厄災の街 神戸

Ryu-zu

文字の大きさ
76 / 154
第三章 健斗と美咲と新たな出会い

戦争終わりの安堵と成長

しおりを挟む
うおおおおおおおおおおお~

東京まで届きそうなくらい大きな歓声が上がった。

それほどオーガには苦しめられた。

それまで多少の魔物でもなんとかなっていたのに、急に命の危機を感じ、倒せない敵なんじゃないかと疑心暗鬼になりながらも戦い続けてきた。

そして、今やっと、その強大な敵が地面に横たわっているのを見て、安堵の気持ちと倒せた達成感とレベルが大きく上がった事で、幸せな雰囲気ふんいきがその場全体に満ち溢れている。


「おかん、どっかこの辺で女性物の洋服や下着売っとるとこ知らんか?」
『咲空ちゃんの服か?』
「うん、それと、麗里とリトルの服も欲しいかな」
「もう一度、ポーアイのホームセンターに行ってもえぇんやけど」
『そんなら大丸でも行くか?』
「あぁデパートは頭に無かった」

統括者本当にありがとうございました」
健斗いえいえ、困った時はお互い様ですよ」
『そうですよ、お隣のクランなんだしね』
高格闘家生田川って聞きましたが、いつからですか?」
『今朝からですw』

剣術女剣とかありがとうございました」
剣術女空を飛んだり眷属従えてたり凄い大剣振り回したりと、ホント凄いですよね」

統括者それはそうと、あの治癒をしてくれてた女の子は大丈夫なんですか?」

統括者は、ここに健斗と母親が居る事で多分彼女は大丈夫だったのだろうとは思っていたが一応社交辞令も含めて聞いてみた。

高格闘家本当です。あの子が居なかったらもう壊滅の危機でしたから」
高格闘家自分が特にあの子の恩恵を受けているので、ちゃんとお礼がしたいのですが」

健斗おかげさまで命の危機は乗り越えて、もう少しで回復するでしょう」

死に掛けた事で、色々な称号やスキルや耐性を覚えて益々強くなった事も併せて説明した。

『だからと言って、わざと死に掛けるなんて出来ないねー』
剣術女そのまま死んだらお終いですからね~」


統括者あっそうそう、大丸に行くのならお供いたします」
高格闘家実は強奪防止のために、大きなデパートとかの各入り口には交代で警備を配置しているんですよ」
健斗三ノ宮クランは統率が取れてますねー」
『トップの運営してる人達が凄いんやろうな』

自分たちのやってる事を褒められて、統括者は少し嬉しそうな微笑みを見せた。


千里おわったねぇ~」
ハナビあっちの残党もほぼ片付いたよー」
健斗ごくろうさん」
健斗はすぐさま、咲宙はなびをルームに迎え入れた。

雑魚処理が大体終わった千里たちも輪に入ってきた。

健斗麗里もリトルもお疲れ様ー」
小熊達シンドカッタ」「マリョク ナクナリソウ ダタ」
健斗おやっ?いつの間に服を着たんや?」

リトルは短パンを履き、上はベストの様なのを羽織っていた。
麗里は、元々ハワイの民族衣装である、ノースリーブタイプのムームーで、ベルトで腰を絞め上手に着こなしていた。
クランBさすがに丸裸っだったのでw」

人化率25%とは言え、おっぱいもポッチもちゃんとほぼ無毛であるし、お股も同じくほぼ無毛でワレメちゃんが見えていた。

健斗あ~あなた方のパーティーが用意してくれたんですね」
健斗ありがとうございました」

麗里のムームーの下には、提灯ブルマの様なアンダースコートの様な物を履いていた。


『リトルちゃんはずっと回復魔法を掛けながら戦ってくれてたしね』
「「「三ノ宮クラン 本当に助かったよ 」」」

褒められてお礼を言われて凄く恥ずかしそうにリトルはうつむいた。

クランBリトル君、ほんまにありがと~」
リトルオクスリ アリガト」

リトルはこのパーティーメンバーに貴重なMP回復薬を貰っていた。
健斗そんな回復薬ってどうされたんですか?」

健斗が聞くと、そのパーティーのリーダーらしき人が簡潔に答えてくれた。
クランAドロップです」
健斗へぇ~いまだドロップって見た事ないけど、やっぱりあるんですね」
クランAこの子がうちのパーティーに入ってから急にドロップや宝箱が出だしたんです」

その時、横から母が口を挟んできた。
『その子の称号かな?あんたの称号をパワーアップしとるんよ』
健斗だねー 元々君の称号に【幸運の星】ってのを持ってたんだよ」
『その力をこの子が持ってる【恩讐分明おんしゅうぶんめい】って称号が強めてるんやな』

クランA恩讐分明?」
『恩を受けたら恩義で返す、あだを受けたらあだで返すって4字熟語やな』
『その子があんたに何らかしらの恩義を感じとんやろうって事』
その子うちが一人ぽっちになって魔物に殺されそうなところを助けてもろてん」

健斗そう言う事だよ」
『最高の好相性って事やと思うで』

その二人はお互いに目を合わせて微笑み合う。

クランAそれと、宝箱の開け方って知ってますか?」
『知っとうよ?』

そう言って母は大剣を顕現させた。
『これも宝箱から出た奴やで』

そのパーティー全員が顔を見合わせ嬉しそうに微笑んだ。

クランA実は、宝箱が3つもあるんやけど、開け方がわからんで・・・」
『んじゃ~開けに行こか?』
クランAお、お願いしますー』
健斗ついでに鑑定のスキルも覚えれるからな」


健斗統括者さん、自分らは後で追いつくので大丸に行かせてもらえますか?」
統括者いいですよ~ では、先に行ってますね。あっ正面玄関にいますので」
健斗わがまま言ってすみません、すぐに行きます」

健斗と母と一行は宝箱を隠している場所へと移動する。

海岸通りまで降りた2号線沿いの商業ビルや高層マンションが立ち並ぶ一角のビルの最上階に隠したと言う。
まだ今の現状じゃ空を飛べる人も少ないだろうから、上階に隠すのは良い案だと思った。


部屋に入ると、奥の方に机を重ねたバリケードがあり、その向こうの小部屋に布団を被せて宝箱は隠されていた。

「これはLv2緑等級、これはLv3紫等級、そしてこれは当たりかなLv4橙等級だよ」
 「等級ってあるんですね」

「まず、橙等級から開けるね」

「我が意に沿い、その閉じられし封印を解け」
「ウーヴリール」

「「「おおおおおおお~」」」


宝箱の中には、宝珠が3個入っていた。

健斗が鑑定で見ると、風魔法-[竜巻]、忍術Lv4、戦斧、の三つだった。

忍術はそのままのスキルで、いくつかの上級スキルも覚えるらしい。
風魔法は、上級スキルの竜巻を巻き起こすかなり強力なスキルだ。
戦斧は風音の剣斧かざねのけんぷだった。
どんな感じなんだろうか?

そこに居る6人のパーティー員全員に鑑定スキルの覚え方を教えた。
Lv2とLv3の宝箱は自分たちで開けてもらう。

 「あれ?宝箱ってオープンって簡単な言葉で開くんですね?」
「そうだよ、でもそれを知らない人の前では、出来るだけ難しそうな呪文を言った方が良いと思わない?」
 「良く分からないけど、すぐに開けれた方が嬉しいし横取りされる確率減りそうやけど」
『これからはドンドンとクランの人らに教えたったらえぇんちゃうか?』

 「そういや、あんたって鉈と剣のスキル持っとったよなぁ?」
 「うん、多分この剣鉈けんなたでやってるからちゃうかな?」
 「斧は?鉈も斧も同じようなもんやろ?」
 「全然ちゃうわw」

「なぁ良かったらその斧、交換出来ないかな?」
 「・・・」
 「何を対価に?」

「俺が今持っている宝珠は、[空間倉庫]と[鍛冶師]だけやけど、どない?」

 「「「く、空間倉庫ぉ~?」」」
 「そ、それ要らんの?」
「いや、俺はこれがあるから」

「ちょっと怪我人が寝てるから、静かに入ってな」
そう言ってルームのゲートを出して中を見せた。

ルームの中には、まだ目を開けない咲空を、見舞う千里とその眷属たちが座っていた。
冷蔵庫から飲み物を出して皆に配り、一息ついた。

「これは固有異空間で、空間倉庫みたいに大量に物は入らないけど、人が住めるんよ」

 「こ、これはどうされたんですか?」
「これも宝箱から出た宝珠だよ」
 「おおおおお」

 「宝箱、無限の希望が詰まっている・・・」

 「ちょ、ちょっち待ってな~」
みんなが小さく輪になって相談しているようだ。


 「ほなら、あなたが良いのなら空間倉庫と交換で良いです」
『ほんまにえ~の?固有占有武器やで?』

 「おのやし、使う人がおらんのも一因あるねん」
 「それに、うちらやったら~それはまた出るんちゃうんかなって思ってんねん」

 「でも、鑑定と空間収納はぜ~~~~~~ったいに欲しいもんやったし」
 「鑑定がこんなに簡単に手に入るとは思わんかったし、欲しかった空間収納も目の前にあるんやから、これは手に入れろって事やと思うねん」

『まぁそれもこれもあんたが持つ幸運の星って称号の力やと思うで』
「やな、自分の思い通りに事が運ぶのもまた幸運なんやろうしな」

 「ありがと」

「もう一個、頼みがあるんやけど、その風魔法の宝珠、ちょっと貸してもらえんやろうか?」

 「どうするんですか?」
「ちょっとした実験やねんけど、手伝って欲しいねん」
「お礼に、いくつかスキルを伝授するよ」

そう言って、健斗はそこのリーダーを外に連れ出そうとした。

『健斗さん、またセクハラとかせんようにな~』
千里ほんま~えぇ加減にせんとあかんでぇ~」
「おかん、千里、おまえら初対面の子にその冗談は洒落にならんぞ?」
「みてみぃ~凄い警戒しとるやろがぁ」

『あはははははは、冗談やで冗談』

それでも少し怪訝そうな表情で嫌々ながら健斗についていくリーダーだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

処理中です...