのは、ブルテンでは珍しい茶色がかった肌色の女性だった。
「エリーは初体面だな。王太子妃のエスメラルダだ。」
軍服に身をまとい、国王陛下に謁見した。その場にはこちらも四年ぶりとなる王太子であり幼馴染のフェイビアンと宰相でありもう一人の幼馴染のブラッドリーの父であるオルグレン公爵もいた。
ちなみにサムはお留守番である。
まずは、前アーチボルト侯爵が戦死した経緯を報告した。
「すでに簡単な報告は受けていたが、そうか、上官の使役する海馬だけを狙った攻撃、か。」
「それはやはり、セオドア殿下が危惧していたことなのでしょうか。」
「かもしれないが、確認はしようがないな。しかし、なぜ前公爵までもが戦死することになったのだ?」
「総大将として指揮を執っていた父は前線の崩れた海馬部隊を立て直すために単騎で飛び出していったと聞いています。」
「…やつの単細胞ぶりが悪い方に出たな。」
そう、父はあの場で飛び出して行ってはいけなかった。実際にその場にいたエバンズ大佐はかなり真剣に止めた。遠目からも海馬が倒されたことが見えていたからだ。
しかし、父は海馬部隊が負けることの方が問題だと主張し、大佐を説得して飛び出した。エバンズ大佐は今でも後悔している。
「しかし、海馬部隊なしでもポートレット帝国を退けられたのはよかったです。」
「我が軍の頭脳である軍略部隊では、セオドア殿下のご意見を受けて、海馬部隊に頼らない戦略を考えておりました。その一つが今回、当たったということです。」
「昨年、エスパルの軍船を使いたいと言われたときは何事かと思ったが、今回はそれを使ったのか?」
「はい。次の侵攻を前にもっとも敵軍を悩ませられる作戦として、早速使わせていただきました。しかし、今後も上手くいくとは限りません。我が軍は主力であった海馬を半数は失いました。各地に展開している海馬を呼び戻したとしても元の戦力とは大きな差があります。
陛下と宰相様にはエスパルからのさらなる援軍の交渉をお願いしたく。」
「ああ。今回の勝利で二の足を踏んでいたエスパルも説得しやすくなるだろう。」
エスパルは海馬部隊を当てにしてブルテンとの同盟を結んでいた。その海馬部隊の敗北に、話が違うと難色を示していたのだ。
「次の侵攻までに我々は三か月ほど猶予があるのではないかと思っています。その前に援軍がいればと。」
「善処しよう。」
ポートレット帝国の次の手がわからない以上、この場で話せることはもうない。話題は次にうつった。
「ダンフォード公爵令嬢はこの夏にアーチボルト侯爵家に輿入れるはずだったな。」
国王陛下肝いりの縁談だ。
「前侯爵が亡くなった今、ダンフォード公爵令嬢との縁談は白紙となる。代わりに現公爵に嫁がせたいところだが、君にはフリーマントル辺境伯家の娘が嫁ぎ、もう嫡男もいるからな…。」
正直なところ、アーチボルト侯爵家にとってフリーマントル辺境伯家は最も重要と言えるつながりだ。離縁はありえない。
王家にとっても辺境伯家の機嫌を損ねたくはない。
「やはり、宰相の息子を離縁させるしかないのではないか?ロンズデールの娘なのだろう?」
国王陛下はロンズデール家が気に入らないらしい。おそらくセオドア殿下がロンズデール領で行方不明になったことが原因だろう。
「息子は一度、ダンフォード家の不興を買っていますから、嫌がられそうですが。」
「しかし、それではなあ…。」
国王陛下は重たいため息をついた。
「ダンフォード公爵令嬢については侯爵にはどうしようもないでしょう。総大将としての仕事に集中してください。ただ…。」
宰相はちらりと控えているエリーの方を見た。
「今、貴族の間ではアーチボルト侯爵家に敗戦の責任を取らせるべきだという声がでています。今回の勝利で落ち着くことを期待したいですが、海馬部隊を失ったことに変わりはないですからね。」
「責任といっても、排するわけにはいかない。降爵程度にとどめたいが。安全なところでぬくぬくしている貴族どもにはわからないだろうな。」
「高位の貴族家と縁を結んでおいた方がいいでしょう。過剰な声を抑えるためにも。幸い、アーチボルト侯爵令嬢は王立学園の中等部を卒業された身ですし、事情を理解できる家ならばこの結婚の重要性を理解し、迎え入れてくれるでしょう。」
「こちらで侯爵令嬢に縁談を用意したいが、問題ないか?」
これはつまり、王命で結婚させるということだ。父の縁談よりも一段と拘束力が高いものである。兄がちらりとこちらを見るのでエリーは問題ないと頷いた。
家のために嫁ぐ覚悟はとっくにできている。
「もちろんでございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
「そうか!」
国王陛下は満足げに頷いた。ここにいるのが父であったなら大いにもめた話であろう。
「おって連絡をするので、令嬢の縁談については勝手に進めないように。」
そう釘をさされて謁見は終了となった。
ーーーー
退室したエリーはフェイビアンに呼び止められた。
「アーチボルト侯爵、少し時間をもらえるか?」
「構いませんが…。」
フレデリックはちらりとエリーを見た。フェイビアンも心得たように頷く。
「もちろん、妹殿も一緒で構わない。」
そうして二人が通されたのは王太子の応接室だ。フェイビアンは随分と疲れた顔をしていた。その疲れを隠せないあたりが、まだまだ若いということだろう。
「急な代替わりにも関わらず、侯爵の働きぶりはすばらしい。今後もよろしく頼む。」
「ありがたいお言葉でございます。」
「今日は話したいことが二つある。まずは父上との謁見でもあがった、妹殿の縁談の話だ。」
エリーは兄と顔を見合わせた。
「どういった意味でしょうか?」
「妹殿の縁談に、おそらく父は公爵家との縁談を考えていると思う。しかし、ダンフォード公爵令嬢の時にも問題になったが、年のあう令息はすでに結婚・婚約が成立している。多少強引に話を進めることになると思う。」
フェイビアンはエリーの方を見た。
「それで、相手はブラッドリー・オルグレンになると思う。」
「え!?」
エリーは思わず声をあげた。
「ブラッドリー殿はすでに結婚されていたと思いますが。」
「ああ。だが、父の様子を見ただろう?ブラッドの妻の実家はロンズデール家、父が嫌っている家だ。夫人は王立学園にも通っていない。簡単に離縁ができる、ブラッドが完全に上位の縁談なんだ。」
「で、ですが、奥様はオルグレン様が無理をしてお迎えになさった方なのですよね?」
エリーも思わず言い募ってしまう。
「エリー、君が中等部を卒業した後、ブラッドは君のところに行っただろう?」
「え、ええ。ま、まさか…?」
「まだあいつは諦めてない。この話をきいて離縁の準備を進めていると聞いたよ。」
エリーは絶句してしまった。諦めていないって、まだ自分と結婚したいと思っているってこと?なんでこんなにも執着されているの?
「いつ破断しても問題ない相手として、ブラッドは夫人を迎えているんだ。」
「しかし、それならば、ダンフォード公爵令嬢との縁談もありうるのでは?」
「それはそもそも破談になっている。ダンフォード家はブラッドに馬鹿にされたと思っているし、父もオルグレン家の権力を増すような縁談は望んではいないから、あっさり白紙になったんだ。
父もあっさりと認めると思う。」
後味が悪い。嫌な話だ。だが、家のためには致し方ないことだろう。
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