モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
107 / 174
第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました

スカンディーナの方々に囲まれて困った時に王太子が助けてくれました。

金曜日のお昼休み。その日の定食には人参のソテーがでかでかとのっていた。
隣のフィル様を見ると、最初は人参を横に分けていたのだが、私の視線を感じた瞬間、仕方なしに小さく切って口の中に入れていた。
うん、ちゃんと約束を守ってくれている。私はそれが嬉しかった。

私は大きな口を開けて人参を頬張った。フィル様に見せつけるように。まあ、はしたないのかもしれないけれど、人参を食べているアピールだ。

フィル様は嫌そうな顔をしたが、もう少し大きく切って今度は口に入れてくれていた。

メルケルの方を見ると私に食べさせられたからか、イングリッドの辛子攻撃を怖れてか、ちゃんとアルフと同じだけ食べている。そう、育ち盛りはちゃんと食べないといけないのだ。

「アン、お昼食べたらどうするの」
エルダが聞いてきた。

「私、来週、歴史の発表なの。その資料を図書館に行って借りてくるわ」
「じゃあ俺も行こう」
フィル様が言ってくれるんだけど。

「フィル、少しでも仕事片付けないと。合宿に参加できないぞ」
バートが横から注意してくれた。

「えっ、いや、少しくらいは」
「フィル!」
「じゃあ、俺がついていきますよ」
メルケルが言ってくれた。

「でも、学校の中だから問題はないわよ。一人でも」
「いや、俺も図書館に用があるので」
私の言葉にメルケルが言うんだけど、メルケルと図書館って一番合わなさそうなんだけど。
何の用があるんだろう?


「何の本を借りるの?」
私が聞くと

「それがその」
メルケルは誤魔化す。何かとても怪しい。

「図書館には本を借りに行くんではないの?」
「はいっ。実はアンネローゼ様に会っていただきたい者がおりまして」
メルケルが唐突に言った。

「会ってもらいたい者って、誰なの?」
「友人たちです」
「友人たちって」
「お願いします」
「えっ、いや、別にお会いするのはやぶさかではないけれど」
私は不吉な予感がした。


メルケルに連れられて、図書館の端の人目のないところに行くとそこに4人の男子生徒がいたのだ。

一人がいきなり跪いてきたのだ。残りの皆も跪くんだけど。もう止めて!

「アンネローゼ様。私、貴方様の遠縁に当たるヴァンドネル伯爵が一子の二クラスと申します」
「あ、あの、ニクラス様も他の方々も、平民の私に跪くのは止めて下さい」
私は慌てて言った。そう、私はあくまでも元王女だ。平民に伯爵家の人が跪くのは止めて欲しい。

「いえ、アンネローゼ様は正当なスカンディーナの後継者であらせられます。その御方に跪いてご挨拶するのに何の問題がありましょう」
伯爵令息がそう言うんだけど、絶対におかしい。

「それは私の生まれてすぐの時でしょう。今は平民のアンなんです」
「そのような。アンネローゼ様はスカンディーナの唯一の正統の後継者ではありませんか」
「えっ」
私は戸惑ってしまった。

「今の王族は善政を布いていらっしゃったアンネローゼ様のご両親を弑逆簒奪した者たちです。全国王陛下の唯一のお子様であらせられるアンネローゼ様が正当な後継者であることは間違いございません」
二クラスはそう言うんだけど。
「ニクラス様。何度も言うように、私は平民のアンなのです。それは思うところも色々ありますが、今スカンディーナは女王陛下がきちんと治めていらっしゃるではありませんか」
そう、私は平民のアンなのだ。私が正当な王族なんて考えたこともなかった。それに今は少なくともおばである女王が治めている。それで問題ないと私は思っていた。ブルーノらが私を許せないと攻撃してくるなら、対処はするが取って代わろうなんて思ってもいないのだ。
「しかし、国土は荒れて、凶作が続き、民は貧困にあえいでいます」
「そう言われても私は今は平民のアンなんです。スカンディーナの政治にかかわるつもりは無いんです」
私は言い切った。
「民は貴方様に期待しているのです」
伯爵子息は勝手なことを言うんだけど。

「そんなの平民の私がやってもうまくいくとは思えません」
そう、私はそう思っている。
「そのようなことはございますまい。足りない分は私どもが力を合わせてさせていただきます。どうかお願いします」
この伯爵子息は言ってくれるけど。


「いい加減にしないか。アンが嫌がっているだろう」
私が唖然としていて言葉を探している時に、フィル様が現れてくれたのだ。

「殿下。これはあなたには関係のない話だ」
「何を言っている。アンは私の婚約者だ。関係ないはずはなかろう」
伯爵にフィル様が言ってくれた。

「しかし」
「も、申し訳ありません」
不満そうな二クラスを前にメルケルがいきなり頭を下げて謝ってきた。

「アンネローゼ様のお心を全く考えずに、いきなり変な話をしてしまいました」
メルケルがそう言ってくれるんだけど。

「おい、メルケル!」
「二クラス様、ここは」
他の仲間が伯爵を抑えている。

「政治の話は学園では基本は禁止だ。それをわきまえて欲しい」
フィル様はメルケルと二クラスを見比べて言うと、
「行こう、アン」
そう言うと強引に私はフィル様に手を引かれてしまった。

伯爵子息らの言いたいことは判るけど、私は基本的にスカンディーナに関係するつもりはない。そう、この時は全く無かったのだ。

感想 44

あなたにおすすめの小説

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

【完結】経費削減でリストラされた社畜聖女は、隣国でスローライフを送る〜隣国で祈ったら国王に溺愛され幸せを掴んだ上に国自体が明るくなりました〜

よどら文鳥
恋愛
「聖女イデアよ、もう祈らなくとも良くなった」  ブラークメリル王国の新米国王ロブリーは、節約と経費削減に力を入れる国王である。  どこの国でも、聖女が作る結界の加護によって危険なモンスターから国を守ってきた。  国として大事な機能も経費削減のために不要だと決断したのである。  そのとばっちりを受けたのが聖女イデア。  国のために、毎日限界まで聖なる力を放出してきた。  本来は何人もの聖女がひとつの国の結界を作るのに、たった一人で国全体を守っていたほどだ。  しかも、食事だけで生きていくのが精一杯なくらい少ない給料で。  だがその生活もロブリーの政策のためにリストラされ、社畜生活は解放される。  と、思っていたら、今度はイデア自身が他国から高値で取引されていたことを知り、渋々その国へ御者アメリと共に移動する。  目的のホワイトラブリー王国へ到着し、クラフト国王に聖女だと話すが、意図が通じず戸惑いを隠せないイデアとアメリ。  しかし、実はそもそもの取引が……。  幸いにも、ホワイトラブリー王国での生活が認められ、イデアはこの国で聖なる力を発揮していく。  今までの過労が嘘だったかのように、楽しく無理なく力を発揮できていて仕事に誇りを持ち始めるイデア。  しかも、周りにも聖なる力の影響は凄まじかったようで、ホワイトラブリー王国は激的な変化が起こる。  一方、聖女のいなくなったブラークメリル王国では、結界もなくなった上、無茶苦茶な経費削減政策が次々と起こって……? ※政策などに関してはご都合主義な部分があります。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

目指せ、婚約破棄!〜庭師モブ子は推しの悪役令嬢のためハーブで援護します〜

森 湖春
恋愛
島国ヴィヴァルディには存在しないはずのサクラを見た瞬間、ペリーウィンクルは気付いてしまった。 この世界は、前世の自分がどハマりしていた箱庭系乙女ゲームで、自分がただのモブ子だということに。 しかし、前世は社畜、今世は望み通りのまったりライフをエンジョイしていた彼女は、ただ神に感謝しただけだった。 ところが、ひょんなことから同じく前世社畜の転生者である悪役令嬢と知り合ってしまう。 転生して尚、まったりできないでいる彼女がかわいそうで、つい手を貸すことにしたけれど──。 保護者みたいな妖精に甘やかされつつ、庭師モブ子はハーブを駆使してお嬢様の婚約破棄を目指します! ※感想を頂けるとすごく喜びます。執筆の励みになりますので、気楽にどうぞ。 ※『小説家になろう』様にて先行して公開しています。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との
恋愛
レトビア公爵家に養子に出されることになった貧乏伯爵家のセアラ。 「セアラを人身御供にするって事? おじ様、とうとう頭がおかしくなったの?」 「超現実主義者のお父様には関係ないのよ」 悲壮感いっぱいで辿り着いた公爵家の酷さに手も足も出なくて悩んでいたセアラに声をかけてきた人はもっと壮大な悩みを抱えていました。 (それって、一個人の問題どころか⋯⋯) 「これからは淑女らしく」ってお兄様と約束してたセアラは無事役割を全うできるの!? 「お兄様、わたくし計画変更しますわ。兎に角長生きできるよう経験を活かして闘いあるのみです!」 呪いなんて言いつつ全然怖くない貧乏セアラの健闘?成り上がり? 頑張ります。 「問題は⋯⋯お兄様は意外なところでポンコツになるからそこが一番の心配ですの」 ーーーーーー タイトルちょっぴり変更しました(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ さらに⋯⋯長編に変更しました。ストックが溜まりすぎたので、少しスピードアップして公開する予定です。 ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 体調不良で公開ストップしておりましたが、完結まで予約致しました。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ ご一読いただければ嬉しいです。 R15は念の為・・