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第三部 隣国潜伏編 母の故国で対決します
暴虐令嬢視点3 出陣の理由を勝手に夢物語作り出して、皆に宣言しました
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私は意気揚々と王都の手前の街ヨックモックに乗り込んだ。
その街までに100の兵力は200に増えていた。途中の街の同級生の伯爵家や子爵家、男爵家の2男3男が一旗揚げようと乗り込んできたのだ。
まあ、戦力は多いに越したことはない。
私はとても楽観的だったのだ。
アンさえ見つかればなんとかなると思っていた。
しかし、そこで軟禁されていた家から脱走してきたフリーダ・ドーソン伯爵令嬢に会うまでは。
彼女の目は泣きはらして真っ赤だった。もともと彼女からアンが行方不明だと緊急の手紙を受け取って帰ってきたのだ。何かアンの行方を調べて進展があったのだろうか?
「クリスティーン様!」
フリーダはいきなり私を見つけると私に抱きついてきたのだ。
「フリーダ、どうしたのだ?」
私は不吉な予感がした。
「アンが、アンが、王妃様の命令によって近衛に襲われたみたいなんです」
「えっ、何を言うんだ。まさか、そんな事があるはずはないだろう!」
私は慌てて言った。王家がアンに襲いかかるなんてありえない。
「私もそう思っていました。呼ばれた日に私はアンと一緒に王妃様の部屋の前まで、ここに居るメリーと一緒に行ったんです。でも、その部屋の前で追い返されて、アンが一人で入っていった後に、父が現れて、私は怒り狂った父に領地に強制的に連れて帰らされたのです」
「それは災難だったな」
私は取り敢えず、フリーダの背を叩いて慰めてやった。
「不審に思って一人残ったメリーが物陰から見ていたら、呆然としたアンが近衛に連れられて出てきたそうなんです」
「そうです。アンは馬車に乗せられて郊外に連れて行かれたのです。後でいろいろ調べたらブルーノは王女と王太子の婚約を画策していたらしくて」
その後をメリーが引き継いで話した。
「な、何だと。フィルがアンを捨てたと言うのか」
私は思わず目の前にフィルがいれば剣で叩き切っているところだった。
「そこまではわかりませんが、アンがショックを受けていたのは事実です。私は家の馬車で十分な距離をおいてつけました。近衛の馬車は郊外の空き地に入っていったのです。道の入口に見張りがいて私は中に入れませんでした。どうしたものかと少し先に進んで物陰に馬車を隠すと、アンの様子を見に行ったんです」
メリーもフリーダと同じで泣きながら話しているのだが、そんなに悲惨なことになったのか。私は唖然として聞いていた。
「そうしたらいきなり凄まじい爆発音がしたんです」
メリーが泣き崩れた。
「その場所に行ったら巨大な穴が空いていて誰もいませんでした」
私はその言葉に驚きつつも後悔に包まれた。こんな事ならばアンのための特訓と称して龍退治になど行かずに、アンの護衛をしていれば良かった。コイツラだけではまだまだだった。
そうこうしていても現状は変わらないので、私はそのまま王宮に乗り込むことにしたのだ。
直ちに全軍を率いて王都に向かった。
王宮に着いたのはもう夜だった。
構わずに私は城門を叩かせたのだ。
「な、何奴だ。こんな夜に」
やっと門番が現れた。
「クリスティーン様が国王陛下に面会に参られたのだ。直ちに取り次げ」
強面のバックマンが門番に言い放った。
「クリステイーン様? 暴虐令嬢か」
門番は慌てた。
「貴様なにか申したか」
私が言うと
「ヒィィィィ、何でもございません。命だけはお許しください」
そう言うと慌てて門番は引っ込んだのだ。
しかし、しばらく待ってもうんともすんとも言ってこない。
「ベーン。ここは城門を破壊して乗り込んだ方が良いかな」
「と、とんでもございません。そんな事したら反逆者になってしまいます」
ベーンが慌てていったが、平民の私には関係がないのではないかと私は思いついたのだ。
そうこうしている所に、やっと外務卿のステニウスが現れたのだ。
「これはこれはカールソン家から勘当されたクリスティーン様ではありませんか。平民のクリスティーン様が国王陛下にお会いになろうなどと冗談も甚だしいですな」
私はこの言葉に完全にぷっつん切れた。
「ふんっ、誰かと思いきや、ブルーノの手先の外務卿か。私の前に良くも出ることが出来たものだ」
私はそういうと剣を構えた。
「えっ、クリスティーン殿」
「私の怒りを受けてみよ」
「ヒェぇぇぇ、お許しを」
外務卿は腰を抜かしていた。
私の振り下ろした剣の風圧で外務卿は振って飛んだ。そのまま城門に激突する。
ドカーーーーーン
大音響とともに城門は2つに叩き折られていた。
「直ちに国王陛下に取り次げ! 次は王宮を切断するぞ」
そう叫ぶと返事も待たずに、私は軍を率いて勝手知った王宮の中に入ったのだ。
「これはこれはクリスティーン様。どうされたのだ」
慌てた王宮の騎士たちが呼んだのだろうか。私の前に騎士団長が現れた。
「これは騎士団長。王太子殿下と一緒にいらっしゃったと思ったが」
私が言うと
「まあ、色々ありましてここに居る次第でして。で、クリスティーン様は何の御用ですかな」
「何か王妃様がアンネローゼ様を暗殺されたとかいう不穏な噂を聞いたのでな、慌てて帰ってきた次第です」
私は殊勝にも敬語で話した。
「それはよく判りませんが、アン様はパヤラの街にいらっしゃって、疫病にかかられた王太子殿下はじめ多くの者を治されたのです」
「騎士団長。アンは無事なのですか」
フリーダとメリーが騎士団長に詰め寄っていた。
「その時までは」
「と言うと、アンはどうしたのだ?」
私が慌てて聞くと
「その後の行方は不明です」
「王家がアンとフィルの婚約を破棄したというのは本当か?」
「それは無いのではないですか」
私の問に騎士団長は首を振った。
「じゃあ、アンはどこにいるんですか? 私はアンが近衛に連れられて行方不明になったところを見たのです」
メリーが食ってかかるが、
「まあ、アン様はガーブリエル様の一番弟子。私見ですが、近衛風情にどうのこうの出来るわけはないかと思いますが」
「それはそうだな。それが判れば陛下なんぞに会いたくはない」
私は納得した。
「そう、言うでないわ。クリスティーン」
そこには普段は絶対に会いたくない国王陛下が現れたのだった。
「ちっ」
私は思わず舌打ちした。
「城門を破壊してまで私に会いたかったんだろうが」
「いえ、もう騎士団長に聞いたので問題はございません」
私はごまかして帰ろうとしたが、
「まあ、そう急くな。カールソンが泣き込んできたぞ。なんとしても止めてほしいと」
「陛下、父とは縁を切りました」
「勘当されたのではなくてか。公爵は勘当するのは取りやめるから帰ってきてほしいと申していたが」
「お間違えあるな。私の方から縁を切ったのです」
私はこれだけははっきりとせねばと言い切った。
「ほう、しかし、軍を率いて王国内を通るとは物騒じゃの」
「聞く所によると、我が国にブルーノが疫病を流行らせたとか。そのブルーノに鉄槌を与えに参るのです」
私は平然と言い切った。
「しかし、国民の多くは平和を望んでおる。我が国から他国への内政干渉はしないというのが我が国の国是だ。その方は国に逆らうのか」
「わっはっはっはっはっ」
国王の言葉に私は大笑いした。
「き、貴様何がおかしいのじゃ」
横から先程私に弾き飛ばされた外務卿がしゃしゃり出てきた。
「ブルーノの手先の外務卿か」
私が睨みつけると
「何を言うのじゃ。私はこの国に忠誠を誓っておりますぞ。陛下のご意向に従おうとしているだけです。貴様みたいに感情だけで生きておらんわ」
「ほう、その方、我が王国の始祖様に喧嘩を売るのか」
「し、始祖様?」
その名前を聞いて外務卿はぽかんとした。
「そうだ。始祖様だ」
私は物体ぶって言った。
「始祖様がどうされたというのです」
「始祖様が私の枕元に立たれて言われたのです。我が国に喧嘩を売りつけたブルーノを成敗せよと」
私は騎士団長に促されて、そう言うと腰に下げた剣を抜き放った。
「お、お前、その剣は公爵家の家宝、エクスカリバーではないか」
騎士団長は驚いて聞いてきた。
「左様。始祖と供に闘った我が公爵家の初代が使われた剣です。その夢を見た後に我が枕元にあったのです」
「いや、しかし、そのような絵空ごと・・・・」
外務卿の言葉を私は地面に聖剣を突き刺すことで黙らせた。
ビシッと地面に亀裂が走る。
「始祖様。私、クリスティーンはここに誓います。我が国に災いをもたらした逆賊ブルーノを叩き、真の王女殿下であるアンネローゼ様を助けると」
その瞬間、剣は黄金色に輝いたのだった。
「おおおお、聖剣が光り輝いているぞ」
「始祖様はクリスティーン様の誓いを聞き届けられたのじゃ」
「クリスティーン様は始祖様の命で軍を起こされたのじゃ」
周りのものが口々に騒ぎ出した。
それを忌々しそうに陛下と騎士団長は見ているしか手立てはなかったのだ。
私は大々的に義勇兵を集め一路スカンディーナとの国境の町パヤラに向かったのだった。
その街までに100の兵力は200に増えていた。途中の街の同級生の伯爵家や子爵家、男爵家の2男3男が一旗揚げようと乗り込んできたのだ。
まあ、戦力は多いに越したことはない。
私はとても楽観的だったのだ。
アンさえ見つかればなんとかなると思っていた。
しかし、そこで軟禁されていた家から脱走してきたフリーダ・ドーソン伯爵令嬢に会うまでは。
彼女の目は泣きはらして真っ赤だった。もともと彼女からアンが行方不明だと緊急の手紙を受け取って帰ってきたのだ。何かアンの行方を調べて進展があったのだろうか?
「クリスティーン様!」
フリーダはいきなり私を見つけると私に抱きついてきたのだ。
「フリーダ、どうしたのだ?」
私は不吉な予感がした。
「アンが、アンが、王妃様の命令によって近衛に襲われたみたいなんです」
「えっ、何を言うんだ。まさか、そんな事があるはずはないだろう!」
私は慌てて言った。王家がアンに襲いかかるなんてありえない。
「私もそう思っていました。呼ばれた日に私はアンと一緒に王妃様の部屋の前まで、ここに居るメリーと一緒に行ったんです。でも、その部屋の前で追い返されて、アンが一人で入っていった後に、父が現れて、私は怒り狂った父に領地に強制的に連れて帰らされたのです」
「それは災難だったな」
私は取り敢えず、フリーダの背を叩いて慰めてやった。
「不審に思って一人残ったメリーが物陰から見ていたら、呆然としたアンが近衛に連れられて出てきたそうなんです」
「そうです。アンは馬車に乗せられて郊外に連れて行かれたのです。後でいろいろ調べたらブルーノは王女と王太子の婚約を画策していたらしくて」
その後をメリーが引き継いで話した。
「な、何だと。フィルがアンを捨てたと言うのか」
私は思わず目の前にフィルがいれば剣で叩き切っているところだった。
「そこまではわかりませんが、アンがショックを受けていたのは事実です。私は家の馬車で十分な距離をおいてつけました。近衛の馬車は郊外の空き地に入っていったのです。道の入口に見張りがいて私は中に入れませんでした。どうしたものかと少し先に進んで物陰に馬車を隠すと、アンの様子を見に行ったんです」
メリーもフリーダと同じで泣きながら話しているのだが、そんなに悲惨なことになったのか。私は唖然として聞いていた。
「そうしたらいきなり凄まじい爆発音がしたんです」
メリーが泣き崩れた。
「その場所に行ったら巨大な穴が空いていて誰もいませんでした」
私はその言葉に驚きつつも後悔に包まれた。こんな事ならばアンのための特訓と称して龍退治になど行かずに、アンの護衛をしていれば良かった。コイツラだけではまだまだだった。
そうこうしていても現状は変わらないので、私はそのまま王宮に乗り込むことにしたのだ。
直ちに全軍を率いて王都に向かった。
王宮に着いたのはもう夜だった。
構わずに私は城門を叩かせたのだ。
「な、何奴だ。こんな夜に」
やっと門番が現れた。
「クリスティーン様が国王陛下に面会に参られたのだ。直ちに取り次げ」
強面のバックマンが門番に言い放った。
「クリステイーン様? 暴虐令嬢か」
門番は慌てた。
「貴様なにか申したか」
私が言うと
「ヒィィィィ、何でもございません。命だけはお許しください」
そう言うと慌てて門番は引っ込んだのだ。
しかし、しばらく待ってもうんともすんとも言ってこない。
「ベーン。ここは城門を破壊して乗り込んだ方が良いかな」
「と、とんでもございません。そんな事したら反逆者になってしまいます」
ベーンが慌てていったが、平民の私には関係がないのではないかと私は思いついたのだ。
そうこうしている所に、やっと外務卿のステニウスが現れたのだ。
「これはこれはカールソン家から勘当されたクリスティーン様ではありませんか。平民のクリスティーン様が国王陛下にお会いになろうなどと冗談も甚だしいですな」
私はこの言葉に完全にぷっつん切れた。
「ふんっ、誰かと思いきや、ブルーノの手先の外務卿か。私の前に良くも出ることが出来たものだ」
私はそういうと剣を構えた。
「えっ、クリスティーン殿」
「私の怒りを受けてみよ」
「ヒェぇぇぇ、お許しを」
外務卿は腰を抜かしていた。
私の振り下ろした剣の風圧で外務卿は振って飛んだ。そのまま城門に激突する。
ドカーーーーーン
大音響とともに城門は2つに叩き折られていた。
「直ちに国王陛下に取り次げ! 次は王宮を切断するぞ」
そう叫ぶと返事も待たずに、私は軍を率いて勝手知った王宮の中に入ったのだ。
「これはこれはクリスティーン様。どうされたのだ」
慌てた王宮の騎士たちが呼んだのだろうか。私の前に騎士団長が現れた。
「これは騎士団長。王太子殿下と一緒にいらっしゃったと思ったが」
私が言うと
「まあ、色々ありましてここに居る次第でして。で、クリスティーン様は何の御用ですかな」
「何か王妃様がアンネローゼ様を暗殺されたとかいう不穏な噂を聞いたのでな、慌てて帰ってきた次第です」
私は殊勝にも敬語で話した。
「それはよく判りませんが、アン様はパヤラの街にいらっしゃって、疫病にかかられた王太子殿下はじめ多くの者を治されたのです」
「騎士団長。アンは無事なのですか」
フリーダとメリーが騎士団長に詰め寄っていた。
「その時までは」
「と言うと、アンはどうしたのだ?」
私が慌てて聞くと
「その後の行方は不明です」
「王家がアンとフィルの婚約を破棄したというのは本当か?」
「それは無いのではないですか」
私の問に騎士団長は首を振った。
「じゃあ、アンはどこにいるんですか? 私はアンが近衛に連れられて行方不明になったところを見たのです」
メリーが食ってかかるが、
「まあ、アン様はガーブリエル様の一番弟子。私見ですが、近衛風情にどうのこうの出来るわけはないかと思いますが」
「それはそうだな。それが判れば陛下なんぞに会いたくはない」
私は納得した。
「そう、言うでないわ。クリスティーン」
そこには普段は絶対に会いたくない国王陛下が現れたのだった。
「ちっ」
私は思わず舌打ちした。
「城門を破壊してまで私に会いたかったんだろうが」
「いえ、もう騎士団長に聞いたので問題はございません」
私はごまかして帰ろうとしたが、
「まあ、そう急くな。カールソンが泣き込んできたぞ。なんとしても止めてほしいと」
「陛下、父とは縁を切りました」
「勘当されたのではなくてか。公爵は勘当するのは取りやめるから帰ってきてほしいと申していたが」
「お間違えあるな。私の方から縁を切ったのです」
私はこれだけははっきりとせねばと言い切った。
「ほう、しかし、軍を率いて王国内を通るとは物騒じゃの」
「聞く所によると、我が国にブルーノが疫病を流行らせたとか。そのブルーノに鉄槌を与えに参るのです」
私は平然と言い切った。
「しかし、国民の多くは平和を望んでおる。我が国から他国への内政干渉はしないというのが我が国の国是だ。その方は国に逆らうのか」
「わっはっはっはっはっ」
国王の言葉に私は大笑いした。
「き、貴様何がおかしいのじゃ」
横から先程私に弾き飛ばされた外務卿がしゃしゃり出てきた。
「ブルーノの手先の外務卿か」
私が睨みつけると
「何を言うのじゃ。私はこの国に忠誠を誓っておりますぞ。陛下のご意向に従おうとしているだけです。貴様みたいに感情だけで生きておらんわ」
「ほう、その方、我が王国の始祖様に喧嘩を売るのか」
「し、始祖様?」
その名前を聞いて外務卿はぽかんとした。
「そうだ。始祖様だ」
私は物体ぶって言った。
「始祖様がどうされたというのです」
「始祖様が私の枕元に立たれて言われたのです。我が国に喧嘩を売りつけたブルーノを成敗せよと」
私は騎士団長に促されて、そう言うと腰に下げた剣を抜き放った。
「お、お前、その剣は公爵家の家宝、エクスカリバーではないか」
騎士団長は驚いて聞いてきた。
「左様。始祖と供に闘った我が公爵家の初代が使われた剣です。その夢を見た後に我が枕元にあったのです」
「いや、しかし、そのような絵空ごと・・・・」
外務卿の言葉を私は地面に聖剣を突き刺すことで黙らせた。
ビシッと地面に亀裂が走る。
「始祖様。私、クリスティーンはここに誓います。我が国に災いをもたらした逆賊ブルーノを叩き、真の王女殿下であるアンネローゼ様を助けると」
その瞬間、剣は黄金色に輝いたのだった。
「おおおお、聖剣が光り輝いているぞ」
「始祖様はクリスティーン様の誓いを聞き届けられたのじゃ」
「クリスティーン様は始祖様の命で軍を起こされたのじゃ」
周りのものが口々に騒ぎ出した。
それを忌々しそうに陛下と騎士団長は見ているしか手立てはなかったのだ。
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