娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

第一章 娘が生贄にされるのを助けるために地獄から脱獄します

悪魔の魔神が伯爵家を訪問しました

聖女ミネルヴァが転移していった後も、コニーは震えていた。
「お母様。どうされたの」
アデラが聞くがコニーはただ、震えるだけだった。
「お母様」
アデラは母を揺する。
「こうしてはいられないわ」
コニーは立ち上がった。すぐに逃げないと。

「逃げるってどちらに」
「そんなのどこだって良いわよ。このままじゃあいつに殺されるわ」
「あいつって誰に」
アデラが聞いた時だ。

伯爵家の門が、爆発で吹き飛んでいた。

「きっ来たわ」
蒼白になってコニーは震えた。
顔面真っ青だった。

慌てて門の方に駆け行く騎士たちも次の瞬間には黒焦げになって倒れていた。

「ひっ」
ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる人影を見てコニーは悲鳴を上げた。

「シャ、シャラ」
コニーは固まった。

「久しいな。コニー」
シャラはニタリと笑った。

「何よあんた。うちの門を壊して。何してくれんのよ」
アデラが叫んだ。コニーは目で必死にやめろと言っていたが、アデラは気づかなかった。

次の瞬間シャラの衝撃波でアデラは吹き飛ばされて、地面に叩きつけられた。

「さすが貴様のむすめだな。礼儀作法がなっておらんではないか」
がくがく震えるコニーに向かってゆっくりとシャラは歩み寄る。

「コニー、貴様は私との約束を覚えておるか」
「ヒィィィぃ、許して下さい」
コニーは土下座をした。
「覚えておるかと聞いているのだ。答えろ」
そう言うとコニーの胸元を掴んで持ち上げた。

「はいっ。クローディア様を命に代えても大切に育てさせていただくと」
「そうだったな」
そう言うと、シャラは周りを見渡した。

「ところでクローディアはどこにいる」

コニーは蒼白になった。

「聞く所に寄ると私が貴様に『頼むから娘の命を助けるために生贄を代わってくれ』と貴様に頼んだとかふざけた噂が流れておるが」

「いえ、そんな事は。私がシャラ様に頼み込んだのです。クローデイア様を命にかけてお守りするから頼むから生贄を代わってくれと」
必死にコニーは修正した。それを聞いてアデラは唖然としていた。聞いていた話と違う。

「そうだ。その約束を貴様は破った。そしてあろうことか、再び貴様の娘に来た生贄の話を強引に私の大切な娘に代わらせたと聞いたのだが」
シャラの顔は笑っていたが、その目は笑っていなかった。

「御免なさい。許してシャラ。私娘をどうしても生贄にさせられなくて」
泣き叫ぶコニーは次の瞬間ボロ雑巾のように弾き飛ばされた。


「ふざけるな!貴様、命をかけて我が娘を守ると誓ったではないか。例え私の娘が生贄にされそうになれば自らの娘を生贄にせねばならなかっただろうが」

シャラはそう言うとボロボロになったコニーの腹を脚で踏み抜いた。
「ギャァァァ」
コニーは悲鳴を上げた。

「シャラ、頼む。止めてくれ」
そこに夫のブルースが飛び出してきた。

そして一瞬でこれもボロ雑巾のように弾き飛ばされていた。

「ブルース、貴様も命をかけて守ると誓ったのだぞ。夫婦してよくも裏切ってくれたな」
「申し訳ない」
這いつくばってブルースは謝った。

「謝って済む問題ではなかろう」
「頼む。私はどうなっても良い。他の二人は、いや娘だけはなんとか助けてくれ」
「ふざけるな」
シャラはすがりつこうとしたブルースを蹴り倒した。

「貴様ら、私が命よりも大切にしていた娘を頼んでいったのに何とした」
シャラはブルースの胸元を掴むと釣り上げた。

「言え」
「すまん。申し訳なかった。でも」

「許せるか」
シャラは思いっきりブルースを殴り飛ばした。
歯が全て折れて飛び出る。