娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
4 / 59
第一章 娘が生贄にされるのを助けるために地獄から脱獄します

シャラは愛するクローディアの事を祈りながら炎の業火に焼き尽くされました

しおりを挟む
「グォォォォォォォォ」
「グォォォォォォォォ」
ダレルの台地に北の蛮族ノルディン族の雄叫びが響いた。
凄まじい数の集団が峠を剣を抜いて下ってきた。

その蛮族の集団の駆ける先には一人の少女が立っていた。
金髪に青い目のほっそりした少女が蛮族共の向かう先にたった一人で立ちすくんでいるように見えた。


「コニー、クローディアのこと宜しくね」
独り言をシャラは呟いた。

夫のビリーもノルディンの奴らに殺されたと思われた。そして、今からシャラもその夫の元に行くのだ。唯一の心残りは愛娘のクローディアの事だったが、その娘の事はブリエント夫妻だけでなくて国王と皇太子夫妻も面倒見てくれると言ってくれた。王家に至っては王子との婚約まで整えてくれたのだ。


「クローディア。元気でね」
シャラは思いっきりクローディアを抱きしめた。
シャラの瞳から涙が次から次に流れた。

「シャラ、そろそろ時間よ」
コニーが横から二人の時間を切り上げさせた。

「コニー、クローディアをお願いね」
シャラはコニーにクローディアを渡した。

「神ゼウスよ。クローディアとコニーに祝福を。コニーの愛がクローディアに永遠に注がれますように」
シャラから光が溢れて二人を包んだ。

「シャラ」
「コニー。本当にあなたに我が愛しのクローディアを託すわ」
そう言うとシャラはクローディアにキスした。

そして、魔術師らに施術をされてシャラはノルディンの大軍の前に立たされたのだった。


シャラは最後に師のジャルカにクローディアの事を懇ろに託した遺書を人づてに託した。ジャルカが知れば絶対に許さなかっただろう。軽はずみなシャラの行動に対して怒り狂うのは目に見えていた。でも、ジャルカなら、シャラの遺言は守ってくれるはずだった。

「師匠。不肖の弟子をお許し下さい。そして、私の忘れ形見のクローディアのことをどうか宜しくお願い致します」
シャラは祈った。

ノルデインの大軍はシャラを見つけて剣を掲げて殺到してきた。

シャラの脳裏にはキャッキャッ笑っているクローディアの笑顔が映っていた。

「神ゼウスよ。この生命、ゼウスに捧げます。何卒、クローディアの永久の幸せを。それがもし破られし時はわれの地上への復活をお許し下さい」
シャラは必死に祈った。

「我がしもべよ。汝の願い確かに聞き入れよう」
どこからともなく、神の声が聞こえた。
気まぐれなゼウスは面白そうだとシャラの願いを聞き入れてくれたのだ。

シャラはそれを聞くと両手を上げた。

もう何も思い残すことはなかった。

自分は愛する娘のためにここで死ぬのだ。

「炎の雷よ大地を焼き尽くせ」
シャラは魔術の詠唱を唱えた。

シャラは瞬時に炎に包まれた。

そして、その炎は巨大な火の柱となり、それは一瞬で周りの全てのものを全て焼き尽くした。


ノルディンの大軍は成すすべもなく、一瞬で焼き尽くされていた。

*************************************************

皆さん、このお話ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次からはシャラの娘クローディア編です。
クローディアには1年下に妹が出来て結構大変です。
でもその中優しい皇太子だけが頼りでしたが・・・・

明日の朝更新予定です
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。  彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。  しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。    ――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。  その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...