傭兵バスターズ

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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せっかく転生して剣聖になれたのに、嵌められて左遷されてしまいました

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「ちょっとセド、何をとろとろと歩いているのよ!」
俺は前を悠然と歩くキャロラインから振り向いて文句を言われた。

「何をとろとろって、こんなにたくさんお前が買うからだろうが!」
大量の荷物を持たされた俺は、多くの人で溢れかえっている大通りの中を、荷物を落とさないようにバランスを取りながらキャロラインに追いつくのに精一杯だった。少しくらい遅れるのは仕方がないだろう。

「何をぎゃあぎゃあ言っているのよ。賭けに負けた、あんたが悪いんでしょ」
「……」
それを言われると俺は何も言えなかった。
そうだ。ポーカーで負けた俺が悪いのだ。



俺は少し前まで公国の中でも尊敬される、いや世界でも尊敬される公国の剣聖だった。

今の下僕のように大量の荷物を持たされている俺を見て、嘘だろうと言う奴も居ると思うが、誰が何と言おうと俺様は剣聖だったのだ。

俺は聖教会に属している、崇高なる剣聖様だった。

聖教会とはこの世界で最大の宗教派閥で、世界各地に教会を作っていた。

俺はその総本山の公国にある聖騎士団に所属していた。


俺の出身は公国の中の小さな村だった。その村、アルカイ村に俺が小さい時に流行り病が流行った。
公国の中とはいえ、教会で祈っても病が治るわけはない。
俺の両親も倒れ、俺も病に冒されてしまった。

そして、高熱でうなされている時だ。
俺は前世の記憶を取り戻したのだ。
前世、俺は日本という国で働いていた。当時日本は氷河期で三流大学を出た俺に就職先はなかった。アルバイトを転々として、いつの間にか、俺は法を犯す仕事に手を染めていたのだ。
オレオレ詐欺の実行犯になっていた。
これほど楽に稼げる職はなかった。その時はこんな世の中にした社会に復讐する意味もあったと思う。
俺が、いつ死んだかなんて記憶にないが、派閥の抗争か何かに巻き込まれて死んだんだろう。
親には悪いことをしたと今では思う。

そして、今世で俺が気がついた時は、寝込んでから1週間が過ぎていた。
俺が気付いて、皆が奇跡だと言ってくれた。それだけ俺は重症だったのだ。
多くの村民が亡くなっていた。その中に俺を育ててくれた両親も含まれていた。

前世の天罰が下ったのだろう。
でも、どのみち天罰を下すなら、俺に下してほしかった。両親には何の罪もなかったのだから。
というか、前世であんな酷いことをしてきたのだ。何故神様は俺に、再度この世界で生まれ変わらせてくれたんだろうか?
俺には全く判らなかった。

ただ、俺は心に決めたのだ。二度と犯罪に手を染めないでいようと。


俺はそのまま孤児院に預けられた。

この世界はファンタジーの世界だったが、俺が知っている世界ではなかった。
その事に俺は落胆した。せっかく転生できたのだから、知っているゲームや本の主人公になったのではないかと期待したのだが、そうではなかった。もっとも全てのゲームや本をしたわけではないから、俺が知らないだけかもしれないが……

次に俺が考えたのは魔術が使えるのではないかということだ。
そう、この世界では魔術が使えるのだ。
折角転生出来たのだ。前世の本とかでは、主人公には何かギフトが与えられているはずだった。
魔術が使えるかもしれないと俺は期待した。

しかし、6歳の時の魔力測定では俺には魔力が全く無いことが判ってしまったのだ。
俺は今度こそ落胆した。

まあ、前世が前世なのだ。
おそらく神様は俺に前世を悔い改めて、世のため人のためになれと言っているのだと俺は諦めた。

ただ、俺は運動が得意だった。
週に一回、孤児院に聖騎士が教えに来てくれるのだが、今度は俺はその中で認められたのだ。

俺は幼年騎士訓練所に入れられた。

しかし、そこのシゴキは激烈だった。
何回か半殺しの目に合わされた。でも、俺は体だけは丈夫だったみたいで、翌日にはケロリとしていた。
これがギフトなんだろうか? 体が丈夫というどうしようもない事が……
まあ、何も無いよりはましだが……
俺は仕方なしに、必死に訓練したのだ。
身体が丈夫だからか俺はどれだけしごかれても、先輩に目をつけられて半殺しの目にあわされても、翌日にはぴんぴんしていた。一度、野外訓練で崖から落とされた時はさすがの俺も死んだと思ったのだが、運よく群生していた低木の枝の上に落ちたみたいで、翌日には元気になっていた。
本当に体だけは丈夫だった。

そして、そんな俺は13歳の時に剣聖に見出された。
ボコボコにされても翌日には元気になる俺にサンドバックの代わりを求めたんだろう。
俺はそこから剣聖の弟子となった。
剣聖の稽古もなかなか酷かった。剣の腕は凄いのだが、性格が最悪で、俺は剣聖がムカつく事があるたびに半殺しの目にあわされたのだ。まあ、翌日にはぴんぴんしていたが……
俺は毎日のようにボコボコにされながら、なんとか逃げ出さずに、弟子を勤め上げたのだ。
そして、18歳で聖騎士となり、25歳で剣聖が下らない喧嘩が原因で殺された時に剣聖の地位を継いだのだ。


俺は順風満帆に見えた。異世界に転生して剣聖になれた。凄いことだ。
更には俺は貴族の娘との婚約まで整ったのだ。

俺は我が世の春を楽しんでいた。

少し驕っていたのかもしれない。
そんな良いことが長く続くはずはないのだ。

当時俺は剣聖として聖騎士団を率いて、魔物討伐や、盗賊退治、領主の不正などを暴いていた。

タレコミによってとある司教の不正があることが判り、苦労してやっと証拠を掴み、大司教に報告に行ったのだ。

「ぜひとも捕縛の許可をお願いします」
粋がっていう俺に
「まあまあ、バース君、少し落ち着いて」
俺の言葉に大司教は愛想笑いをしたのだ。

そして、すぐに出動させろと迫る俺をのらりくらりと躱してくれた。

「少し、時間を頂けますか。必ず何とかしますから」
そう言う大司教の言葉を信じて、その場は俺は引き下がった。
でも、それは間違いだった。報告などせずにそのまま聖騎士団を使って踏み込めば良かったのだ。

俺はいつまで経っても許可が下りないことが許せなくて、部下を連れて司教の居る街に向かおうとしたその時だ。

いきなり俺の部署替えが発表になった。
騎士訓練校の指導者として派遣されることになったのだ。

俺には寝耳に水の話だった。

慌てる俺に今度は冤罪の不正疑惑が持ち上がったのだ。
俺が賄賂を受け取って犯罪人を許したというのだ。
俺はそんなことはしていない。今世の俺は前世と違い清廉潔白なのだ。
でも俺が言うことに誰も聞く耳を持たなかった。
俺は皆に見捨てられたのだ。

その冤罪によって俺は剣聖の位を剥奪され、一兵士として公国の隣の自由都市エムネスへ派遣されることになった。

婚約者からは婚約破棄されるわ、慰謝料を取られるわで本当に散々だった。

後で知ったところではその司教と大司教はグルだったみたいで、いつの間にか不正なんてなかったことにされていたのだ。

俺は本当に馬鹿だった。

教会の最大の権力者の大司教に逆らったことで俺は見せしめに左遷されたのだ。

俺はこの世界でも神に見捨てられたことを知った。都合のいい神なんていないんだ。悪がはびこる世の中なのだ。俺は絶望した。
そんな時に俺はあいつ、『厄災娘』に捕まったのだ。


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