救国の巫女姫、誕生史

ぺきぺき

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80 巫女姫、考察する

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満に連れて行ってもらった初めての異人街は二乃子の中でキラキラした思い出となった。

特に最後に見たロウソクで照らされた『クリスマスツリー』なるものは幻想的で美しく、しばらくは思い出してうっとりできるだろう。うさちゃんもいるし。

その翌日、二乃子は帝と九条家の声に押されて、常磐涼夜の捕獲作戦にのりだした。


ーーーー


涼夜が『黄泉返りはしない』と断言した後、巫覡院では涼夜の次の目的に関する考察が行われた。

「そもそも、なぜ月の姫様を黄泉がえらそうとしたんだろう?それが民草を救うってどういうことかな?」

「月の姫様は10年生きていれば100年国を進歩させたとまで言われる人物だから。国が進歩すればまわりまわって民が潤うということ…?」

「なんで師匠はこんな晩年にそんなチャレンジングなことして民を救おうと思ったのかな?」

「政治に絶望したとか?でも常磐家の中にいて帝に失望するようなことはないか…。むしろ常磐家の派閥に絶望する。」

「月の姫様に特別な思い入れがあったとか?あ!恋じゃない?」

「恋してたとして、なんで自分の死の間際に生き返らせようとするの?無責任じゃない?」

二乃子と篤はお手上げ状態で満を見た。二人に同時に目を向けられて満はぎょっとした。

「満殿は恋人が死んだら、たとえ自分が死んでも生き返らせようと思いますか?」

「え、そ、え?」

満はちょっと赤くなって下を向いて、困ったように顔をあげて、天井を見てからこちらを見た。

「若くして亡くなったら、そう思うかもしれませんね。……なんでそんな驚いた顔するんですか?」

それは他人の感情に疎い巫覡の二人には理解できない思考回路だからである。

「もし、その人に夢があったら、それを成し遂げられず儚くなったら、自分の命を引き換えにしてでも叶えてあげたいと思うと思います。」

言っていて恥ずかしくなってきたのか、満が考え方を変えるように話題を変える。

「涼夜殿が考えていることは涼夜殿にしかわかりませんから。我々は状況証拠からその目的を探るのがいいと思います。」

「そうですね。ここで一つ、ヒントになる師匠の行動があります。」

「九条将軍だ。」

そう。涼夜は九条将軍を離れに滞在させ、年末まで帰さないと明言している。つまり、現在の目的において、ということである。

「黄泉返りを念頭においていた時は、九条将軍はおそらく、月の姫様の魂を時に必要なのだと考えていました。」

「魂を剥がすってどうやるんですか?」

「さあ?私にもわかりませんが、恐らく守護霊様本人にここを離れたいと思わせる必要があるのでしょう。それができる人がいるとしたら、将軍だけでしょう。」

「じゃあ、今の計画でも月の姫様の魂を九条家から剥がす必要がある、とか。」

「単純に民草のために将軍を不老不死にしようとしているのかも。」

「…政治からは引退した将軍を?」

「ちがうか。」

二乃子はため息をついた。だとわかっていても、このままではあれをやるしか、帝や九条家を納得させる方法はないだろう。

「だめですね。目的そのものをつぶすことはどう考えても不可能です。憶測が多すぎる。なので、ずっと温めてきた捕獲計画を決行します。」

「「捕獲計画?」」



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