33 / 174
第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
聖女視点2 モブでもない平民を排除しようと色々画策しましたが、うまくいきません
しおりを挟む
翌朝、私はいい気になっている赤毛のアンをいかに叩き潰すか考えようとした。
でも、朝食を食べに食堂に行くと、なんとその赤毛が一人でいたのだ。
ボッチだ。
これはさすがに赤毛もエルダやイングリッドにまで嫌われたのか。
あんまり王太子に近づきすぎるからだ。さすがの二人も愛想をつかしたのだろう。
これはチャンスだ。
ショックを受けている崖っぷちの赤毛を更に崖から突き落とすのだ。
私は嬉々として、その赤毛に近づいて言ってやったのだ。
「クラスでも、委員会でも、お昼時もずうーっと殿下の側に張り付いているようじゃない。平民のあなた風情がして良いところじゃないわ」
しかし、この平民風情の小娘は最初は私に反抗してきたのだ。
「この学園の規則を知らないの? 学園にいる間はすべての生徒は平等であると」
でも、女官長の娘の
「そんなの建前に決まっているでしょ。そんな事もわからないから皆に嫌われるのよ」
それに私の
「そうよ。現実にあんたは今日は一人じゃない。オールソン様にもバーマン様にも嫌われたんでしょ」
この言葉の前に赤毛は黙ってしまったのだ。
よく見ると目に涙を浮かべている。
そうそう、私の王太子に手を出そうとするからよ。
「どうしたの。黙りこくって。今頃現実が判ったのかしら」
私は更に赤毛を突き落とすことにしたのだ。
「私、王妃様から言われたの。王太子殿下を宜しくって」
そんな事は言われてもいないけど、ここで聖女と一平民の格の違いを見せつけるのだ。
「そう、単なる平民のあんたと違ってね」
私は微笑んだ。もう一息だ。
「だから、昼食の時の殿下の隣の席は私に譲りなさい」
ふふふふ、これで、この赤毛はもう王太子の傍にはいられないわ。
そう思った時なのだ。邪魔が入ったのは
「あーーら。聖女様。早速、女官長の娘と一緒になっていじめをしているの?」
えっ、なんでここに赤毛と喧嘩したはずのイングリッドがいるのだ?
「嫌だわ。今度の聖女様は王太子殿下に必要もないのにイチャイチャくっついているし、その殿下と親しい私の友だちが一人でいると見たら、早速虐めようとしているのね。本当に聖女としての適性を疑うわ」
そこには本来ならば私の味方のはずのエルダもいた。
それも、モブですらない平民の赤毛の傍に。
な、何故だ?
私はなんとかしようとしたが、どうしようもなかった。
「あなたが、性格の悪さで、殿下に相手にされないからって、純粋培養の私の友達に当たるのは止めて頂ける」
その言葉に思わず切れてしまったのだ。
「な、なんですって」
私は思わず本来ならば味方のはずの二人を睨みつけていたのだ。
「あーら、アンには貴族社会のルールを守れと言っておきながら、私には守らないわけ」
イングリッドが怒るのが見えた。ええええ、いや待って、私の味方が・・・・
「な、な、何を」
「ぱ、パウラ様。相手が悪いです」
女官長の娘が必死になって私を引っ張って行こうとする。
「あんた達覚えていなさいよ」
私は思わず捨てセリフを吐いてしまっていた。
ダメだ。もう、エルダとイングリッドは私の味方はしないだろう。
私はショックを受けてしまった。
しかし、もうこうなったら、あの二人は無視だ。
公爵令嬢だろうが侯爵令嬢だろうが関係ない。なにしろ、私はこのゲームのヒロイン、聖女様なのだ。モブでしか無い奴らに私のことは邪魔させない。それも今は悪役令嬢、隣国の王女もいないのだ。いるのはモブ以下の平民の赤毛のアンだ。
こんなのは私が弾き飛ばしてやるのだ。
お昼時、食堂でなんとかして殿下の隣に座ろうと思ったのだが、ルンドの婆婆の授業が長引いてしまったのだ。
「あなた、何なの、その姿勢は、もっと背筋を伸ばしてしっかり立って!」
徹底的にルンドに虐められたのだ。
何故だ。何故ヒロインの私がこんなに言われなければならない。
私は切れていた。
しかし、その授業もなんとか終わり、私は食堂に向かった。
しかし、神様は私に微笑んできたのだ。さすがヒロインだ。神の加護も私にあるのだ。
なんと王太子の隣が空いていた。
早速座る。他の貴族どものムッとした顔は無視する。
そこで王太子の顔を見て驚いたのだ。なんだ、この目の隈は。
聞くと誰かに殴られたらしい。
へええええ、王太子でも殴られることはあるんだ。
でも、女官長の娘がいいことを言ってくれた。私のヒールなら治せると。
それはそうだ。こんなのお茶の子さいさいだ。
「ヒール」
私は喜んでヒールをかけたのだ。
あれ、でも、王太子の目は全然変わらない。そんなバカな。
「ヒール」
もう一度やってみた。
でも、全然ダメだ。
私は焦りに焦った。
「そんな、まさか」
慌てて、
「ヒール!」「ヒール?」「ヒール??」
片っ端からやってみるが、全く効かなかったのだ。
何故だ?
「本当に今度の聖女はこんな傷も治せないなんて、どうしようもないわね」
どこかのモブの大声が聞こえた。
いや、これはおかしい。でもこれ以上やっても無理だ。
「ちょっと殿下、私急用を思い出しましたので。ちょっと失礼しますわ」
私は名誉の撤退を選んだのだ。何故出来なかったか、教会関係者に聞かないと。
くっそう、せっかくのチャンスだったのに。
私はこれがイングリッドのいたずらで、王太子の黒い痣は聖魔術が絶対に効くはずはない物だということが判らなかったのだ。
でも、朝食を食べに食堂に行くと、なんとその赤毛が一人でいたのだ。
ボッチだ。
これはさすがに赤毛もエルダやイングリッドにまで嫌われたのか。
あんまり王太子に近づきすぎるからだ。さすがの二人も愛想をつかしたのだろう。
これはチャンスだ。
ショックを受けている崖っぷちの赤毛を更に崖から突き落とすのだ。
私は嬉々として、その赤毛に近づいて言ってやったのだ。
「クラスでも、委員会でも、お昼時もずうーっと殿下の側に張り付いているようじゃない。平民のあなた風情がして良いところじゃないわ」
しかし、この平民風情の小娘は最初は私に反抗してきたのだ。
「この学園の規則を知らないの? 学園にいる間はすべての生徒は平等であると」
でも、女官長の娘の
「そんなの建前に決まっているでしょ。そんな事もわからないから皆に嫌われるのよ」
それに私の
「そうよ。現実にあんたは今日は一人じゃない。オールソン様にもバーマン様にも嫌われたんでしょ」
この言葉の前に赤毛は黙ってしまったのだ。
よく見ると目に涙を浮かべている。
そうそう、私の王太子に手を出そうとするからよ。
「どうしたの。黙りこくって。今頃現実が判ったのかしら」
私は更に赤毛を突き落とすことにしたのだ。
「私、王妃様から言われたの。王太子殿下を宜しくって」
そんな事は言われてもいないけど、ここで聖女と一平民の格の違いを見せつけるのだ。
「そう、単なる平民のあんたと違ってね」
私は微笑んだ。もう一息だ。
「だから、昼食の時の殿下の隣の席は私に譲りなさい」
ふふふふ、これで、この赤毛はもう王太子の傍にはいられないわ。
そう思った時なのだ。邪魔が入ったのは
「あーーら。聖女様。早速、女官長の娘と一緒になっていじめをしているの?」
えっ、なんでここに赤毛と喧嘩したはずのイングリッドがいるのだ?
「嫌だわ。今度の聖女様は王太子殿下に必要もないのにイチャイチャくっついているし、その殿下と親しい私の友だちが一人でいると見たら、早速虐めようとしているのね。本当に聖女としての適性を疑うわ」
そこには本来ならば私の味方のはずのエルダもいた。
それも、モブですらない平民の赤毛の傍に。
な、何故だ?
私はなんとかしようとしたが、どうしようもなかった。
「あなたが、性格の悪さで、殿下に相手にされないからって、純粋培養の私の友達に当たるのは止めて頂ける」
その言葉に思わず切れてしまったのだ。
「な、なんですって」
私は思わず本来ならば味方のはずの二人を睨みつけていたのだ。
「あーら、アンには貴族社会のルールを守れと言っておきながら、私には守らないわけ」
イングリッドが怒るのが見えた。ええええ、いや待って、私の味方が・・・・
「な、な、何を」
「ぱ、パウラ様。相手が悪いです」
女官長の娘が必死になって私を引っ張って行こうとする。
「あんた達覚えていなさいよ」
私は思わず捨てセリフを吐いてしまっていた。
ダメだ。もう、エルダとイングリッドは私の味方はしないだろう。
私はショックを受けてしまった。
しかし、もうこうなったら、あの二人は無視だ。
公爵令嬢だろうが侯爵令嬢だろうが関係ない。なにしろ、私はこのゲームのヒロイン、聖女様なのだ。モブでしか無い奴らに私のことは邪魔させない。それも今は悪役令嬢、隣国の王女もいないのだ。いるのはモブ以下の平民の赤毛のアンだ。
こんなのは私が弾き飛ばしてやるのだ。
お昼時、食堂でなんとかして殿下の隣に座ろうと思ったのだが、ルンドの婆婆の授業が長引いてしまったのだ。
「あなた、何なの、その姿勢は、もっと背筋を伸ばしてしっかり立って!」
徹底的にルンドに虐められたのだ。
何故だ。何故ヒロインの私がこんなに言われなければならない。
私は切れていた。
しかし、その授業もなんとか終わり、私は食堂に向かった。
しかし、神様は私に微笑んできたのだ。さすがヒロインだ。神の加護も私にあるのだ。
なんと王太子の隣が空いていた。
早速座る。他の貴族どものムッとした顔は無視する。
そこで王太子の顔を見て驚いたのだ。なんだ、この目の隈は。
聞くと誰かに殴られたらしい。
へええええ、王太子でも殴られることはあるんだ。
でも、女官長の娘がいいことを言ってくれた。私のヒールなら治せると。
それはそうだ。こんなのお茶の子さいさいだ。
「ヒール」
私は喜んでヒールをかけたのだ。
あれ、でも、王太子の目は全然変わらない。そんなバカな。
「ヒール」
もう一度やってみた。
でも、全然ダメだ。
私は焦りに焦った。
「そんな、まさか」
慌てて、
「ヒール!」「ヒール?」「ヒール??」
片っ端からやってみるが、全く効かなかったのだ。
何故だ?
「本当に今度の聖女はこんな傷も治せないなんて、どうしようもないわね」
どこかのモブの大声が聞こえた。
いや、これはおかしい。でもこれ以上やっても無理だ。
「ちょっと殿下、私急用を思い出しましたので。ちょっと失礼しますわ」
私は名誉の撤退を選んだのだ。何故出来なかったか、教会関係者に聞かないと。
くっそう、せっかくのチャンスだったのに。
私はこれがイングリッドのいたずらで、王太子の黒い痣は聖魔術が絶対に効くはずはない物だということが判らなかったのだ。
31
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる