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理科の一問間違いのお陰で赤点になって理不尽さに泣きそうになっていたらおば様達が助けてくれました
切れたお母様は無敵だった。
なんか最後はお母様にボコボコにされた魔人が可哀相に思えてきたほどだ。
公王はお母様に復讐するために魔人になったのに怒り狂ったお母様には通用しなかった。
魔王でもお母様は勝ってしまうかもしれない……
私はそのまま気絶してしまったのだが、後でリックに聞いたところでは、帰ってきた騎士団やアリーナおば様達が現れて、お母様を見つけて一騒動になったらしい。
お母様を見つけて攻撃しようとした騎士団とそれにぷっつん切れたおば様達の争いは一瞬でおば様達の勝ちが決まったが、騎士団長はしばらく針の筵だとブツブツ文句を言っていた。
お母様と色々話をしたかったみたいだが、お母様は私の治療が最優先だとあまり話が出来なかったらしい。その後お母様は私が元気になるとアンハームに帰って行って、おば様達を落胆させた。
レオさんは急遽飛んで来た大使達によって帝国に強制送還されていた。
そのレオさんに癒し魔術で治してもらった私は翌日には元気になっていた。
ハウゼン侯爵等の反逆の余波で、学園の終業式が5日間延期された。
そして、今日はその終業式だ。
私は張り出された成績表を見るために、エーレン達と一緒に掲示板に向かった。
一年生120名が一覧で表示されていた。
「凄い、エーレン10位じゃない!」
私は上から10番目に張り出されたエーレンを褒めていた。
「まあ、やるだけやったから」
エーレンは納得顔だ。私と一緒の転生者のエーレンは帝国語は完璧だし、私と違って大学まで行ったエーレンは数学も理科もとても良く出来た。
理科の唯一天動説は頷くのに躊躇したそうだが、そこは主義主張を変えたらしい。
さすがエーレンだ。
しかし、魔術実技等は圧倒的に勝っている私の名前は、中々なかった。
やっと見つけた時は40位だった。
せっかくリックに色々教えてもらっていたのに、40位だったとは……まあ、C組の中では上の方だったけど、私は少しがっかりした。
勉強はしたつもりなのに!
やはり私ごときがしたつもりではこの魔術学園のレベルでは全然という事なのだろう。
その下に赤点取得者が出ていたんだけど、さすがに私は見なかった。
あれだけやったのよ。平均点の半分なんてあり得ないだろうと思っていたわ。
「ゲーーーー!」
その時ゲルトの悲鳴が聞こえた。
「嘘!」
目を見開いて固まっているんだけど……
「どうしたの、ゲルト?」
「私が聞くと、赤点が6つもある」
絶望した声は震えていた。
「ゲルトも夏休みの補習大変ね」
私が他人ごとよろしく言うと
「何言っているんだ! アミも理科が赤点だぞ」
「そんな訳ないわよ」
私は最初は信じなかった。
順位も40位だし、赤点なんてある訳ないと……
「あっ、本当だ」
「アミ、理科勉強しなかったの?」
ビアンカとエッダまで私の名前があると言い出してくれて、
「そんなの冗談でしょ」
そう言ってエッダの指さすところを見るとはっきりとアマーリア・フルフォードと書かれていたんだけど……
「嘘!」
私は唖然とした。
と言うか完全に固まっていた。
英語は完璧だし、数学も歴史とも地理もある程度取れたはずなのに、なんで40位なんだろうと不思議に思ったんだけど、理科が赤点だったからか……でも、理科はほとんど出来たはずなのに!
「アミ、貴方ひょっとしてそれでも地球は回っているとガリレオは言った事が正しいって丸にしたんじゃないでしょうね」
エーレンが言いだしてくれたんだけど、
「だって、それが本当の事でしょ」
私は当然のごとく頷いた。
「ああああ、これだから馬鹿は困るんだよな。地球が太陽の周りを回っていたら俺達が地球から落ちてしまうだろう!」
ライナーが馬鹿にして言ってくれるんだけど、
「何か言った。ライナー」
私が両指の指を鳴らして尋ねると
「いえ、何も言っていません」
慌ててライナーは首を振ってくれた。
「アミ、何しているのよ。あの理科のリップマン先生はテストでそこに丸したら基本的なことが理解していないと判断して、いつも赤点にするのよ」
「えっ、嘘! そんなの今初めて聞いたわよ。だってたった一つだったから、間違えてもいいかって思ったのに!」
私は青くなった。
「あれ一つで80点の配点があるそうよ」
「嘘!」
そんなむちゃくちゃなことをして許されるのか?
私には信じられなかった。
「というか、そんな事があるなら、前もって教えてよ」
私はエーレンに食ってかかった。
「ええええ! あれだけリップマン先生が愚痴愚痴言っていたんだから普通は気付きなさいよ。まさか、リップマン先生にアミが喧嘩売るなんて思ってもいなかったわよ」
いけしゃあしやあとエーレンが言ってくれるんだけど……
「ええええ! エーレンなんとかしてよ。貴方を最優先で治療するようにレオさんに頼んであげたんだから、何か知恵を貸してよ」
「そんなの今頃言われても遅いわよ」
エーレンがお手上げだと手を上げてくれたんだけど……
そんな……
夏休みに補講があるなんて最悪だ。
私はドヨーンとしてしまった。
終業式の皆の挨拶も私はほとんど聞いていなかった。
折角明日から楽しい夏休みが始まると思っていたのに……
その日の午後は早速夏休みの補講の説明会があるというのだ。
あの嫌み男絶対に許さない!
私は心に決めた。
「まあ、アマーリアさん。良いこともありますから」
担任のグーゲル先生が慰めてくれたんだけど、全然慰めになっていなかった。
「アミちゃん。お迎えに来たわよ」
クラスのホームルームが終わると同時にアリーナ夫人が入ってきたんだけど……
「えっ、アリーナおば様?」
私は驚いた。
「授業も終わって後は明日のサマーパーティーだけでしょう。この前、我が家のお茶会に出てもらえなかったから、息子じゃ当てにならないでしょう。だから今日は私がお迎えに来たのよ」
更に後ろにはおば様達10人くらいいるんだけど……
「済みません。おば様。実は今から明日から始まる補講の説明会があって」
「まあ、アミちゃんは赤点を取ってしまったの?」
おば様の声が一オクタープ高くなった。
「すみません。理科で一問間違えてしまって」
「えっ、たった一問で?」
アリーナおば様が驚いてくれた。私は理由を説明すると、
「何ですって! 高々一問マークミスしただけで赤点にするなんてそんな事は私が許しません」
「本当よね」
「絶対にリップマンはおかしいわ」
おば様達が怒ってくれたんだけど……
「良いわ。このような理不尽なことが通るかどうか学園長のところに行きましょう」
「えっ、でも、おば様」
「さあ、さっさと終わらせましょう」
アリーナおば様を先頭に私は取り囲まれてしまって学園長室に連れて行かれたのだ。
「学園長どういう事ですの!」
アリーナおば様を先頭に乗り込むとアリーナおば様が怒濤の如く機関銃のように怒りだしたんだけど……
その場で呼ばれたリップマンは当然逆らうことなせど出来ずに、配点を普通に戻させて再度採点させて、私の赤点はなくなったのだった。
怒り狂った視線でリップマンは私を睨み付けたけれど、
「リップマン先生、よそ見しないで!」
おば様達に怒られて二度とこのような理不尽なことはしないと反省文まで書かされる羽目になったのだ。
エーレンもこれはもうどうしようもないわよとさじを投げたのに、このおば様達はそれをあっさりとひっくり返してくれたのだ。学園長を使って!
私はこのおば様達には絶対に逆らわないようにしようと心に誓ったのだ。
*****************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
次はサマーパーティーです。
お楽しみに
なんか最後はお母様にボコボコにされた魔人が可哀相に思えてきたほどだ。
公王はお母様に復讐するために魔人になったのに怒り狂ったお母様には通用しなかった。
魔王でもお母様は勝ってしまうかもしれない……
私はそのまま気絶してしまったのだが、後でリックに聞いたところでは、帰ってきた騎士団やアリーナおば様達が現れて、お母様を見つけて一騒動になったらしい。
お母様を見つけて攻撃しようとした騎士団とそれにぷっつん切れたおば様達の争いは一瞬でおば様達の勝ちが決まったが、騎士団長はしばらく針の筵だとブツブツ文句を言っていた。
お母様と色々話をしたかったみたいだが、お母様は私の治療が最優先だとあまり話が出来なかったらしい。その後お母様は私が元気になるとアンハームに帰って行って、おば様達を落胆させた。
レオさんは急遽飛んで来た大使達によって帝国に強制送還されていた。
そのレオさんに癒し魔術で治してもらった私は翌日には元気になっていた。
ハウゼン侯爵等の反逆の余波で、学園の終業式が5日間延期された。
そして、今日はその終業式だ。
私は張り出された成績表を見るために、エーレン達と一緒に掲示板に向かった。
一年生120名が一覧で表示されていた。
「凄い、エーレン10位じゃない!」
私は上から10番目に張り出されたエーレンを褒めていた。
「まあ、やるだけやったから」
エーレンは納得顔だ。私と一緒の転生者のエーレンは帝国語は完璧だし、私と違って大学まで行ったエーレンは数学も理科もとても良く出来た。
理科の唯一天動説は頷くのに躊躇したそうだが、そこは主義主張を変えたらしい。
さすがエーレンだ。
しかし、魔術実技等は圧倒的に勝っている私の名前は、中々なかった。
やっと見つけた時は40位だった。
せっかくリックに色々教えてもらっていたのに、40位だったとは……まあ、C組の中では上の方だったけど、私は少しがっかりした。
勉強はしたつもりなのに!
やはり私ごときがしたつもりではこの魔術学園のレベルでは全然という事なのだろう。
その下に赤点取得者が出ていたんだけど、さすがに私は見なかった。
あれだけやったのよ。平均点の半分なんてあり得ないだろうと思っていたわ。
「ゲーーーー!」
その時ゲルトの悲鳴が聞こえた。
「嘘!」
目を見開いて固まっているんだけど……
「どうしたの、ゲルト?」
「私が聞くと、赤点が6つもある」
絶望した声は震えていた。
「ゲルトも夏休みの補習大変ね」
私が他人ごとよろしく言うと
「何言っているんだ! アミも理科が赤点だぞ」
「そんな訳ないわよ」
私は最初は信じなかった。
順位も40位だし、赤点なんてある訳ないと……
「あっ、本当だ」
「アミ、理科勉強しなかったの?」
ビアンカとエッダまで私の名前があると言い出してくれて、
「そんなの冗談でしょ」
そう言ってエッダの指さすところを見るとはっきりとアマーリア・フルフォードと書かれていたんだけど……
「嘘!」
私は唖然とした。
と言うか完全に固まっていた。
英語は完璧だし、数学も歴史とも地理もある程度取れたはずなのに、なんで40位なんだろうと不思議に思ったんだけど、理科が赤点だったからか……でも、理科はほとんど出来たはずなのに!
「アミ、貴方ひょっとしてそれでも地球は回っているとガリレオは言った事が正しいって丸にしたんじゃないでしょうね」
エーレンが言いだしてくれたんだけど、
「だって、それが本当の事でしょ」
私は当然のごとく頷いた。
「ああああ、これだから馬鹿は困るんだよな。地球が太陽の周りを回っていたら俺達が地球から落ちてしまうだろう!」
ライナーが馬鹿にして言ってくれるんだけど、
「何か言った。ライナー」
私が両指の指を鳴らして尋ねると
「いえ、何も言っていません」
慌ててライナーは首を振ってくれた。
「アミ、何しているのよ。あの理科のリップマン先生はテストでそこに丸したら基本的なことが理解していないと判断して、いつも赤点にするのよ」
「えっ、嘘! そんなの今初めて聞いたわよ。だってたった一つだったから、間違えてもいいかって思ったのに!」
私は青くなった。
「あれ一つで80点の配点があるそうよ」
「嘘!」
そんなむちゃくちゃなことをして許されるのか?
私には信じられなかった。
「というか、そんな事があるなら、前もって教えてよ」
私はエーレンに食ってかかった。
「ええええ! あれだけリップマン先生が愚痴愚痴言っていたんだから普通は気付きなさいよ。まさか、リップマン先生にアミが喧嘩売るなんて思ってもいなかったわよ」
いけしゃあしやあとエーレンが言ってくれるんだけど……
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エーレンがお手上げだと手を上げてくれたんだけど……
そんな……
夏休みに補講があるなんて最悪だ。
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私は驚いた。
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更に後ろにはおば様達10人くらいいるんだけど……
「済みません。おば様。実は今から明日から始まる補講の説明会があって」
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「絶対にリップマンはおかしいわ」
おば様達が怒ってくれたんだけど……
「良いわ。このような理不尽なことが通るかどうか学園長のところに行きましょう」
「えっ、でも、おば様」
「さあ、さっさと終わらせましょう」
アリーナおば様を先頭に私は取り囲まれてしまって学園長室に連れて行かれたのだ。
「学園長どういう事ですの!」
アリーナおば様を先頭に乗り込むとアリーナおば様が怒濤の如く機関銃のように怒りだしたんだけど……
その場で呼ばれたリップマンは当然逆らうことなせど出来ずに、配点を普通に戻させて再度採点させて、私の赤点はなくなったのだった。
怒り狂った視線でリップマンは私を睨み付けたけれど、
「リップマン先生、よそ見しないで!」
おば様達に怒られて二度とこのような理不尽なことはしないと反省文まで書かされる羽目になったのだ。
エーレンもこれはもうどうしようもないわよとさじを投げたのに、このおば様達はそれをあっさりとひっくり返してくれたのだ。学園長を使って!
私はこのおば様達には絶対に逆らわないようにしようと心に誓ったのだ。
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ここまで読んで頂いて有り難うございます。
次はサマーパーティーです。
お楽しみに
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