悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
19 / 81

聖女視点 王太子と学園に一緒に行って悪役令嬢をぎゃふんと言わせてやりました

しおりを挟む
 そして、私は男爵家に迎えられたのだが、長い時間を過ごす間もなく、教会からの迎えの馬車が来たのだった。

 大聖堂で迎えてくれたアズナヴール教皇はいやらしい視線で私を見てくれた。
 私は年の割には胸が大きくてかわいらしいのだ。

「教皇様。これからよろしくお願いしますね」
 私が両手を組んで上目遣いに見上げてやると、
「神の加護が聖女にあらんことを」
 いやらしい笑みを浮かべて祝福してくれた。
 女神様に一番愛されている聖女の私に教皇風情が祝福してどうするのよ!
 と思わなくもなかった。
 何しろ私をこのヒロインに転生させてくれたのはこの教会に奉られている女神様なのだ。
 私は無敵だった。
 私は攻撃魔術は使えなかったが、癒やし魔術は大半が使えた。それに古語は読めたし、数学も出来た。数学の落ちこぼれの私ができる方だなんてこの世界の学力はどれだけ低いんだよと私は完全に舐めていた。教会では訳のわからない歴史の授業や、礼儀作法の授業なんかも受けさせられたが、ほとんど無視した。

 それよりも、金持ちや貴族相手に癒やし魔術を使って治療にいそしんだのだ。
 平民相手に癒やし魔術を行っても一銭のもうけにもならないが、金持ちや貴族は私が癒やし魔術を行うと教会に多くの寄進をしてくれた。

 我が養父は大商会のオーナーだ。小遣いに不意自由はしていなかったが、
「教皇様。私も少しお小遣いがほしいです」
 私が教皇に流し目を使ってみた。すると教皇はその寄付の一割を教皇は私に小遣いとしてくれるようになったのだ。
 一割だけなんてなんてケチなんだ。と思ったが、
「ありがとうございます」
 とお礼を言っておいた。まあ、軍資金は多いほど良い。何しろ相手は公爵令嬢のなのだ。

 私は精力的に貴族や金持ちの相手をした。
 そうして、国や貴族界に聖女である私を売り込んだのだった。


 そして、ついに学園が始まる時が来た。
 私は入学式の朝に王宮を訪問したいと教皇に無理を言ったのだ。

「今からか?」
 教皇はさすがに難色を示したが、
「学園に入る前に王太子殿下にご挨拶したいのです」
 私は上目遣いに教皇にお願いしたのだ。

 昨日王宮にお邪魔した時に王太子は出てこなかったのだ。
 ゲームのスタートは普通は入学式からなのだが、逆ハーレムルートでは入学式の前に王宮にご挨拶に行ってそこで王太子と会って恋に落ちるのだ。
 何としても入学式前に王太子と会わないと。
 そして、逆ハーレムモードに進むのだ。

 いきなり訪問してきた教皇と聖女の私に王宮側は躊躇したが、
「昨夜、女神様の夢を見まして、入学式の前に王太子にご挨拶せよとしかられました」
 適当な理由をでっち上げたら、慌てて国王夫妻のところに案内された。

 陛下に同じ事をお話しすると
「ああ、昨日は息子と会えてなかったか」
 仕方が無さそうに国王は王太子を呼んでくれた。

「入学式前の忙しい時に何ですか?」
 不機嫌さを隠さずにエミールが入ってきた。
 やっと会えた。生エミールだ。私は感激した。

「エミール。教皇猊下と聖女様の前ですよ」
 王妃様が注意してくれた。

「猊下が言われるには聖女様が貴族が大半を占める王立学園に通うのに不安を覚えられているとのことで、王太子であるその方にも前もって挨拶がしたかったそうだ」
「エミール。聖女様のご不安を取り除いてあげるのですよ。前もって話したように学園内ではくれぐれも聖女様に気を使ってあげてね」
 一瞬エミールは苛っとしたようだが、私を見ると笑みを浮かべてくれたのだ。

「これは聖女アニエス・ボラック男爵令嬢。あなたも既に貴族の令嬢なのだ。何の不安もないでしょう」
 エミールはにこやかに笑ってくれた。私はその笑顔に当てられてぼうっとしてしまった。

「はい。エミール様。よろしくお願いします」
 私は両手を前に組んで上目遣いにエミールを見上げたのだ。

「猊下。私はアニエス・ボラック男爵令嬢に名を呼んで良いと許可した覚えはないが」
 目を細めてエミールが教皇に意見していた。ツンデレモードだ。こういうエミールは初めてで私には目新しかった。

「申し訳ありません。殿下。何分アニエス様はまだ、貴族の礼儀作法に疎いものでして」
「エミール様。申し訳ありません」
 私も一応頭を下げたのだ。

「いや、しかし、聖女となってもう一年にもなろう」
「アニエス様は癒やし魔術を施すので忙しくて、中々教育まで手が回らなかったのです」
 教皇がエミールに謝ってくれた。

「エミール。少しくらい大目に見てあげなさい」
 王妃様も私をフォローしてくれた。
 エミールは一瞬逡巡していたが、
「私のことを名で呼ぶのは止めて頂きたい」
 エミールは私を見て言ってくれた。

「判りました。エミール様」
 私の返事にエミールはむっとしたようだが、私は無視した。だってゲームではエミール様呼びだったんだもの。それ以外の呼び方はあり得なかった。

「エミール。時間がないんじゃないの?」
 お怒りモードのエミールに王妃様が注意してくれた。

「そうですね。私はそろそろ学園に行きます」
「じゃあ、エミール。アニエスさんも学園に連れて行ってあげてくれる」
 王妃様がエミールに頼んでくれたのだ。

「えっ、何故私が?」
 不機嫌極まりない表情でエミールが王妃を見た。
「だって一緒のところに行くんでしょう? 聖女様の面倒はきちんと見るってあなたと約束したわよね」
 王妃様が文句を言うエミールを説得してくれた。

「判りました。ボラック男爵令嬢。行こうか」
「殿下。その呼び名は聖女様にはどうかと思いますが」
「そうです。私のことはアニエスとお呼びください」
 私も教皇の尻馬に乗って言ってみた。
「私には婚約者がいるのに他の令嬢を名前では呼べない」
「そんな、エミール様。悲しいです」
 あくまでも悪役令嬢を立てるエミールに私は少しいらっときて上目遣いで、エミールを下から見上げた。普通このうるっとした瞳で見られたら皆表情を緩めてくれるのだ。

「だから私のことは名前で呼ぶなと申しているだろう」
 でも、エミールには通用しなかった。更に怒りだしたんだけど。

「エミール。聖女様にちょっと言葉がきついのでは無くて」
「しかし、母上」
「それよりも時間が無いのではないのか」
 王妃様と陛下が横から助けてくれた。

「ボラック男爵令嬢。行くぞ」
 エミールが早足で歩き出したのだ。
「ちょっとエミール様」
 私は慌てて追いかけようとして足がもつれた振りをしたのだ。

「キャッ!」
 そう言って転けて見せたのだ。

「何をしている、女は皆転けるものなのか?」
 エミール様が呆れて言ってくれた。
 その顔に苦笑いが浮かんでいるのを見て、私はほっとした。
 少しはエミール様の懐に入れたのだ。
 わざと転けた甲斐があった。
 ここから馬車まで手を引いてもらえるか、うまくいけばお姫様抱っこしてもらえるかも。
 私はゲーム中では何回もエミールにお姫様抱っこをしてもらっていたのだ。

「おい。聖女を抱きかかえてやれ」
 しかし、エミールは自分ではなくて騎士に命じてくれたのだ。
「そ、そんな」
 私は唖然とした。
 私が聖女になって転生したのに!

 でも、まだまだ負けない。

 馬車の中ではエミールは静かに外を見ていたのだ。
 私が話しかけてもほとんど反応してくれないのだ。
 というか、王宮から学園は隣なのですぐだった。

 ここからが勝負だ。

 学園の場所乗り場でまず、エミールが降り立ったのだ。
 皆キャーキャー騒いでくれた。

 そして、ここではさすがにエミールがエスコートして私を馬車から降ろしてくれたのだ。

「あの方は聖女様よ」
「まあ、何て事なの? 王太子殿下ととてもお似合いだわ」
「しぃぃぃぃ! 王太子殿下には他に婚約者がいらっしゃるはずよ」
「確か、ロワール公爵家の我が儘娘だったわ」
「でも、殿下のお相手はどう見ても聖女様がお似合いじゃない!」
「本当に」
 私は周りの者達の声を聞いてほくそ笑んでいた。
 この学園に入る前にいろいろ貴族の集まりにも出て、名前を売って社交をしてきた甲斐があった。

 そして、私は王子について歩きながら、エミールの馬車から私が降りてきたのを見て驚いているクラリスを捉えたのだ。遠くだったので、エミールは気付いていないみたいだった。そして、私は勝ち誇った笑みでクラリスの方に微笑みかけてやったのだ。
*************************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
聖女視線でした。果たしてクラリスはこの強心臓の聖女に勝てるのか?
続きは明日です。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~

キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。 パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。 最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。 さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。 その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。 王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。 こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。 ※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。 ※カクヨムにも掲載中です。

悪役令嬢は伝説だったようです

バイオベース
恋愛
「彼女こそが聖女様の生まれ変わり」 王太子ヴァレールはそう高らかに宣言し、侯爵令嬢ティアーヌに婚約破棄を言い渡した。 聖女の生まれ変わりという、伝説の治癒魔術を使う平民の少女を抱きながら。 しかしそれを見るティアーヌの目は冷ややかだった。 (それ、私なんですけど……) 200年前に国を救い、伝説となった『聖女さま』。 ティアーヌこそがその転生者だったのだが。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...