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タウンハウスの障壁を門にも張ってしまって王子様は何も知らずに激突していました

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私は取り敢えず、王宮お茶会のノルマを果たしてホッとしていた。
王妃様は母がいなくて不機嫌だったけれど、王子のアドとかとは友達になれたし、まあ、良いだろうと私は思っていたのだ。

後は折角来た王都で遊んでその後に帰れば良いと言われたけれど、別に王都で行きたいところはないし、さっさと帰って、また『魔の森』で冒険すればいいかと思ったのだ。

ただ、一緒に来た騎士や使用人たちが、色々とやることがあるとのことで1週間はいることにした。
その間に、人手が足りずに出来なかった屋敷の掃除や、修繕を皆でやっていた。

私も手伝おうとしたんだけど、
「フラン様が何かされると却って手間が増えますので」
「部屋でゴロゴロされていれば良いかと」
アリスとクリストフに酷いこと言われて、居間でふて寝していた。

まあ、その前に私は母から習っていた屋敷の守りの障壁を張り直しはしたのよ。ちゃんと!


私が居間でゴロゴロしていると

「ギャッ」
外から大きな悲鳴が聞こえた。

「どうしたんでしょう?」
アリスが慌てて見に行く。

「フラン様。大変です。障壁が……」
「えっ、障壁がどうかしたの?」
アリスの声がして、私は慌てて飛び出した。

そこには顔を打って鼻を押さえている騎士のディオンとそれを介抱している皆がいた。

「どうしたの?」
「門を開けようとしたら見えない壁にぶち当たりまして」
「あっ、ゴメン。障壁を張る時、門のところ開けるのを忘れていたわ」
「「フラン様!」」
私の言葉に皆が怒ってきた。

皆が見守る中、私は慌てて門のところだけ障壁を無くしたのだった。

「ゴメンゴメン、お母様からは門のところだけは開けておくように言われていたんだった」
「本当にフラン様は抜けています!」
「まだ、私だから良かったものを他のものだったらどうするつもりですか」
アリスとディオンがブツブツ文句を言う。

「フラン様、大変です。外でも人が倒れています」
ディオンが門を開けて外に出て叫んできた。
私達がその声を聞いて、慌てて駆け出るとそこには立派な馬車が二台と顔を押さえている二人がいた。

「アド!」
私はその一人が王子のアドだと知って驚いた。相変わらず、アドは見目麗しい姿をしていた。顔を押さえていたけれど。アドはとても立派な余所行きの格好をしているんだけど、これからどこかに行くんだろうか?

「やあ、フラン。さすがルブラン家の障壁は完璧なんだな」
立ち上がりながらアドが言うんだけど、

「えっ、そうかな」
私は門の所を開けるのを忘れていたなんて恥ずかしくていえなくて、誤魔化して愛想笑いをした。いくら私が公爵令嬢だとはいえ、王子様に怪我させたなんてなったら大変なことになるというのは子供心にも判っていたので、周りに目配せをする。

「ところで、こんなところにどうしたの?」
私が聞くと
「いや、ちょっとフランに用があって」
「私に?」

「アドルフ殿下!」
奥からシモーヌの驚きの声とともに慌てて駆けてきた。
「このようなところではなんですのでどうぞ、お屋敷にお入り下さい」
私達はシモーヌに案内されて屋敷の中に入った途端に、私はアリスに拉致されたのだ。
「フラン様。殿下の前になんて格好で出られたのですか」
アリスが怒っているんだけど、良く見たら私の格好は寝巻きだった。まあ、寝巻きと言ってもそのまま、外へもいざという時はそれで戦える格好なんだけど……

「だってあの流れでどうやって着替えるのよ」
「だから日頃からちゃんとしたお衣装をお召くださいと言っているではないですか。私がシモーヌさんに怒られるんですから、もう」
アリスは自分の怒られる心配しているだけじゃない!
私は膨れたが、慌てて寝間着から立派な衣装に着替えさせられたんだけど、いや、屋敷の中だから普段着でいいじゃない! と言う私の文句は全く無視されてしまった……

***********************************************
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302627913

が皆様の応援のお陰で『次にくるライトノベル大賞2023』ノミネートされました。
https://tsugirano.jp/

私の作品は上から5番目に載っています!

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