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スタンピードの討伐の状況は一進一退を繰り返し、王太子負傷の噂まで流れて私はとても心配になりました
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それから毎日、私はお兄様と一緒に学園に通った。
授業中はフェリシー等と過ごし、お昼は生徒会の手伝いをする時以外は基本的にフェリシー等と食べた。
試験が近かったので、放課後はフェリシー等と一緒に勉強して、お兄様と一緒に帰るという生活をしていた。
すぐに解決すると思われたゴモラの街の状況は思わしくなかった。
魔物は想定よりもたくさん溢れていて、街を魔物に達から奪還するのがまず大変だったそうだ。
詳しい状況は私には良く判らなかった。中々詳しい連絡が入らないのだ。入ったところで判らなかったかもしれないが。さすがにゴモラ地方の小さな地名までは私も覚えていなかったし。
すぐに征伐して帰って来るってエミールは言っていたから1週間くらいで終わるかなと思っていたのだが、現地に着いて1週間経っても状況は良くならなかった。
お父様の情報では今の状況ではいつ終わるか判らないとの事だった。
ありとあらゆる所に魔物がいて、精鋭の騎士団をしても苦戦しているらしい。そんな中で聖女アニエスは癒やし魔術で大活躍しているらしい。騎士の人達も何人もが死にかけの所を治してもらったらしい。
こんなに長くなるとは思ってもいなかった。
今まで私はエミールとはいつも一緒だったから、こんなに離れた事なんて今まで一度もなかった。最近は毎朝昼晩と一緒だったし。お妃教育の時も忙しいスケジュールの中で週に2回は会っていたから、婚約して以来、こんなに長い間離れたことは無かった。
私に取って始めての経験だった。
私はエミールを励ます意味でも手紙を送る事にした。
今まで手紙なんてエミールに送ったことがなかったから何を書いて良いか判らなかったけれど、取りあえず、私の最近のことと、戦場の様子を気遣う手紙を書いて送ったのだ。
連絡の騎士さんに頼んだから届いたと思ったんだけど、エミールからは返事が帰ってこなかった。
「殿下は手紙を書く暇もないんだよ」
お兄様にはそう慰められた。
確かにそうかもしれない。
アニエス等のグループはアニエスがいなくなってしばらくは静かになっていた。
でも、アニエスが活躍し出すと急に煩くなってきたのだ。
「ねえ、聞かれました。アニエス様の活躍」
「魔物の襲撃で騎士団の半数の方が傷つかれた時に、不眠不休で癒やし魔術をかけられたそしうよ」
「さすがアニエス様ね」
「ついこの前も、傷ついた殿下を夜通し看護されたとか」
遠くから聞こえてきた声に私は驚いた。
「えっ、殿下が傷つかれたのですか?」
私は思わず、クロエに聞いていた。
「えっ、クラリスさんは殿下の婚約者なのに、そんなことも知られませんの?」
クロエは私を馬鹿にしたように見下ろしてくれた。
「ええ、聞いていないわ。どんな状況だったの?」
恥も外聞も無く、私は聞いていた。
「何でも、他の騎士様達と哨戒に出られた殿下達が、魔物の大群に襲われて、しんがりを殿下が務められて大怪我をされたそうですわ。それを、アニエス様が夜通し看病されて治されたとか。殿下はアニエス様にとても感謝されているそうですわ」
「それが縁で今はお二人はとても仲が良いそうですわよ」
バルバラまでが聞きたくないことまで教えてくれた。
そんな、エミールが怪我したなんて聞いていなかった!
私は暗澹たる気分になった。
「クラリス、大丈夫よ。殿下はあなたの所に元気で帰ってこられるわよ」
「でも、殿下が怪我したなんて聞いていなかったわ」
私が沈んで言うと、
「お兄様達はあなたを心配して黙っていたのかもしれないじゃない。今は元気になられたのなら、良いんじゃない」
フェリシーが慰めてくれたけれど、私は納得がいかなかった。
早速その足でお兄様に文句を言いに行くと
「えっ、殿下が怪我したなんて聞いていないぞ」
お兄様も知らないみたいだった。
「俺が知らないという事はデマだと思うぞ。お前は殿下の婚約者なんだからそう言うデマが広まっているのならば、それを否定しないといけないんじゃないのか」
と逆にしかられてしまったのだ。
そうだ。婚約者の私が聞いていないんだから、それはデマなのだ。
何かあったら王宮から連絡が入るはずだ。
私は自分に言い聞かせたのだ。
そして、そんなデマを流す子らを注意しないといけない。
ても、地味で大人しい私が注意なんて出来るんだろうか?
そう思わないでもなかったが、エミールは戦場で頑張っているのだ。私も頑張らないといけない。
「バルバラさんとクロエさん」
私は思いきって声をかけたのだ。
「なんですの? クラリスさん」
二人が私を見下したように見てきた。
ちょっと貴方たち、私は公爵令嬢なのよ! 少しくらい敬いなさいよ!
心の片隅でそう思いつつ、気の小さい私はそうは言えなかった。
「お兄ちゃまに確認したら殿下は傷ついていないということでしたわ。殿下が怪我されるということは遠征軍の苦戦を象徴することです。勝手なデマは流さないで頂けますか」
私は噛みながら言い切ったのだ。
よく言えた私。
私は自分を褒めたかった。
「そんなことをおっしゃっても私達はアニエス様からの情報をお話ししているだけですわ」
「あなたは聖女様が嘘を言っていると言われるの?」
「そうは言いませんけれど……」
そう二人に反論されると気の弱い私はそれ以上強い言葉は何も言えなかったのだ。
そうしている間にも、状況は一進一退を続けているみたいだった。
私はひたすらエミールの無事を祈っていた。
そんな私に更に悪い噂が伝わって来たのだ。
授業中はフェリシー等と過ごし、お昼は生徒会の手伝いをする時以外は基本的にフェリシー等と食べた。
試験が近かったので、放課後はフェリシー等と一緒に勉強して、お兄様と一緒に帰るという生活をしていた。
すぐに解決すると思われたゴモラの街の状況は思わしくなかった。
魔物は想定よりもたくさん溢れていて、街を魔物に達から奪還するのがまず大変だったそうだ。
詳しい状況は私には良く判らなかった。中々詳しい連絡が入らないのだ。入ったところで判らなかったかもしれないが。さすがにゴモラ地方の小さな地名までは私も覚えていなかったし。
すぐに征伐して帰って来るってエミールは言っていたから1週間くらいで終わるかなと思っていたのだが、現地に着いて1週間経っても状況は良くならなかった。
お父様の情報では今の状況ではいつ終わるか判らないとの事だった。
ありとあらゆる所に魔物がいて、精鋭の騎士団をしても苦戦しているらしい。そんな中で聖女アニエスは癒やし魔術で大活躍しているらしい。騎士の人達も何人もが死にかけの所を治してもらったらしい。
こんなに長くなるとは思ってもいなかった。
今まで私はエミールとはいつも一緒だったから、こんなに離れた事なんて今まで一度もなかった。最近は毎朝昼晩と一緒だったし。お妃教育の時も忙しいスケジュールの中で週に2回は会っていたから、婚約して以来、こんなに長い間離れたことは無かった。
私に取って始めての経験だった。
私はエミールを励ます意味でも手紙を送る事にした。
今まで手紙なんてエミールに送ったことがなかったから何を書いて良いか判らなかったけれど、取りあえず、私の最近のことと、戦場の様子を気遣う手紙を書いて送ったのだ。
連絡の騎士さんに頼んだから届いたと思ったんだけど、エミールからは返事が帰ってこなかった。
「殿下は手紙を書く暇もないんだよ」
お兄様にはそう慰められた。
確かにそうかもしれない。
アニエス等のグループはアニエスがいなくなってしばらくは静かになっていた。
でも、アニエスが活躍し出すと急に煩くなってきたのだ。
「ねえ、聞かれました。アニエス様の活躍」
「魔物の襲撃で騎士団の半数の方が傷つかれた時に、不眠不休で癒やし魔術をかけられたそしうよ」
「さすがアニエス様ね」
「ついこの前も、傷ついた殿下を夜通し看護されたとか」
遠くから聞こえてきた声に私は驚いた。
「えっ、殿下が傷つかれたのですか?」
私は思わず、クロエに聞いていた。
「えっ、クラリスさんは殿下の婚約者なのに、そんなことも知られませんの?」
クロエは私を馬鹿にしたように見下ろしてくれた。
「ええ、聞いていないわ。どんな状況だったの?」
恥も外聞も無く、私は聞いていた。
「何でも、他の騎士様達と哨戒に出られた殿下達が、魔物の大群に襲われて、しんがりを殿下が務められて大怪我をされたそうですわ。それを、アニエス様が夜通し看病されて治されたとか。殿下はアニエス様にとても感謝されているそうですわ」
「それが縁で今はお二人はとても仲が良いそうですわよ」
バルバラまでが聞きたくないことまで教えてくれた。
そんな、エミールが怪我したなんて聞いていなかった!
私は暗澹たる気分になった。
「クラリス、大丈夫よ。殿下はあなたの所に元気で帰ってこられるわよ」
「でも、殿下が怪我したなんて聞いていなかったわ」
私が沈んで言うと、
「お兄様達はあなたを心配して黙っていたのかもしれないじゃない。今は元気になられたのなら、良いんじゃない」
フェリシーが慰めてくれたけれど、私は納得がいかなかった。
早速その足でお兄様に文句を言いに行くと
「えっ、殿下が怪我したなんて聞いていないぞ」
お兄様も知らないみたいだった。
「俺が知らないという事はデマだと思うぞ。お前は殿下の婚約者なんだからそう言うデマが広まっているのならば、それを否定しないといけないんじゃないのか」
と逆にしかられてしまったのだ。
そうだ。婚約者の私が聞いていないんだから、それはデマなのだ。
何かあったら王宮から連絡が入るはずだ。
私は自分に言い聞かせたのだ。
そして、そんなデマを流す子らを注意しないといけない。
ても、地味で大人しい私が注意なんて出来るんだろうか?
そう思わないでもなかったが、エミールは戦場で頑張っているのだ。私も頑張らないといけない。
「バルバラさんとクロエさん」
私は思いきって声をかけたのだ。
「なんですの? クラリスさん」
二人が私を見下したように見てきた。
ちょっと貴方たち、私は公爵令嬢なのよ! 少しくらい敬いなさいよ!
心の片隅でそう思いつつ、気の小さい私はそうは言えなかった。
「お兄ちゃまに確認したら殿下は傷ついていないということでしたわ。殿下が怪我されるということは遠征軍の苦戦を象徴することです。勝手なデマは流さないで頂けますか」
私は噛みながら言い切ったのだ。
よく言えた私。
私は自分を褒めたかった。
「そんなことをおっしゃっても私達はアニエス様からの情報をお話ししているだけですわ」
「あなたは聖女様が嘘を言っていると言われるの?」
「そうは言いませんけれど……」
そう二人に反論されると気の弱い私はそれ以上強い言葉は何も言えなかったのだ。
そうしている間にも、状況は一進一退を続けているみたいだった。
私はひたすらエミールの無事を祈っていた。
そんな私に更に悪い噂が伝わって来たのだ。
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