146 / 174
第三部 隣国潜伏編 母の故国で対決します
簒奪女王の独り言 夫に恐怖しました
しおりを挟む
私はマティルダ・スカンディーナ、この国スカンディーナ王国の女王だ。
元々私は出来る兄オスヴァルドが嫌いだった。
兄は魔力に剣術に政治力に秀ていたが、私は兄に比べるとさっぱりだった。
更に兄に婚約者が出来るとその婚約者とも比べられた。私も美人だと思っていたが、その婚約者は更に輝いていたのだ。魔力もこの国のトップクラスだった。
私は兄と比べてできない王女で、兄嫁と比べても残念王女だったのだ。
兄嫁は憎いことに民からの支持も厚く、私という王女よりも遥かに人気は高かった。
私は本当に居るか居ないかわからない本当に目立たない残念王女だったのだ。
そんな私の夫にはこの国一番の魔力量のブルーノが配された。私の結婚は政略結婚だったが、私はブルーノを愛しようと思ったのだ。彼は見目も麗しく、この国の大魔術師で私は彼のことが気にいっていた。
しかし、ブルーノは私なんて見てもいなかった。ブルーノはわたしと一緒にいても、その目は愛おしそうに王妃を見ていたのだ。ブルーノの心にはずーうっと私が憎いと思っている王妃をがいたのだ。私はそれが許せなかった。
わたしの部屋にはブルーノはほとんど寄り付かなかった。ブルーノの代わりに、私は男を次々に寝室に連れ込んだのだ。ブルーノはそんな私を白い目でみていた。私には興味もないみたいだった。
そんな、ブルーノが側妃のところに通っていると知った時に私は更に切れた。
何故、パッとしない側妃何かのところに通うのだ。
でも、側妃がなにやら良からぬことを企んでいるのは私にも判った。
本国からいろんな者を呼んでいるのが判ったのだ。兄は側妃など歯牙にもかけておらず、王妃だけを見ていたが。
私はそんな馬鹿な兄と王妃を許せなくて、仕方なしに、目をつぶって憎い側妃と組むことにした。
ブルーノは決起して、兄を殺し、あろうことか王妃まで殺したのだ。
そして、側妃と仲違いをして、いつの間にか私が女王になっていたのだ。
私はそれを唖然と見ていた。私の望んだ通りの展開に勝手になってしまったのだ。
最初は私はお飾りの女王だったが、20年近くなるとそれなりにすり寄ってくる貴族たちもいて、いつの間にか一勢力を築いていた。
そんな私の所にブルーノが元王妃の娘を見つけ出して探っているという情報が入ってきた。
何故、またアンネの娘なのだ。私は完全に切れてしまった。
即座に大使館に言って始末させようとしたのだが、うまくいかなかった。
果は襲撃した夫のブルーノまで撃退されたらしい。夫がアンネの娘を攻撃したことを知って私はほっとした。
そして、そのアンネの娘のいるオースティン王国の王立学園に私達の娘を留学させようとしたのだ。私は最初は反対した。
しかし、夫は私の反対を物ともせずに娘を留学させたのだ。
そして、反体制派でアンネの娘を担ぎ出しそうな国境の伯爵領に疫病を流行らせたのだ。
更にその隣のオースティン王国のパヤラとか言う街まで。
その街に対策に行った王太子を疫病に罹患させるや、その特効薬を餌にオースティンの王妃に迫って
アンネを我々に引き渡させて、王子の婚約者を娘に替えるように約束させたのだ。
悪巧みは私が考えるより数段上だった。
しかし、アンネの娘を始末するのはうまくいかなかったみたいだが。
「娘は未だ行方不明です」
宰相のオロフ・セッテルランドが報告してきた。
「まあ、仕方あるまい」
夫は首を振って言った。
「それよりも、ヴァルンドネル伯爵領ですが、何でも聖女が現れて、疫病を治していると報告がありました」
宰相が告げる。
「聖女が。この国にも聖女が現れたというの?」
私は驚いて聞いた。
「良くはわかりませんが、行方不明のアンネローゼだという話もあります」
「何、あの娘は聖魔術まで使えるというのですか」
私は驚いていった。
「ふんっ、セッティルランド、兵士たちに疫病流行地帯の屠殺を指示しろ」
氷のような声で夫が言った。
「と、屠殺でございますか」
宰相は流石に口ごもった。
「古来より、疫病がこれ以上はやらないように、その流行地は屠殺するのがよくある話だ」
「し、しかし」
「そうすれば聖女もろとも反逆勢力は絶滅できるであろう」
私たちは唖然として夫を見ていた。
「反乱勢力は早めに叩くのがセオリーだ。屠殺すれば以降、逆らうものもなくなろう」
夫は冷酷な目で皆を見下ろしていた。悪魔のような目であった。
私はそんな夫の言葉に、もはや逆らうことも出来なかった。
そうだ。夫は鬼だったのだ。
元々私は出来る兄オスヴァルドが嫌いだった。
兄は魔力に剣術に政治力に秀ていたが、私は兄に比べるとさっぱりだった。
更に兄に婚約者が出来るとその婚約者とも比べられた。私も美人だと思っていたが、その婚約者は更に輝いていたのだ。魔力もこの国のトップクラスだった。
私は兄と比べてできない王女で、兄嫁と比べても残念王女だったのだ。
兄嫁は憎いことに民からの支持も厚く、私という王女よりも遥かに人気は高かった。
私は本当に居るか居ないかわからない本当に目立たない残念王女だったのだ。
そんな私の夫にはこの国一番の魔力量のブルーノが配された。私の結婚は政略結婚だったが、私はブルーノを愛しようと思ったのだ。彼は見目も麗しく、この国の大魔術師で私は彼のことが気にいっていた。
しかし、ブルーノは私なんて見てもいなかった。ブルーノはわたしと一緒にいても、その目は愛おしそうに王妃を見ていたのだ。ブルーノの心にはずーうっと私が憎いと思っている王妃をがいたのだ。私はそれが許せなかった。
わたしの部屋にはブルーノはほとんど寄り付かなかった。ブルーノの代わりに、私は男を次々に寝室に連れ込んだのだ。ブルーノはそんな私を白い目でみていた。私には興味もないみたいだった。
そんな、ブルーノが側妃のところに通っていると知った時に私は更に切れた。
何故、パッとしない側妃何かのところに通うのだ。
でも、側妃がなにやら良からぬことを企んでいるのは私にも判った。
本国からいろんな者を呼んでいるのが判ったのだ。兄は側妃など歯牙にもかけておらず、王妃だけを見ていたが。
私はそんな馬鹿な兄と王妃を許せなくて、仕方なしに、目をつぶって憎い側妃と組むことにした。
ブルーノは決起して、兄を殺し、あろうことか王妃まで殺したのだ。
そして、側妃と仲違いをして、いつの間にか私が女王になっていたのだ。
私はそれを唖然と見ていた。私の望んだ通りの展開に勝手になってしまったのだ。
最初は私はお飾りの女王だったが、20年近くなるとそれなりにすり寄ってくる貴族たちもいて、いつの間にか一勢力を築いていた。
そんな私の所にブルーノが元王妃の娘を見つけ出して探っているという情報が入ってきた。
何故、またアンネの娘なのだ。私は完全に切れてしまった。
即座に大使館に言って始末させようとしたのだが、うまくいかなかった。
果は襲撃した夫のブルーノまで撃退されたらしい。夫がアンネの娘を攻撃したことを知って私はほっとした。
そして、そのアンネの娘のいるオースティン王国の王立学園に私達の娘を留学させようとしたのだ。私は最初は反対した。
しかし、夫は私の反対を物ともせずに娘を留学させたのだ。
そして、反体制派でアンネの娘を担ぎ出しそうな国境の伯爵領に疫病を流行らせたのだ。
更にその隣のオースティン王国のパヤラとか言う街まで。
その街に対策に行った王太子を疫病に罹患させるや、その特効薬を餌にオースティンの王妃に迫って
アンネを我々に引き渡させて、王子の婚約者を娘に替えるように約束させたのだ。
悪巧みは私が考えるより数段上だった。
しかし、アンネの娘を始末するのはうまくいかなかったみたいだが。
「娘は未だ行方不明です」
宰相のオロフ・セッテルランドが報告してきた。
「まあ、仕方あるまい」
夫は首を振って言った。
「それよりも、ヴァルンドネル伯爵領ですが、何でも聖女が現れて、疫病を治していると報告がありました」
宰相が告げる。
「聖女が。この国にも聖女が現れたというの?」
私は驚いて聞いた。
「良くはわかりませんが、行方不明のアンネローゼだという話もあります」
「何、あの娘は聖魔術まで使えるというのですか」
私は驚いていった。
「ふんっ、セッティルランド、兵士たちに疫病流行地帯の屠殺を指示しろ」
氷のような声で夫が言った。
「と、屠殺でございますか」
宰相は流石に口ごもった。
「古来より、疫病がこれ以上はやらないように、その流行地は屠殺するのがよくある話だ」
「し、しかし」
「そうすれば聖女もろとも反逆勢力は絶滅できるであろう」
私たちは唖然として夫を見ていた。
「反乱勢力は早めに叩くのがセオリーだ。屠殺すれば以降、逆らうものもなくなろう」
夫は冷酷な目で皆を見下ろしていた。悪魔のような目であった。
私はそんな夫の言葉に、もはや逆らうことも出来なかった。
そうだ。夫は鬼だったのだ。
3
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる