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侯爵令嬢に癒やし魔法をかけました
殺気立った侯爵様に殺されるかと私が恐れた時だ。
「叔父上、おやめ下さい」
そこになんと、新歓パーテイーの時にライラのパートナーを勤めてくれたアスモ様が入ってきたのだ。
「叔父上?」
「そう、私はカンガサラ侯爵の甥なんだ。父が侯爵の弟なんだ。」
私の問にアスモ様が答えてくれた。
「で、何しに来たんだ。ニーナ嬢は?」
笑顔とは裏腹にアスモ様が不機嫌そうに聞いてきた。
「アスモ、何を不機嫌そうに言っている。ニーナはマイラの病を治しに来てくれたんだぞ」
会長が言ってくれたが、
「ヴィルこそ何言っているんですか。基本的に癒やし魔法の担い手でも病を治すのは無理なはずです。それは判っているでしょ。どのみちマイラが助からないと思って最後にマイラにヴィルとの仲を見せに来たのか」
「はい?」
私はアスモ様がいう意味が全く判らなかった。
「学園でも、ヴィルとニーナ嬢の仲の良さは有名さ。
そんなに、マイラに自慢したいのか」
なんか、アスモ様が更に変なことを畳み掛けて言ってくるんだけど。
「アスモ、何を言うんだ」
会長は私を庇おうとしてくれたが、私は純粋にマイラ様を治しすためだけに来たのだ。
私の個人的な希望で言えば、私は会長とずうーーーーっと一緒にいたい。でも、基本的に平民の私では会長の横にいるのは無理だ。ここで会長の想い人のマイラ様を治してしまったら、私が振られるのは確実だ。でも、会長とマイラ様が仲良くなって私が振られても良いと思って、最悪の覚悟でここに来たのに、こいつは何を言うのだ。
それ以前に、この健康体のアスモが、そもそも病人の苦労がわかるのか?
私は完全にプッツン切れた。
「ギャアギャアうるさいですね。いい加減にしてもらえますか」
私は二人に叫んでいた。
「何がマイラが可愛そうだ。何がマイラのことを考えてやってくれだ。あんたたちは病気で寝込んでいる人間がどんな気持ちで健康な人間を見ているのか知っているんですか!」
私はそう叫ぶと思いっきり机を叩いていた。
「侯爵様。あなた寝込んだことがあるんですか? とても健康そうな体つきしていますけれど」
「いや、俺はないが君も無いだろう」
「はああああ! 私はずうーっと寝込んだことがあるんです(前世で)。来る日も来る日もずうーーーーっと病院のベッドで寝ていて、外では皆楽しそうに遊んでいて、どんだけ私も外で遊びたかったか。アスモ様。あなた病人の苦しみが判るんですか?
あなた達健康な人がどれだけ羨ましかったか!
どれだけ外で遊びたかったか、どれだけ健康な人が本当に羨ましかったか!」
「いや」
アスモ様は首を振った。
「そうでしょう。私はマイラさんが私と一緒だと思ったから来たんです。マイラ様のために来てあげたんです。あんたや侯爵様のためにこんな苦労してきたんじゃないです。
判っているんですか? 怖いペトラ先生とアクセリ様に逆らって来てあげたんですよ。カーリナ様にも散々夜中に行きたくないとか文句言われたのを頼みに頼んで連れてきてもらったんです。 ぎゃあぎゃあ文句言う前に、まず私が出来るかどうか見てから言って下さい」
私は思いつきり言い切った。
平民風情に言われる筋合いは無いとか後で散々言われても良い。
私は前世の私と一緒の立場にあるマイラさんのために来たのだ。マイラさんさえ治ればそれで良いと思ってきたのだ。
外野は黙っていろと言いたかった。
「侯爵、マイラの病室に案内してくれるか」
会長の言葉に侯爵は釈然としないまでも私を案内してくれた。
マイラ様は高熱を出して寝込んでいた。
うなされている。
「ヴィルお兄様」
マイラ様が寝ぼけ眼で叫んでいた。
「マイラ、ここだよ」
会長が思わず手を握っていた。
マイラ様が安心したようだ。
私は少しだけむっとした。
ダメダメ集中しないと。
私は両手を差し出したのだ。
そして、一心に祈った。
マイラ様が治りますようにと。
「痛いの痛いの飛んで行け! つらいのつらいの飛んで行け」
私は叫んでいたのだ。
私の体が光ってそれがマイラ様を包む。
どんどんマイラ様の体の中に癒し魔術が吸収されていくのが判った。
そして、徐々にマイラ様の熱で赤くなった顔が青白くなっていく。
効いているんだ。
私はそう思いながら、気を失っていたのだ。
*************************************************
次で完結です。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
このサイドストーリー
『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられ、氷の貴公子に執着されました』
この話のライラ視点です。ライラの性格がガラリと変わります。
是非ともお読みください。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302819342
下にリンクも張っています
「叔父上、おやめ下さい」
そこになんと、新歓パーテイーの時にライラのパートナーを勤めてくれたアスモ様が入ってきたのだ。
「叔父上?」
「そう、私はカンガサラ侯爵の甥なんだ。父が侯爵の弟なんだ。」
私の問にアスモ様が答えてくれた。
「で、何しに来たんだ。ニーナ嬢は?」
笑顔とは裏腹にアスモ様が不機嫌そうに聞いてきた。
「アスモ、何を不機嫌そうに言っている。ニーナはマイラの病を治しに来てくれたんだぞ」
会長が言ってくれたが、
「ヴィルこそ何言っているんですか。基本的に癒やし魔法の担い手でも病を治すのは無理なはずです。それは判っているでしょ。どのみちマイラが助からないと思って最後にマイラにヴィルとの仲を見せに来たのか」
「はい?」
私はアスモ様がいう意味が全く判らなかった。
「学園でも、ヴィルとニーナ嬢の仲の良さは有名さ。
そんなに、マイラに自慢したいのか」
なんか、アスモ様が更に変なことを畳み掛けて言ってくるんだけど。
「アスモ、何を言うんだ」
会長は私を庇おうとしてくれたが、私は純粋にマイラ様を治しすためだけに来たのだ。
私の個人的な希望で言えば、私は会長とずうーーーーっと一緒にいたい。でも、基本的に平民の私では会長の横にいるのは無理だ。ここで会長の想い人のマイラ様を治してしまったら、私が振られるのは確実だ。でも、会長とマイラ様が仲良くなって私が振られても良いと思って、最悪の覚悟でここに来たのに、こいつは何を言うのだ。
それ以前に、この健康体のアスモが、そもそも病人の苦労がわかるのか?
私は完全にプッツン切れた。
「ギャアギャアうるさいですね。いい加減にしてもらえますか」
私は二人に叫んでいた。
「何がマイラが可愛そうだ。何がマイラのことを考えてやってくれだ。あんたたちは病気で寝込んでいる人間がどんな気持ちで健康な人間を見ているのか知っているんですか!」
私はそう叫ぶと思いっきり机を叩いていた。
「侯爵様。あなた寝込んだことがあるんですか? とても健康そうな体つきしていますけれど」
「いや、俺はないが君も無いだろう」
「はああああ! 私はずうーっと寝込んだことがあるんです(前世で)。来る日も来る日もずうーーーーっと病院のベッドで寝ていて、外では皆楽しそうに遊んでいて、どんだけ私も外で遊びたかったか。アスモ様。あなた病人の苦しみが判るんですか?
あなた達健康な人がどれだけ羨ましかったか!
どれだけ外で遊びたかったか、どれだけ健康な人が本当に羨ましかったか!」
「いや」
アスモ様は首を振った。
「そうでしょう。私はマイラさんが私と一緒だと思ったから来たんです。マイラ様のために来てあげたんです。あんたや侯爵様のためにこんな苦労してきたんじゃないです。
判っているんですか? 怖いペトラ先生とアクセリ様に逆らって来てあげたんですよ。カーリナ様にも散々夜中に行きたくないとか文句言われたのを頼みに頼んで連れてきてもらったんです。 ぎゃあぎゃあ文句言う前に、まず私が出来るかどうか見てから言って下さい」
私は思いつきり言い切った。
平民風情に言われる筋合いは無いとか後で散々言われても良い。
私は前世の私と一緒の立場にあるマイラさんのために来たのだ。マイラさんさえ治ればそれで良いと思ってきたのだ。
外野は黙っていろと言いたかった。
「侯爵、マイラの病室に案内してくれるか」
会長の言葉に侯爵は釈然としないまでも私を案内してくれた。
マイラ様は高熱を出して寝込んでいた。
うなされている。
「ヴィルお兄様」
マイラ様が寝ぼけ眼で叫んでいた。
「マイラ、ここだよ」
会長が思わず手を握っていた。
マイラ様が安心したようだ。
私は少しだけむっとした。
ダメダメ集中しないと。
私は両手を差し出したのだ。
そして、一心に祈った。
マイラ様が治りますようにと。
「痛いの痛いの飛んで行け! つらいのつらいの飛んで行け」
私は叫んでいたのだ。
私の体が光ってそれがマイラ様を包む。
どんどんマイラ様の体の中に癒し魔術が吸収されていくのが判った。
そして、徐々にマイラ様の熱で赤くなった顔が青白くなっていく。
効いているんだ。
私はそう思いながら、気を失っていたのだ。
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次で完結です。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
このサイドストーリー
『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられ、氷の貴公子に執着されました』
この話のライラ視点です。ライラの性格がガラリと変わります。
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