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竜王の側近の独り言 卒業パーティーで片思いの人が婚約破棄されたので、ついていくことにしました
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俺はレックス・フェルト。
ボルツアーノ王国の伯爵家の息子になっている。
そういう名目でずうーっと通してきた。
俺は5歳の時によくあるお家騒動で、インスブルクという小国に避難させられた。
まあ、今後の為にも世間を見ておくかと言う気持ちもあった。
インスブルクなんて言う小国よりはシュタイン王国とか帝国とかもっと大国に行きたかったのだが、父の言うにはインスブルクの方が安全だそうだ。母の従妹がインスブルク王国に嫁いでいたというのもあった。俺は仕方なしにインスブルクに来てやったのだ。
でも、そこにいたリディとかいう小娘には頭にきた。
「あなた、剣は使えるの?」
いくら王族とは言え、俺様に向かって言うことか?
「誰に向かって言っている。俺は剣聖になるかもしれないと周りから期待されているんだぞ」
俺はその同い年くらいの女に言ってやったのだ。
「ふうん。じゃあ、私が訓練を付けてあげるわ」
女が言い出したのだ。
「はああああ?」
俺はこの女の言う意味がわからなかった。
「貴様なんかが俺様に訓練を付けられる訳はないだろう。怪我したいのかよ」
俺はそう叫んでいた。
「なあんだ。弱いから私に負けるのが怖いんだ」
その女はとんでもないことを笑って言ってくれたのだ。
「何だと、負けて泣き言を言うなよ」
俺はその女と模擬剣をもって立ち会ったのだ。
なあに、多少強く打ち込んでやればそれだけで泣き出すだろう。
俺はそう思ったのだ。
でも、俺はコテンパンにやられてしまったのだ。
周囲から神童と言われた俺が……
剣を振るスピードも剣を持って動く動きも、全く俺には見えなかった。
「ふんっ、でかい口きくから少しは出来ると思ったのに、全然なのね」
俺は呆然とその言葉を聞く事しか出来なかった。
完敗だったのだ。
それからだった。俺が必死に剣術に取り組んだのは。
俺は絶対にいつかその子に勝つと心に決めたのだった。
国に帰ってからも俺は必死に訓練した。
俺はその女に勝つために、必死に頑張ったのだ。
その子は剣を持つ姿がとても凜々しかった。
たまにその子と遊んだ事を俺は夢に見た。
でも、その俺が、その女の子がシュタイン王国の王太子の婚約者になったと聞いた時はショックだった。
しばらく食も進まなかったくらいだった。
俺は15歳の時に、その子がシュタイン王国に留学すると聞いてシュタイン王国に留学したのだ。
なんとか同じクラスに滑り込んだが、その子は何故かシュタインの文官達からは軽んじられていた。王太子の婚約者なのに、最低のEクラスにクラス分けされていたのだ。まあ、それは俺にとって好都合だった。
それに久々に見たその子はとてもきれいになっていた。
剣を持つ姿は更に凜々しかった。
でも、死ぬ思いで訓練してきたのに、対戦した俺はまたあっさりと負けてしまった。
前よりは粘れたが、全然叶わなかったのだ。
俺は唖然とした。はっきり言ってこの子の強さは別物だ。初代竜王の生まれ変わりと言われた理由もよく判った。その子は並み居る先輩達を叩きのめすと名実とともにあっという間に剣術部の部長になったのだ。
しかし、諦める訳にはいかない。俺はリディに勝つために今まで必死にやってきたのだ。俺はそれからも剣術部で必死に頑張った。必死に頑張った甲斐があって俺はリディ以外には勝てるようにはなっていた。でも、リディにはまだ、まるで歯が立たなかったけれど……
そんな三年間だったけれど、いつの間にかリディはおれにとってのライバル以上の存在になっていた。いつの間にか俺はこの子の隣に立とうと必死になっていたのだ。幸いなことに王太子はこの子に固執していない。一縷の希望をもって、必死に頑張ったのだ。
リディに認められたいがために。
それは剣術ばかりではなかった。勉強も頑張ったのだ。
「レックスって勉強できるんだ」
それが認められて俺はいつのまにか、リディに勉強を教える役になっていた。
「ああ、そういう風にと考えるんだ」
理科の科目とかで俺はリデイに感心されて有頂天になることもあった。
俺達は一緒に勉強した。まあ、二人きりでは無かったが。
アーチボルトという剣術部の同輩とベティという男爵家の娘と1年後輩でハワードという辺境伯の息子が一緒だった。
でも、いくら頑張ったところでリディはこの国のあのぼんくら王太子の婚約者なのだ。俺は卒業したら即座に国に帰ってくるようにと父からは厳命を受けていた。
俺には時間が無かった。
それに、リディがこの国の王太子と結婚するなら、こんな国にはいたくもなかった。
そして、婚約者のいるリディに対する俺の想いなど告白することも出来る訳も無く、リディとの想い出では学生時代の良い思い出にするしか無かったのだ。
でも、そんな俺にもついにチャンスが巡ってきた。
なんとぼんくらの王太子が卒業パーティーでリディをエスコートしないとほざいてくれたのだ。俺はリディをエスコートしないと宣った王太子を殴り倒したくなったのと同時に、歓喜に震えた。
これで卒業パーティーでリディのエスコートが出来るかもしれないと思ったのだ。
俺は立候補してくる男達を悉く剣術で倒したのだ。
一番の強敵は一学年下でリディに心酔しているハワードだったが、俺は僅差でハワードを叩きのめした。
そして、俺は卒業パーティーでリディをエスコートする権利を得たのだ。
夢のようだった。
そして、そのパーティーでリディと一緒に踊れたのだ。
俺は踊っている間が一番幸せだった。その瞬間を一秒たりとも無駄にせずに堪能したのだ。
そして、更にその後に王太子がリディと婚約破棄してくれたのだ。
俺はこの時ばかりはこの王太子に心の底から感謝した。
これで俺にもチャンスが出てきた。
その後、王太子はリディを断罪したかったみたいだが、俺等がついているのに、断罪なんてさせる訳は無かった。
えん罪にかけようとした愚かな王太子は怒り狂ったリディに張り倒されていた。
俺は卒業したら国に帰って来るように父からは厳命されていたが、こうなったらそんなことは二の次だ。俺はリディについてインスブルク王国に行くことにした。
何故か辺境伯の嫡男のハワードと第2騎士団長の息子のアーチも一緒だったけれど……
俺の夢が一歩現実に近づいたのだ。
俺は夢見ているような気分だったが。
****************************************************************
ここまでお忙しい中このお話読んで頂いて有り難うございます
あと少しで完結です。
ボルツアーノ王国の伯爵家の息子になっている。
そういう名目でずうーっと通してきた。
俺は5歳の時によくあるお家騒動で、インスブルクという小国に避難させられた。
まあ、今後の為にも世間を見ておくかと言う気持ちもあった。
インスブルクなんて言う小国よりはシュタイン王国とか帝国とかもっと大国に行きたかったのだが、父の言うにはインスブルクの方が安全だそうだ。母の従妹がインスブルク王国に嫁いでいたというのもあった。俺は仕方なしにインスブルクに来てやったのだ。
でも、そこにいたリディとかいう小娘には頭にきた。
「あなた、剣は使えるの?」
いくら王族とは言え、俺様に向かって言うことか?
「誰に向かって言っている。俺は剣聖になるかもしれないと周りから期待されているんだぞ」
俺はその同い年くらいの女に言ってやったのだ。
「ふうん。じゃあ、私が訓練を付けてあげるわ」
女が言い出したのだ。
「はああああ?」
俺はこの女の言う意味がわからなかった。
「貴様なんかが俺様に訓練を付けられる訳はないだろう。怪我したいのかよ」
俺はそう叫んでいた。
「なあんだ。弱いから私に負けるのが怖いんだ」
その女はとんでもないことを笑って言ってくれたのだ。
「何だと、負けて泣き言を言うなよ」
俺はその女と模擬剣をもって立ち会ったのだ。
なあに、多少強く打ち込んでやればそれだけで泣き出すだろう。
俺はそう思ったのだ。
でも、俺はコテンパンにやられてしまったのだ。
周囲から神童と言われた俺が……
剣を振るスピードも剣を持って動く動きも、全く俺には見えなかった。
「ふんっ、でかい口きくから少しは出来ると思ったのに、全然なのね」
俺は呆然とその言葉を聞く事しか出来なかった。
完敗だったのだ。
それからだった。俺が必死に剣術に取り組んだのは。
俺は絶対にいつかその子に勝つと心に決めたのだった。
国に帰ってからも俺は必死に訓練した。
俺はその女に勝つために、必死に頑張ったのだ。
その子は剣を持つ姿がとても凜々しかった。
たまにその子と遊んだ事を俺は夢に見た。
でも、その俺が、その女の子がシュタイン王国の王太子の婚約者になったと聞いた時はショックだった。
しばらく食も進まなかったくらいだった。
俺は15歳の時に、その子がシュタイン王国に留学すると聞いてシュタイン王国に留学したのだ。
なんとか同じクラスに滑り込んだが、その子は何故かシュタインの文官達からは軽んじられていた。王太子の婚約者なのに、最低のEクラスにクラス分けされていたのだ。まあ、それは俺にとって好都合だった。
それに久々に見たその子はとてもきれいになっていた。
剣を持つ姿は更に凜々しかった。
でも、死ぬ思いで訓練してきたのに、対戦した俺はまたあっさりと負けてしまった。
前よりは粘れたが、全然叶わなかったのだ。
俺は唖然とした。はっきり言ってこの子の強さは別物だ。初代竜王の生まれ変わりと言われた理由もよく判った。その子は並み居る先輩達を叩きのめすと名実とともにあっという間に剣術部の部長になったのだ。
しかし、諦める訳にはいかない。俺はリディに勝つために今まで必死にやってきたのだ。俺はそれからも剣術部で必死に頑張った。必死に頑張った甲斐があって俺はリディ以外には勝てるようにはなっていた。でも、リディにはまだ、まるで歯が立たなかったけれど……
そんな三年間だったけれど、いつの間にかリディはおれにとってのライバル以上の存在になっていた。いつの間にか俺はこの子の隣に立とうと必死になっていたのだ。幸いなことに王太子はこの子に固執していない。一縷の希望をもって、必死に頑張ったのだ。
リディに認められたいがために。
それは剣術ばかりではなかった。勉強も頑張ったのだ。
「レックスって勉強できるんだ」
それが認められて俺はいつのまにか、リディに勉強を教える役になっていた。
「ああ、そういう風にと考えるんだ」
理科の科目とかで俺はリデイに感心されて有頂天になることもあった。
俺達は一緒に勉強した。まあ、二人きりでは無かったが。
アーチボルトという剣術部の同輩とベティという男爵家の娘と1年後輩でハワードという辺境伯の息子が一緒だった。
でも、いくら頑張ったところでリディはこの国のあのぼんくら王太子の婚約者なのだ。俺は卒業したら即座に国に帰ってくるようにと父からは厳命を受けていた。
俺には時間が無かった。
それに、リディがこの国の王太子と結婚するなら、こんな国にはいたくもなかった。
そして、婚約者のいるリディに対する俺の想いなど告白することも出来る訳も無く、リディとの想い出では学生時代の良い思い出にするしか無かったのだ。
でも、そんな俺にもついにチャンスが巡ってきた。
なんとぼんくらの王太子が卒業パーティーでリディをエスコートしないとほざいてくれたのだ。俺はリディをエスコートしないと宣った王太子を殴り倒したくなったのと同時に、歓喜に震えた。
これで卒業パーティーでリディのエスコートが出来るかもしれないと思ったのだ。
俺は立候補してくる男達を悉く剣術で倒したのだ。
一番の強敵は一学年下でリディに心酔しているハワードだったが、俺は僅差でハワードを叩きのめした。
そして、俺は卒業パーティーでリディをエスコートする権利を得たのだ。
夢のようだった。
そして、そのパーティーでリディと一緒に踊れたのだ。
俺は踊っている間が一番幸せだった。その瞬間を一秒たりとも無駄にせずに堪能したのだ。
そして、更にその後に王太子がリディと婚約破棄してくれたのだ。
俺はこの時ばかりはこの王太子に心の底から感謝した。
これで俺にもチャンスが出てきた。
その後、王太子はリディを断罪したかったみたいだが、俺等がついているのに、断罪なんてさせる訳は無かった。
えん罪にかけようとした愚かな王太子は怒り狂ったリディに張り倒されていた。
俺は卒業したら国に帰って来るように父からは厳命されていたが、こうなったらそんなことは二の次だ。俺はリディについてインスブルク王国に行くことにした。
何故か辺境伯の嫡男のハワードと第2騎士団長の息子のアーチも一緒だったけれど……
俺の夢が一歩現実に近づいたのだ。
俺は夢見ているような気分だったが。
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ここまでお忙しい中このお話読んで頂いて有り難うございます
あと少しで完結です。
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