モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
95 / 174
第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました

学園祭の演劇の配役を決めました

しおりを挟む
昼休憩が終わってホームルームの時間になった。
時間きっちりにルンド先生が入ってくる。
全員礼をして、ホームルームの開始だ。

クラス委員長のフィル様が前に立って、副委員長の私がその横に立つ。いつものホームルームの時間だ。

「では、イングリッドさんから脚本は頂いたんですけど、皆さんは読まれましたか?」
フィル様が皆を見回す。

「はい」
皆頷く。

「こちらで宜しかったですか」
フィル様は不満そうに言うんだけど、

「はい、良いと思います」
「これなら、3年生にも勝てるような気がする」
「賛成」
誰からも反対が出ずに、フィル様が、がっかりされる。

「一つ、宜しいですか」
ルンド先生が言ってくれた。

「はい、どうぞ、先生」
フィル様が期待した目でルンド先生を見る。

「いま、巷にはこれと同じような話が出回っていますし、演劇の一番人気もそうなんですけど、この脚本ではあまりにもあからさまなのでは無いかと危惧します。オーステンィンさんが心配されるのも最もなのではないかと思いますが」
先生がオブラートに包んで話されるけど、私を主人公にした本や演劇が巷で大ヒットしているそうだ。挙句の果てには私が軍を率いて、ブルーノらを退治して、王位につくというのまであるのだ。私は平民のアンだし、絶対にそんなのはないと思う。それは父や母の敵を討たなくて良いのかと言われれば少しは考えるけれど、基本的に私は平民として育てられたし、国王なんてなるのは無理なのだ。
そんな演劇は私としてもやりたくないんだけど、皆の手前なかなか言えない。

先生も隣国の王女が留学している中で、問題は起こしてほしくないというのも一理あると思う。
でも、先生が気にしている王家の御曹司のフィル様の気にしている所はそこではないんですけど・・・・口に出さずに私は思った。

「じゃあ先生、国の名前や登場人物の名前をもう少し変えますね」
イングリッドが言うんだけど。そういう問題か?

「出来たらこの話が隣国と関係ないように見えるようにしてほしいんですけど」
先生はいうが、

「判りました。努力します」
イングリッドは胸を張って言い切ったが、絶対に何も考えていないのは一目瞭然だった。

「では、それは後で考えてきますので、とりあえず、時間がないので、配役を決めてはどうかと思いますが」
「いやあ、最後も変えたほうが・・・・」
小さい声でフィル様が言うんだけど、誰も聞いていないというか皆に無視された格好でになった。

「主役はアンでいいと思います」
フィル様を無視して、イングリッドが叫んだ。

「えっ、でも私なんか」
「主人公は何故か赤毛になっていますし、アンなら髪の色変える必要ないですし」
いやいや、絶対にイングリッドはわざと赤毛にしたよね。

「王子役はフィルが、騎士役はメルケルがいいと思います」
「いや、待った、騎士役は俺が」
フィル様が言い出すんだけど、

「何言っているんですか。王子様が実際にいらっしゃるんですから、当然王子様は王子様がやっていただかないと。みんなそう思うよね」
「「異議なし。」」
全員の声にフィル様が唖然と立っているんだけど。

「あっ、俺、悪役のブルーノ役やりたい」
アルフが叫んだ。おいおい、悪役はベリーノだって、もう完全にブルーノになっているし、

「じゃあ、私はテレーサ役がしたいです」
ドーソンさんが叫んでいた。もう偽名じゃ無くなっているんですけど。

ルンド先生は頭を押さえているし、フィル様は唖然と棒立ちしているんだけど。

「皆さん、これはあくまでも架空の話ですからね。昨日、決闘をしていた不届き者もいますが、学園は学ぶところなのです。皆で仲良くしてくださいね。決してこの事で争いを起こさないように、よろしくお願いしますね」

最後にルンド先生が皆に言い聞かせた。

皆頷く。

「特にイングリッドさん宜しいですね」
「はい。判っています」
返事はいいんだげと、本当だろうか?

「それとアンさんも魔術は人に使わないように、くれぐれもよろしくお願いしますね」
イングリッドのせいで何故か私まで注意されるんだけど、とんだとばっちりだ。昨日怒られたからもう良いじゃない・・・・。私は泣きたくなったのだ。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。 ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。 マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ! 悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。 少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!! ほんの少しシリアスもある!かもです。 気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。 月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~

卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」 絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。 だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。 ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。 なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!? 「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」 書き溜めがある内は、1日1~話更新します それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります *仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。 *ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。 *コメディ強めです。 *hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

処理中です...