55 / 63

元婚約者の言葉に私は完全に切れました

しおりを挟む
淫乱聖女が何しにここにやってきたの?

それも女たらし王太子と一緒だし。

それでなくてもあの淫乱黒い十字架の件でプッツン切れているのに。闇魔道具も使った人間が淫乱だと魔道具までもが淫乱になるらしい。裸の女に成り変わるなど。そう言えば、その姿も淫乱聖女に似ていたような気がする。

もう、やるならやってやろうじゃない!

さぞかし、今日もめかし込んで来るんだろう。こちらは、魔物討伐でほとんど着の身着のままだ。そう思って私は淫乱聖女を待ち構えたのだけど・・・・



「あんた、誰?」
私は最初それが誰か、判らなかった。

元は立派だったのではないかと想われるすす汚れた衣装、何日も風呂に入っていないのか体中真っ黒にして、なんか今にも異臭が漂ってきそうな、格好をした女がいた。目にも隈を作っていて、髪の色も黒ずんでいてボサボサなんだけど。

「何言っているのよ。私よ。私! 偉大なる聖女アデラ・ヘセイ様よ!」
胸を張って言う割に、なんかめちゃくちゃくたびれて見えるんだけど。

そこには王宮で一世を風靡してた淫乱聖女の姿はどこにもなかった。男どもに乱暴の限りを尽くされた娼婦のなれの果てみたいな感じだった。

「えっ、あなたがアデラなの?」
びっくりして私は女を二度見した。確かに髪の色はピンクらしいが、ボサボサの頭だし、体中真っ黒だし、服は返り血なんだろうか、ところどころシミになっている。

「どう見てもそうでしょ」
淫乱聖女はムツとしてこちらに言い返してきた。

まあ、私も討伐には疲れたし、風呂にも入っていないけど、衣装は毎日洗濯できているのよね。侍女はいないけど、衛生班がいて、ちゃーーーんと面倒を見てくれているのだ。

それに比べて、ここに来た、ロンドの連中は本当に疲れ切っていた。服装こそ、まだまともだが、女たらし王太子のエイベルも目に隈を作っているし、他の面々は傷だらけだ。魔物討伐に相当手間取ったらしい。


本来ならば一国の王太子を迎えるのだから歓待もしなければいけないのかもしれないが、ここはダンジョンの傍だし、今は討伐中で椅子もお茶もない。


車座に座ると
「で、何の用なのだ?」
ハロルドが切り出してくれた。

「あーら、これはいつの間にかベルファスト王国の王太子殿下になられたハロルド様ではありませんか」
淫乱聖女の嫌味が炸裂した。まあ、こいつはこれでなくては。

「ハロルド、あなたが王子だったとは知らなかった。言ってくれればよかったのに」
その横のエイベルも驚いて言っていた。

「今は王太子殿下であられます」
横からエイブさんが言った。

「あなたは?」
「これは失礼致しました。エイベル王太子殿下。辺境伯を拝命しているエイブラハム・バーミンガムです」

「これは失礼した。スノードニアの大軍を殲滅されたバーミンガム公でしたか」
慌てて女たらし王太子が謝った。そうよ、隣国の辺境伯くらい覚えていなさいよ。私は自分のことを棚に上げて思った。

「殲滅したのはここにおられる王太子殿下でいらっしゃいますが」
「そうなのか。さすが氷の騎士と呼ばれた男なのだな」
なんか、女たらしは変な所に感心しているが。氷の騎士って、それはハロルドが女に塩対応だったからで、強さには何の関係もないよね。そもそも、殲滅したのは私と龍だし・・・・。
私が白い目で二人を見ると

「まあ、そのようなことはどうでも良い」
ハロルドは気まずくなったのか話題を変えた。

「こちらは魔物の残党掃討火残っている。手短に要件を言ってもらおう」

そうよ。そうよ。忙しいのよ。あんたは女の裸を見ているのに忙しいのかもしれないけれど。
私はハロルドにジト目をくれてやった。
ハロルドが思わず怯んだ。

ふんっ、許してなんかやらないんだから。
私は怒っていた。
この淫乱聖女らが、消えたらどうしてくれよう。私はもう次のことを考え出していた。そう、私は完全に他人事だった。次の女たらしの言葉を聞くまでは。

「我が国を出て行った、キャサリンが貴国で偽聖女を装い、闇魔道具を使って魔物を召喚して、我が国を襲わせたという噂があってだな。その確認に来たのだ」

この女たらし王太子は何を言ってくれるのだ。そもそも淫乱黒い十字架を突き刺したのはそちらの淫乱聖女だろうが。

私は完全にプッツンキレた。

しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ

春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。 エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!? この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて… しかも婚約を破棄されて毒殺? わたくし、そんな未来はご免ですわ! 取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。 __________ ※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。 読んでくださった皆様のお陰です! 本当にありがとうございました。 ※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。 とても励みになっています! ※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~

甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。 その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。 そんな折、気がついた。 「悪役令嬢になればいいじゃない?」 悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。 貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。 よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。 これで万事解決。 ……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの? ※全12話で完結です。

老婆令嬢と呼ばれた私ですが、死んで灰になりました。~さあ、華麗なる復讐劇をお見せしましょうか!~

ミィタソ
恋愛
ノブルス子爵家の長女マーガレットは、幼い頃から頭の回転が早く、それでいて勉強を怠らない努力家。さらに、まだ少しも磨かれていないサファイアの原石を彷彿とさせる、深い美しさを秘めていた。 婚約者も決まっており、相手はなんと遥か格上の侯爵家。それも長男である。さらに加えて、王都で噂されるほどの美貌の持ち主らしい。田舎貴族のノブルス子爵家にとって、奇跡に等しい縁談であった。 そして二人は結婚し、いつまでも幸せに暮らしましたとさ……と、なればよかったのだが。 新婚旅行の当日、マーガレットは何者かに殺されてしまった。 しかし、その数日後、マーガレットは生き返ることになる。 全財産を使い、蘇りの秘薬を購入した人物が現れたのだ。 信頼できる仲間と共に復讐を誓い、マーガレットは王国のさらなる闇に踏み込んでいく。 ******** 展開遅めですが、最後までお付き合いいただければ、びっくりしてもらえるはず!

最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~

猪本夜
恋愛
前世で兄のストーカーに殺されてしまったアリス。 現世でも兄のいいように扱われ、兄の指示で愛人がいるという公爵に嫁ぐことに。 現世で死にかけたことで、前世の記憶を思い出したアリスは、 嫁ぎ先の公爵家で、美味しいものを食し、モフモフを愛で、 足技を磨きながら、意外と幸せな日々を楽しむ。 愛人のいる公爵とは、いずれは愛人管理、もしくは離縁が待っている。 できれば離縁は免れたいために、公爵とは友達夫婦を目指していたのだが、 ある日から愛人がいるはずの公爵がなぜか甘くなっていき――。 この公爵の溺愛は止まりません。 最初から勘違いばかりだった、こじれた夫婦が、本当の夫婦になるまで。

ねーちゃんの愛読書の、『ザマァされる王子』に転生したんだが。

本見りん
恋愛
俺がねーちゃんに渡された数冊の本。……それが全ての始まりだった。 高校2年の初夏、俺は事故に遭った。……そして、目が覚めると……。 ねーちゃんの本のザマァされる王子に転生していた! 何故か本の内容の通り勝手に動く身体。……このままじゃ、俺は『ザマァ』されてしまう! ねーちゃん! どうすりゃいいんだ!?

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに、なぜか潔癖公爵様に溺愛されています!〜

海空里和
恋愛
まるで物語に出てくる「悪役令嬢」のようだと悪評のあるアリアは、魔法省局長で公爵の爵位を継いだフレディ・ローレンと契約結婚をした。フレディは潔癖で女嫌いと有名。煩わしい社交シーズン中の虫除けとしてアリアが彼の義兄でもある宰相に依頼されたのだ。 噂を知っていたフレディは、アリアを軽蔑しながらも違和感を抱く。そして初夜のベッドの上で待っていたのは、「悪役令嬢」のアリアではなく、フレディの初恋の人だった。 「私は悪役令嬢「役」を依頼されて来ました」 「「役」?! 役って何だ?!」  悪役令嬢になることでしか自分の価値を見出だせないアリアと、彼女にしか触れることの出来ない潔癖なフレディ。 溺愛したいフレディとそれをお仕事だと勘違いするアリアのすれ違いラブ!

処理中です...