婚約破棄されたので下剋上することにしました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
6 / 115

クラスメート達は婚約者に憤ってくれて。私はもう少し頑張ってみようと思いました

しおりを挟む
「リディ、気がついたんだって!」
「リディ大丈夫か?」
 私が気がついたと聞いて剣術部のレックスとアーチが駆け込んできてくれた。
「なんとか大丈夫よ」
 私が頷くと、
「そうか、良かったな」
 レックスとアーチは安心してくれた。

「リディ!」
 そこにベティが飛び込んできた。
「良かった、意識が戻って!」
 私の胸にすがりついて泣き出してくれたんだけど……
 私は胸が熱くなった。
 私はこの国ではひとりぼっちじゃ無かった。

 その後からクラスメートがぞろぞろと入ってきてあっという間に保健室はいっぱいになるんだけど。
「本当に、あのぼけ王太子、か弱い、リディに斬りかかるなんて、なんて事してくれるのよ」
「本当に許せないわ」
 ベティらが憤慨してくれるんだけど……
 まあ、私がか弱い女の子かどうかはまた別だ……
 絶対にレナードらが聞いたら明後日の方を向いて、
「どこにか弱い女の子がいるのです?」
 とキョロキョロ周りを探してくれるはずだ。

「まあ、リディ、仇は取っておいてやったからな」
「えっ、何したの?」
 アーチの言葉に私は驚いた。
「あいつ、倒れたリディに向かって『これでいい気になっていたリディアーヌも少しはましになるだろう』とかぬかしやがったからな。剣の鞘を頭にぶつけてやったんだ。
 そのまま地面に顔事ぶつけてくれたからな。皆で笑ってやったぜ」
 えっ、それを王太子相手にやるのはちょっとまずかったんじゃないかと私は少し心配した。

「『これで少しはましになるかな』っておんなじ言葉を投げつけてやったんだ」
 剣術部の面々が言ってくれるんだけど、いやいや、それってどう聞いても不敬になってしまうだろう!
 それはまずいって!
 さすがの私もそう思った。
 でも、婚約者のエイベルの私に対する傍若無人な態度に剣術部の面々やクラスメートは完全に切れていた。
 多くの貴族達は王太子の味方だが、E組の大半と剣術部の面々は婚約者の私をないがしろにするエイベルに対して怒ってくれていたのだ。今回の件で怒りに火がついたんだろう。
 私はそれを注意するよりも少しうれしかった。
 まあ、これからエイベルの貴下の騎士団の一員としてやっていく剣術部の面々にとって、絶対に良くないことだが、私のためにやってくれた事なのだ。それを怒ることなど出来なかった。

「皆ありがとう」
 私はそうお礼を言うしか出来なかった。

「なあに、未来の王妃様のためならお安いご用だよ」
「そうだ。あの王太子は気に入らないけれどリディには忠誠を誓える」
「そうだ。リディのためなら頑張れるさ」
 レックスまで行ってくれるんだけど
「おいおい、レックス。お前は卒業したらボルツアーの王国に帰還するんだろう。他国の王妃に忠誠を誓ってどうするんだよ」
「そうだぜ」
「おかしいだろう」
「ふんっ、クラスメートとして、また、同じ剣術部の仲間としてなら助けになれるさ」
 レックスは言ってくれたんだけど……それで本当に良いのか?
 私には疑問だった。
 まあ、レックスがそれで良いというのならば良いけれど……

「でも、皆、私に忠誠を誓ってくれるのは良いけれど、私はエイベル様の婚約者でいられるかどうかは判らないわよ」
 私が冗談ぽく言うと、
「そんなわけ無いだろう」
「そうだ。リディは王太子の婚約者じゃ無いか」
 男達が言い出した。
「でも、リディは王女殿下なのよ。私がリディなら婚約者をないがしろにするあんな相手は嫌よ」
「それはそうだが、リディ、俺たちを見捨てて国に帰るのか」
「そんな」
「俺たちはリディのためなら戦えるって思っていたのに」
「ちょっとあんた達、リディにも選ぶ権利があるわよ。こんな対応されて、普通は許さないわよ。怪我させておいて、一度も見舞いにも来ないなんて」
 そういえばエイベルはここにはいなかった。
 私の事など気にもしていないのだろう。このまま死んでしまった方が都合が良いと思っているのではないだろうか?
 私はそう思うと少し悲しかった。

「リディ、やはり国に帰るのか?」
 心配そうにアーチが聞いてきた。
「何言っているのよ。私は自らは帰るつもりは無いわ」
 私は皆を見回したのだ。
「でも、エイベル様が何というかは別よ」
 私の言葉に皆は黙り込んでしまった。
 皆一瞬で静かになってしまった。

「そうだよな。卒業パーティーでアラベラをエスコートするような奴だからな」
「リディみたいな素敵な婚約者がいるのにほかの女をエスコートするなんて信じられないわ」
 ベティの言葉に私は感動した。
 エイベルにはがさつな女とか低脳とか、編み物も出来ない無能女とかしか言われたことが無いのだ。
 素敵ななんて言われたことがなかった。

「皆、私が婚約破棄されたらごめんね」
 私は皆に謝ったのだ。
「何言っているんだ。そんなことしたらこちらから王太子を廃嫡してやるよ」
「そうだそうだ」
 アーチがとても不敬なことを言ってくれたんだけど、それに皆も頷いているんだけど、そこは頷くなよ。
「ちょっと貴方たち、そんなこと外では口が裂けても言ってはだめよ」
 まあ、最悪いるところがなくなれば我が国で騎士として雇うことは出来るけれど、彼らはそんなことは期待していないだろう。
 私は帰る気満々だったんだけど、こいつらのためならもう少し我慢してもいいかなと思ってしまったのだ。
***********************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました
ここから話は怒濤の展開に。
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

処理中です...