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王命に反して敵領の本陣を攻撃した罪を問われて、牢屋に入れられました
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「リディアーヌ。今はそういうことを聞いているのではない」
お父様が私を睨んで言ってきた。
私はお父様をにらみ返した。
「俺がお前に依頼したのは3っつだ。聖剣を使わない。竜を出さない。砦から出て戦わないの三点だ」
お父様が確認してきた。
「この三点、しかとお前に頼んだな」
私はやむを得ず頷いた。
「陛下、聖剣を使ったのは殿下が命の危険に瀕したからで、そこはお許し頂きたい」
レックスが私のために言ってくれた。
「レックス、リディアーヌなら例え斬りつけられても強化魔術で対抗できたはずだ」
お父様は冷たく言ってくれた。
「はい、しかし、戦闘では予測困難のことも多々あり」
「さようでございます。殿下は200倍の敵と戦われたのです。その殿下にそこを責めるのは間違っておりましょう」
レックスに飛竜騎士団長のエイブまで私を応援してくれた。
「私はそこを責めているのではない」
「ではどこなのですか?」
私が思わず聞いていた。
「リディ、お前は聖剣も使い、竜も使い、なおかつその竜に乗って砦から絶対に出るなと言う私の要請を無視して敵地に攻め込んだではないか」
お父様が言ってきた。
「確かに私はドラちゃんに乗って敵本陣に攻め込みました」
私はお父様に言い返した。
「当時、我が軍は疲労困憊、味方の兵士達が次々に倒れている現状でした。私はこの危機を打開するために、敵大将を倒す攻撃に出たのです」
「さすが竜姫様でございます。絶妙のタイミングでした」
エイブは私を褒め称えてくれた。
「エイブ、口を挟むな。俺はリディアーヌと話している」
しかし、お父様が不機嫌そうに注意した。
「しかし、陛下のおっしゃるのは不可解です。ギンガルメ王国の考えを考慮される前に我がインスブルク王国の考えをはっきりとお話しされなければならないのではないですか?」
エイブは一歩も下がる気は無いみたいだ。
「ギンガルメの考えなど話してはオランわ。私はインスブルクの初代様のお話をしているのだ」
「初代様ですか?」
初代国王はドラちゃんのような巨大竜を従えて当時大帝国の圧政に苦しんでいた民衆を解放し、ここにインスブルク王国を打ち立てたのだ。
「その初代様がどうされたのですか?」
エイブが再度聞いていた。
「初代様が我が王族に残された言葉をリデイアーヌは覚えいてるか?」
「はい。我が一族はこの地から出るなかれ。決して他領に侵攻などせずにこの地を守れと」
「そうだ。リディアーヌはその始祖の言葉を違えたのだ」
お父様はそう言い切ってくれたんだけど……
「しかし、陛下、殿下のしたことは砦を攻撃中の敵本陣をついただけで、それを侵攻というのは違うと思いますが」
「さようでございます。防衛の一端として攻撃軍の本陣をついただけではありませんか」
レックスとエイブが私を援護してくれた。
「しかし、初代様は厳に戒められているのだ。決して一歩たりとも他領に攻め入るなと、代々の国王にその戒めを残しておられるのだ。今回リディアーヌはシュタイン王国を数キロに渡って侵攻した」
お父様は冷たく言い放ってくれた。
「しかし、これ以上の犠牲を出さないためにはあそこはああやるしかなかったかと」
「私が絶対に砦から出るなと命じたにもかかわらずか」
私の反論の言葉にお父様はとても不機嫌そうに聞いてきた。
「兵士の命を守るためには仕方がなかったと思います」
私はお父様と正面から向き合った。
「初代様のお言葉を破ってもか?」
「一番大切なのは兵士の命です。初代様の言葉よりも兵士の命が優先されます」
お父様の念押しに対して、私はそう答えるしかなかった。初代様のお言葉であろうが何であろうが、人の命より尊いものはないのだ。
「お前は人の命がかかっていれば王命よりも人命を大事にするというのか」
「はい」
私は当然の如く頷いたのだ。
「やむを得ん」
お父様は首を振って私を見つめた。
「リディアーヌ、お前には1ヶ月間の反省房行きを命じる」
「えっ」
私は一瞬固まった。反省房という言葉はまだましだが、つまるところ、牢に収監されるということだった。私はあっても自室謹慎だと思っていた。まさか牢に入れられるとは思ってもいなかった。
私の周りに近衞騎士がすまなそうに寄ってきた。
「陛下、それはさすがに酷いではありませんか」
「さようでございます。何故一番の功労者のリディアーヌ様が入牢しなければいけないのですか? それを言われるなら後方にいてのうのうとしていた近衞も含めた我々兵士全員に入牢を申しつけ下さい」
決死の勢いでエイブが言ってくれた。
いやいや、そんなことしたら国が回らなくなる。
これ以上飛竜騎士団長が逆らうのは良くない。
「判りました」
私は皆のために頷いたのだ。
これ以上私が反論したら下手したらもっと反対者が出てきて収拾がつかなくなるだろう。私一人が牢に入って済むのであればそれで良い。
「しかし、リディ」
レックスが私に反対しようとした。
「レックス、ここ一週間、ほとんどきちんと眠れなかったの。だから牢の中でゆっくりと寝るわ」
「リディ」
「お願い、レックス! 私の言うことを聞いて!」
「判った」
私の必死の願いにレックスは仕方なしに頷いてくれた。
「皆に言ってちゃんと訓練させてね。一ヶ月なんてすぐだから」
私はレックスに笑いかけた。
「リディアーヌ様!」
「エイブ。貴方たちが牢に入ったら誰が国を守るのよ。貴方たちは今まで以上に訓練に励みこの国を守りなさい」
エイブにも私は笑みを浮かべて言ったのだ。
「お父様お母様、今までいろいろとお世話になりました」
私は二人に向かって頭を下げた。
お父様は唖然と私を見ていた。
「何を言うの? リディアーヌ。高々反省房入りをするくらいで」
お母様が言うが、反論しないということはお母様もお父様に賛成しているということだ。でも、私は初代様の言葉よりも、兵士一人一人の命が大切だ。また、こんな事があったら初代様の言葉を平気で破るだろう。
「いえ、あまり直接お礼を言う機会が無かったもので、良い機会だと思ったので今話しておきます」
私はここでお母様にもきちんとお礼を言っておきたかった。
「リディ……」
お母様が固まってしまった。
「お兄様、お義姉様、短い間でしたが、お世話になりました」
「ちょっと待て、リディ、何をする気だ?」
お兄様が聞いてきた。
「何をするも私は入牢するだけです。単に入る前に挨拶しようと思いまして。それだけですよ」
私が笑って言うのをお兄様が胡散臭そうに見てきた。
「あのう、リディアーヌさん。私は決してあなたと敵対するつもりは」
「私も敵対するつもりはありませんわ。ただ、国のために必死に戦ったら牢に入れられるようになったので、驚いているだけです」
私は兄嫁を軽蔑して見たのだった。
「リディ、違うわ。コーデリアはあなたの為を思って」
お母様が私によって来ようとしたが、私は首を振った。
「私はお父様やお母様、お義姉様みたいに、兵士の命を粗末には出来ません」
私は皆にはっきりと言い切ったのだ。
「いや、待て、俺も兵士の命を粗末にしろとは言っていない」
お父様の言葉に私は完全にカチンときた。
「よくそう言うことが言えますね。敵本陣を急襲したから、聖剣を使ってドラちゃんに乗って敵本陣を攻撃したから我が砦はあれだけの犠牲で済んだのです。最初からその手を使っていたらもっと犠牲者は少なかったのです。私はお父様の言うことを聞いて最初から使わなかったことをとても後悔しています」
私はそう言うとその場から駆けだしたのだ。
「リディ!」
お父様が止めようとしたが、私は無視してその場を飛び出したのだった。
*******************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました
死にもの狂いで頑張って大勝に持ち込んだのに、牢に入れられることになって少し荒れているリディ……
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
お父様が私を睨んで言ってきた。
私はお父様をにらみ返した。
「俺がお前に依頼したのは3っつだ。聖剣を使わない。竜を出さない。砦から出て戦わないの三点だ」
お父様が確認してきた。
「この三点、しかとお前に頼んだな」
私はやむを得ず頷いた。
「陛下、聖剣を使ったのは殿下が命の危険に瀕したからで、そこはお許し頂きたい」
レックスが私のために言ってくれた。
「レックス、リディアーヌなら例え斬りつけられても強化魔術で対抗できたはずだ」
お父様は冷たく言ってくれた。
「はい、しかし、戦闘では予測困難のことも多々あり」
「さようでございます。殿下は200倍の敵と戦われたのです。その殿下にそこを責めるのは間違っておりましょう」
レックスに飛竜騎士団長のエイブまで私を応援してくれた。
「私はそこを責めているのではない」
「ではどこなのですか?」
私が思わず聞いていた。
「リディ、お前は聖剣も使い、竜も使い、なおかつその竜に乗って砦から絶対に出るなと言う私の要請を無視して敵地に攻め込んだではないか」
お父様が言ってきた。
「確かに私はドラちゃんに乗って敵本陣に攻め込みました」
私はお父様に言い返した。
「当時、我が軍は疲労困憊、味方の兵士達が次々に倒れている現状でした。私はこの危機を打開するために、敵大将を倒す攻撃に出たのです」
「さすが竜姫様でございます。絶妙のタイミングでした」
エイブは私を褒め称えてくれた。
「エイブ、口を挟むな。俺はリディアーヌと話している」
しかし、お父様が不機嫌そうに注意した。
「しかし、陛下のおっしゃるのは不可解です。ギンガルメ王国の考えを考慮される前に我がインスブルク王国の考えをはっきりとお話しされなければならないのではないですか?」
エイブは一歩も下がる気は無いみたいだ。
「ギンガルメの考えなど話してはオランわ。私はインスブルクの初代様のお話をしているのだ」
「初代様ですか?」
初代国王はドラちゃんのような巨大竜を従えて当時大帝国の圧政に苦しんでいた民衆を解放し、ここにインスブルク王国を打ち立てたのだ。
「その初代様がどうされたのですか?」
エイブが再度聞いていた。
「初代様が我が王族に残された言葉をリデイアーヌは覚えいてるか?」
「はい。我が一族はこの地から出るなかれ。決して他領に侵攻などせずにこの地を守れと」
「そうだ。リディアーヌはその始祖の言葉を違えたのだ」
お父様はそう言い切ってくれたんだけど……
「しかし、陛下、殿下のしたことは砦を攻撃中の敵本陣をついただけで、それを侵攻というのは違うと思いますが」
「さようでございます。防衛の一端として攻撃軍の本陣をついただけではありませんか」
レックスとエイブが私を援護してくれた。
「しかし、初代様は厳に戒められているのだ。決して一歩たりとも他領に攻め入るなと、代々の国王にその戒めを残しておられるのだ。今回リディアーヌはシュタイン王国を数キロに渡って侵攻した」
お父様は冷たく言い放ってくれた。
「しかし、これ以上の犠牲を出さないためにはあそこはああやるしかなかったかと」
「私が絶対に砦から出るなと命じたにもかかわらずか」
私の反論の言葉にお父様はとても不機嫌そうに聞いてきた。
「兵士の命を守るためには仕方がなかったと思います」
私はお父様と正面から向き合った。
「初代様のお言葉を破ってもか?」
「一番大切なのは兵士の命です。初代様の言葉よりも兵士の命が優先されます」
お父様の念押しに対して、私はそう答えるしかなかった。初代様のお言葉であろうが何であろうが、人の命より尊いものはないのだ。
「お前は人の命がかかっていれば王命よりも人命を大事にするというのか」
「はい」
私は当然の如く頷いたのだ。
「やむを得ん」
お父様は首を振って私を見つめた。
「リディアーヌ、お前には1ヶ月間の反省房行きを命じる」
「えっ」
私は一瞬固まった。反省房という言葉はまだましだが、つまるところ、牢に収監されるということだった。私はあっても自室謹慎だと思っていた。まさか牢に入れられるとは思ってもいなかった。
私の周りに近衞騎士がすまなそうに寄ってきた。
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いやいや、そんなことしたら国が回らなくなる。
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これ以上私が反論したら下手したらもっと反対者が出てきて収拾がつかなくなるだろう。私一人が牢に入って済むのであればそれで良い。
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レックスが私に反対しようとした。
「レックス、ここ一週間、ほとんどきちんと眠れなかったの。だから牢の中でゆっくりと寝るわ」
「リディ」
「お願い、レックス! 私の言うことを聞いて!」
「判った」
私の必死の願いにレックスは仕方なしに頷いてくれた。
「皆に言ってちゃんと訓練させてね。一ヶ月なんてすぐだから」
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「エイブ。貴方たちが牢に入ったら誰が国を守るのよ。貴方たちは今まで以上に訓練に励みこの国を守りなさい」
エイブにも私は笑みを浮かべて言ったのだ。
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お父様は唖然と私を見ていた。
「何を言うの? リディアーヌ。高々反省房入りをするくらいで」
お母様が言うが、反論しないということはお母様もお父様に賛成しているということだ。でも、私は初代様の言葉よりも、兵士一人一人の命が大切だ。また、こんな事があったら初代様の言葉を平気で破るだろう。
「いえ、あまり直接お礼を言う機会が無かったもので、良い機会だと思ったので今話しておきます」
私はここでお母様にもきちんとお礼を言っておきたかった。
「リディ……」
お母様が固まってしまった。
「お兄様、お義姉様、短い間でしたが、お世話になりました」
「ちょっと待て、リディ、何をする気だ?」
お兄様が聞いてきた。
「何をするも私は入牢するだけです。単に入る前に挨拶しようと思いまして。それだけですよ」
私が笑って言うのをお兄様が胡散臭そうに見てきた。
「あのう、リディアーヌさん。私は決してあなたと敵対するつもりは」
「私も敵対するつもりはありませんわ。ただ、国のために必死に戦ったら牢に入れられるようになったので、驚いているだけです」
私は兄嫁を軽蔑して見たのだった。
「リディ、違うわ。コーデリアはあなたの為を思って」
お母様が私によって来ようとしたが、私は首を振った。
「私はお父様やお母様、お義姉様みたいに、兵士の命を粗末には出来ません」
私は皆にはっきりと言い切ったのだ。
「いや、待て、俺も兵士の命を粗末にしろとは言っていない」
お父様の言葉に私は完全にカチンときた。
「よくそう言うことが言えますね。敵本陣を急襲したから、聖剣を使ってドラちゃんに乗って敵本陣を攻撃したから我が砦はあれだけの犠牲で済んだのです。最初からその手を使っていたらもっと犠牲者は少なかったのです。私はお父様の言うことを聞いて最初から使わなかったことをとても後悔しています」
私はそう言うとその場から駆けだしたのだ。
「リディ!」
お父様が止めようとしたが、私は無視してその場を飛び出したのだった。
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