婚約破棄されたので下剋上することにしました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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適当に許可したら周りに勝手に宣戦布告させられていました

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 私達は、レナード中心にアラカルト男爵領を占拠していた残りの騎士達を制圧した。
 はっきり言って、レナード一人いれば制圧なんて容易かった。何しろ彼は自他共に認める大陸最強の魔術師なんだから……

 なのに、
「全ては竜帝様の子孫の私の力のお陰だ」
 と皆に広言して憚らないんだけど……ちょっと違うんじゃない!
 私はとても不満だった。
各地に散らばった騎士達に聞いていくのだ。
「こちらのお方は、竜帝様のご子孫で、竜姫様にあらせられるぞ。直ちに降伏せよ。それともその方どもは死にたいのか?」
 私を後ろに従えて、レナードが歩き、
「はああああ、誰だ、それは」
 と反対する男はレナードが瞬時に燃やしたのだ。

「おおおお、竜姫様のお怒りを食らうとはおろかな奴よ」
その後に言ってくれるんだけど……
燃やしているのはレナードだ!
「ちょっとレナード。今のあなたが燃やしたんでしょ。私は何もしていないじゃない!」
私がむっとして言うと、
「さようでございますか。竜姫様はご自身で対処したいと」
「いや、そうはいっていないけれど……」
全員殴り倒すのは骨だと、私が思った時だ。

「おいおい、何が竜姫様だ。金髪の山姥だろう。勝手に格好良い名前をつける……ギャー」
男が言い終わるより前に私の手が勝手に動いていた。
「誰が金髪の山姥よ!」
そういったときには既に私のアッパーがその男の顔に炸裂していた。

男は顔を血まみれにして吹っ飛んでいたのだ。

「「「ヒィィィィィ」」」
ほかの騎士達は震え上がったのだ。
「こいつ、本当に馬鹿だよな。姫様の前でその言葉を吐くなんて。殺してくださいって言っているようなものなのに」
トーマスが言ってくれた。
「本当に。姫様、見た目は可愛い姫様なのに、怒らせたら一番恐ろしいよな」
ザカリーがその尻馬に乗って言ってくれた。

「ちょっとそこ二人、何か言った?」
「いえ、何でもありません」
私の声に二人が直立不動で答えてくれたんだけど、ますます皆におそれられてしまうじゃない!
私はむっとした。

「ほっほっほっほ、姫様やはり姫様がされますか」
「いいわ。レナードに任せます」
レナードもわかりきったことを聞かないでほしい
私はむっとしていったのだった。

「姫様。直ちに周りの領主達に降伏勧告をしたいと思いますが、よろしいですか?」
レナードが聞いてきたのだ。
「降伏勧告って、まだほとんど戦っていないのに、降伏勧告しても来ないと思うわ」
私が正直に言うと、
「まあ、そうですが、何も力尽くで征服するだけが脳ではないと思いますぞ。降伏勧告して、それを聞いてくれればそれに越したことはないのではないかと」
レナードが言うので、私はそれもそうかと思ったのだ。
それが間違いだった。

「リディ、なかなか挑戦的なことを書かせたんだな」
レックスが私に聞いてきたのはその日の夜だった。
「えっ、何の話」
「レナード殿が、リディの言ったことをまとめたと言われていたぞ」
そう言ってレックスが私が送った降伏勧告の書状を見せてくれたのだ。

「周辺の領主達へ
私は夢で竜帝陛下の宣託を受けたリディアーヌ・インスブルクである。
予は陛下よりこの搾取された地を腐った変態国王から解放するように言われた。
皆も知っているように、竜姫たる予をえん罪にかけて婚約破棄した上に断罪しようとした廃太子のエイベルには天誅を加えた。
それに反発した国王は何を狂ったのか予の前に大軍を向かわしたので、それを壊滅させた。
それに反発した国王は中央貴族達に、元竜帝陛下の配下だった全地方貴族の征伐を命じたのだ。
その地方貴族の妻子は好きにして良いと。
何の罪もない、予の友人のアラカルト男爵令嬢を反逆罪をでっち上げて、拷問していたのを予は王宮を急襲してこれを助けた。
その母のアラカルト男爵夫人は、積年の欲望を晴らそうとしたホーキンスなるものに王命を持って襲わされたが、その者は予が成敗した。
このような国王に従って成敗されるのを待つか、今すぐ予に従って自らを守り、国王からこの地を奪還するのを手伝うか、早急に決めよ。予の命に従わぬ場合はホーキンスのように成敗するものとする。
竜帝陛下の僕の竜姫リディアーヌ」

な、何なのよ! これは!
私は書面を見て呆然としたんだけど。
まあ、降伏勧告はするのは認めたけれど、ここまで強烈な文章を書けとは言っていないんだけど。

「どう言うことなのよ、レナード」
私が怒ってレナードに文句を言うと
「まあ、姫様。どのみち敵が攻撃してくるのは確実なのです。ならば最初からちゃんと教えておいてやる方が親切と言うものですわ」
そう言ってレナードは笑ってくれたんだけど、
「これじゃあ、まるで私が威張った暴君みたいじゃない!
おとなしい王女なのに!」
「大人しい姫様って、そんなのどこにいるんだよ」
ザカリーの言葉が聞こえた。
私は今度こそ叩いてやろうと思ったのに、ザカリーはさああああっと逃げた後だった。


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