モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第三部 隣国潜伏編 母の故国で対決します

簒奪女王の独り言 夫に恐怖しました

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私はマティルダ・スカンディーナ、この国スカンディーナ王国の女王だ。
元々私は出来る兄オスヴァルドが嫌いだった。

兄は魔力に剣術に政治力に秀ていたが、私は兄に比べるとさっぱりだった。
更に兄に婚約者が出来るとその婚約者とも比べられた。私も美人だと思っていたが、その婚約者は更に輝いていたのだ。魔力もこの国のトップクラスだった。
私は兄と比べてできない王女で、兄嫁と比べても残念王女だったのだ。
兄嫁は憎いことに民からの支持も厚く、私という王女よりも遥かに人気は高かった。

私は本当に居るか居ないかわからない本当に目立たない残念王女だったのだ。

そんな私の夫にはこの国一番の魔力量のブルーノが配された。私の結婚は政略結婚だったが、私はブルーノを愛しようと思ったのだ。彼は見目も麗しく、この国の大魔術師で私は彼のことが気にいっていた。

しかし、ブルーノは私なんて見てもいなかった。ブルーノはわたしと一緒にいても、その目は愛おしそうに王妃を見ていたのだ。ブルーノの心にはずーうっと私が憎いと思っている王妃をがいたのだ。私はそれが許せなかった。

わたしの部屋にはブルーノはほとんど寄り付かなかった。ブルーノの代わりに、私は男を次々に寝室に連れ込んだのだ。ブルーノはそんな私を白い目でみていた。私には興味もないみたいだった。

そんな、ブルーノが側妃のところに通っていると知った時に私は更に切れた。

何故、パッとしない側妃何かのところに通うのだ。

でも、側妃がなにやら良からぬことを企んでいるのは私にも判った。
本国からいろんな者を呼んでいるのが判ったのだ。兄は側妃など歯牙にもかけておらず、王妃だけを見ていたが。

私はそんな馬鹿な兄と王妃を許せなくて、仕方なしに、目をつぶって憎い側妃と組むことにした。

ブルーノは決起して、兄を殺し、あろうことか王妃まで殺したのだ。

そして、側妃と仲違いをして、いつの間にか私が女王になっていたのだ。
私はそれを唖然と見ていた。私の望んだ通りの展開に勝手になってしまったのだ。

最初は私はお飾りの女王だったが、20年近くなるとそれなりにすり寄ってくる貴族たちもいて、いつの間にか一勢力を築いていた。

そんな私の所にブルーノが元王妃の娘を見つけ出して探っているという情報が入ってきた。
何故、またアンネの娘なのだ。私は完全に切れてしまった。
即座に大使館に言って始末させようとしたのだが、うまくいかなかった。

果は襲撃した夫のブルーノまで撃退されたらしい。夫がアンネの娘を攻撃したことを知って私はほっとした。

そして、そのアンネの娘のいるオースティン王国の王立学園に私達の娘を留学させようとしたのだ。私は最初は反対した。

しかし、夫は私の反対を物ともせずに娘を留学させたのだ。

そして、反体制派でアンネの娘を担ぎ出しそうな国境の伯爵領に疫病を流行らせたのだ。

更にその隣のオースティン王国のパヤラとか言う街まで。

その街に対策に行った王太子を疫病に罹患させるや、その特効薬を餌にオースティンの王妃に迫って
アンネを我々に引き渡させて、王子の婚約者を娘に替えるように約束させたのだ。

悪巧みは私が考えるより数段上だった。

しかし、アンネの娘を始末するのはうまくいかなかったみたいだが。

「娘は未だ行方不明です」
宰相のオロフ・セッテルランドが報告してきた。

「まあ、仕方あるまい」
夫は首を振って言った。

「それよりも、ヴァルンドネル伯爵領ですが、何でも聖女が現れて、疫病を治していると報告がありました」
宰相が告げる。

「聖女が。この国にも聖女が現れたというの?」
私は驚いて聞いた。

「良くはわかりませんが、行方不明のアンネローゼだという話もあります」
「何、あの娘は聖魔術まで使えるというのですか」
私は驚いていった。

「ふんっ、セッティルランド、兵士たちに疫病流行地帯の屠殺を指示しろ」
氷のような声で夫が言った。

「と、屠殺でございますか」
宰相は流石に口ごもった。

「古来より、疫病がこれ以上はやらないように、その流行地は屠殺するのがよくある話だ」
「し、しかし」
「そうすれば聖女もろとも反逆勢力は絶滅できるであろう」
私たちは唖然として夫を見ていた。

「反乱勢力は早めに叩くのがセオリーだ。屠殺すれば以降、逆らうものもなくなろう」
夫は冷酷な目で皆を見下ろしていた。悪魔のような目であった。

私はそんな夫の言葉に、もはや逆らうことも出来なかった。

そうだ。夫は鬼だったのだ。
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