67 / 85
ころちゃんを探していたら白い騎士からの手紙を発見してしまいました
しおりを挟む
私は夢を見ていた。
そこには白い騎士様がいた。
「白い騎士様!」
私は白い騎士様の胸の中に飛び込んだのだった。
白い騎士様は私を抱きしめてくれた。
私はとても幸せだった。
でもその幸せも長くは続かなかった。
白い騎士様は私を引き離すと悲しそうな顔をしてくれた。
「何故、そんなに悲しそうな顔をするのです?」
私が必死に尋ねたが、白い騎士様首を振るだけだった。
そして、手を振ってくれたのだ。
「えっ、白い騎士様!」
私の目の前で白い騎士様はドンドン遠ざかって行くのだ。
「待って! 白い騎士様」
私が白い騎士様に向かって頼んだのに、白い騎士様はあっという間にいなくなってしまったのだ。
「待って!」
私は自分の声に驚いて飛び起きた。
「いかがなさいました?」
サーヤが私の声に驚いて飛び込んで来た。
「何でもないわ。悲しい夢を見ただけよ」
私が説明すると
「さようでございましたか?」
サーヤはほっとしたみたいだった。
外は既に白み始めていた。
そこで私はいつも胸に抱いているころちゃんがいないのに気付いたのだ。
「ころちゃん?」
私は周りを見渡した。
「ころちゃんですか? ベッドの下にでも潜り込んでいるのですかね?」
サーヤも一緒に探し出した。
でも、どこにもいなかった。
そんな時だ。私は机の上に紙がおいてあるのに気付いたのだ。
何か書いてある。私はその紙に近付いた。
『宰相反乱時、南の皇子頼れ。あなたの白い騎士より』
それは汚い字でそう書かれていた。子供が書いたような字体だった。
「サーヤ!」
私はサーヤを呼んだ。
「いかがなさいました、姫様」
ベッドの下を探していたサーヤが慌てて私の所に来た。
「このような手紙があるんだけど」
「手紙でございますか?」
そう言ってサーヤがその汚い伝言のような置き手紙を読んでくれた。
「姫様、これはどういう事でしょう?」
「判らないわ。どういう事でしょう? 取りあえず、手紙のことは内密にして騎士達に誰かこの部屋に入った者がいるかどうか確認してきてくれる?」
「判りました」
サーヤはそう言うと部屋の外で警備している騎士に確認しに行った。
『宰相反乱時、南の皇子頼れ。あなたの白い騎士より』
これはどういう意味があるんだろう?
宰相が反乱を起こすということ? でも、今でも大半の事は宰相の許可がないと認可されないから、わざわざ反乱を起こす必要はないと思うけれど、宰相は血迷ったのだろうか?
ノース帝国の皇帝に示唆されたのかもしれない。
ノース帝国は自国の勢力圏を大きくする為には卑怯なことも平気でやる国だった。宰相の傀儡国のこのモルガン王国だが、自らの王女の息子にこの国を継がせようとすれば、反乱を起こすのが確実だ。
もし宰相が反乱を起こしたらその時にはサウス帝国の皇子のフェルディナントに頼れということだろうか?
でも、フェルディナントは宰相の娘のアレイダと婚約の話があるはずだった。私がフェルディナントを頼って問題ないんだろうか?
でも、以前助けてくれた私の白い騎士様がわざわざ危険を冒して忍び込んで伝えてくれたのだ。それは信じるに足る情報だろう。
しかし、白い騎士様はこの部屋に忍び込んで来たんだろうか? そしてね私の寝顔を見て帰って行ったということ?
それを思うと私は顔が赤くほてってきた。
でも、今は騎士達が三人交替でこの部屋を守っているのに、中々この部屋に忍び込むのは難しいと思うんだけど、どうやって忍び込んだんだろう?
私には判らないことだらけだった。
それにころちゃんがいなくなったのも気になった。
普通不審な者が忍び込んできたらころちゃんが真っ先に気付いて吠えてくれるはずだ。
まさか、ころちゃんが気付いて吠えようとしたところを白い騎士様に斬られたとか?
いや、それはないはずだ。
お優しい白い騎士様がそんなことをする訳はない。
でも、そうしたらころちゃんはどこに行ったのだろう?
ひょっとしてころちゃんは忍び込んだ白い騎士様の後をつけてくれたとか?
でも、それはあまりにも自分に都合の良い思い込みだと思う。
あの可愛いころちゃんが忍者のように忍び込んで来た白い騎士様をつけられるかというと絶対にそんな才覚はないと思う。一瞬で見つかって終わりだろう。
じゃあ、ころちゃんはどこに行ったんだろう?
私にはますます判らなくなった。
「姫様。外の騎士に確認してきましたが、間違いなく、誰も出入りした者はおりません。」
サーヤが私に結果を教えてくれた。
「取りあえず、私一人では判断できないわ。すぐにお父様に連絡して極秘に会って相談した方が良いと思うのだけれど」
「さようでございますね。ただ、まだ、夜が明けたところです。朝食を陛下と一緒に取られるというのはどうでしょうか?」
「そうね。その方向でお父様とすりあわせてくれる」
「かしこまりました。あと少しお時間がございますから、姫様ももう少しお休みください」
サーヤはそう言うや、部屋を出て行った。
お父様の侍女達とすりあわせをするのだろう。
でも、もう少し寝ろと言われてもこんな置き手紙があったのだ。私はそう簡単にはねれなかった。
それに白い騎士様に寝顔を見られたらと思うととても恥ずかしかったのだ。私はベッドの中でああでもないこうでもないと考えては赤面して全然寝れなかった。
そこには白い騎士様がいた。
「白い騎士様!」
私は白い騎士様の胸の中に飛び込んだのだった。
白い騎士様は私を抱きしめてくれた。
私はとても幸せだった。
でもその幸せも長くは続かなかった。
白い騎士様は私を引き離すと悲しそうな顔をしてくれた。
「何故、そんなに悲しそうな顔をするのです?」
私が必死に尋ねたが、白い騎士様首を振るだけだった。
そして、手を振ってくれたのだ。
「えっ、白い騎士様!」
私の目の前で白い騎士様はドンドン遠ざかって行くのだ。
「待って! 白い騎士様」
私が白い騎士様に向かって頼んだのに、白い騎士様はあっという間にいなくなってしまったのだ。
「待って!」
私は自分の声に驚いて飛び起きた。
「いかがなさいました?」
サーヤが私の声に驚いて飛び込んで来た。
「何でもないわ。悲しい夢を見ただけよ」
私が説明すると
「さようでございましたか?」
サーヤはほっとしたみたいだった。
外は既に白み始めていた。
そこで私はいつも胸に抱いているころちゃんがいないのに気付いたのだ。
「ころちゃん?」
私は周りを見渡した。
「ころちゃんですか? ベッドの下にでも潜り込んでいるのですかね?」
サーヤも一緒に探し出した。
でも、どこにもいなかった。
そんな時だ。私は机の上に紙がおいてあるのに気付いたのだ。
何か書いてある。私はその紙に近付いた。
『宰相反乱時、南の皇子頼れ。あなたの白い騎士より』
それは汚い字でそう書かれていた。子供が書いたような字体だった。
「サーヤ!」
私はサーヤを呼んだ。
「いかがなさいました、姫様」
ベッドの下を探していたサーヤが慌てて私の所に来た。
「このような手紙があるんだけど」
「手紙でございますか?」
そう言ってサーヤがその汚い伝言のような置き手紙を読んでくれた。
「姫様、これはどういう事でしょう?」
「判らないわ。どういう事でしょう? 取りあえず、手紙のことは内密にして騎士達に誰かこの部屋に入った者がいるかどうか確認してきてくれる?」
「判りました」
サーヤはそう言うと部屋の外で警備している騎士に確認しに行った。
『宰相反乱時、南の皇子頼れ。あなたの白い騎士より』
これはどういう意味があるんだろう?
宰相が反乱を起こすということ? でも、今でも大半の事は宰相の許可がないと認可されないから、わざわざ反乱を起こす必要はないと思うけれど、宰相は血迷ったのだろうか?
ノース帝国の皇帝に示唆されたのかもしれない。
ノース帝国は自国の勢力圏を大きくする為には卑怯なことも平気でやる国だった。宰相の傀儡国のこのモルガン王国だが、自らの王女の息子にこの国を継がせようとすれば、反乱を起こすのが確実だ。
もし宰相が反乱を起こしたらその時にはサウス帝国の皇子のフェルディナントに頼れということだろうか?
でも、フェルディナントは宰相の娘のアレイダと婚約の話があるはずだった。私がフェルディナントを頼って問題ないんだろうか?
でも、以前助けてくれた私の白い騎士様がわざわざ危険を冒して忍び込んで伝えてくれたのだ。それは信じるに足る情報だろう。
しかし、白い騎士様はこの部屋に忍び込んで来たんだろうか? そしてね私の寝顔を見て帰って行ったということ?
それを思うと私は顔が赤くほてってきた。
でも、今は騎士達が三人交替でこの部屋を守っているのに、中々この部屋に忍び込むのは難しいと思うんだけど、どうやって忍び込んだんだろう?
私には判らないことだらけだった。
それにころちゃんがいなくなったのも気になった。
普通不審な者が忍び込んできたらころちゃんが真っ先に気付いて吠えてくれるはずだ。
まさか、ころちゃんが気付いて吠えようとしたところを白い騎士様に斬られたとか?
いや、それはないはずだ。
お優しい白い騎士様がそんなことをする訳はない。
でも、そうしたらころちゃんはどこに行ったのだろう?
ひょっとしてころちゃんは忍び込んだ白い騎士様の後をつけてくれたとか?
でも、それはあまりにも自分に都合の良い思い込みだと思う。
あの可愛いころちゃんが忍者のように忍び込んで来た白い騎士様をつけられるかというと絶対にそんな才覚はないと思う。一瞬で見つかって終わりだろう。
じゃあ、ころちゃんはどこに行ったんだろう?
私にはますます判らなくなった。
「姫様。外の騎士に確認してきましたが、間違いなく、誰も出入りした者はおりません。」
サーヤが私に結果を教えてくれた。
「取りあえず、私一人では判断できないわ。すぐにお父様に連絡して極秘に会って相談した方が良いと思うのだけれど」
「さようでございますね。ただ、まだ、夜が明けたところです。朝食を陛下と一緒に取られるというのはどうでしょうか?」
「そうね。その方向でお父様とすりあわせてくれる」
「かしこまりました。あと少しお時間がございますから、姫様ももう少しお休みください」
サーヤはそう言うや、部屋を出て行った。
お父様の侍女達とすりあわせをするのだろう。
でも、もう少し寝ろと言われてもこんな置き手紙があったのだ。私はそう簡単にはねれなかった。
それに白い騎士様に寝顔を見られたらと思うととても恥ずかしかったのだ。私はベッドの中でああでもないこうでもないと考えては赤面して全然寝れなかった。
17
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる