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第四章 天使と悪魔
悪魔軍師に謁見
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女子会館を出たリーと佐助は、六甲ライナーに沿って北に上がって行く。
その後方から獣人隠密軍10人がツラツラと尽いて来る。
最後尾にはジャドが一行を見張りながら着いて来る。
瀕死の状態の豹人が一人居るのでなかなか歩みが進まない。
少し苛立ったリーはそのイチと言う呼び名の豹人を個別空間Ⓢに放り込んだ。
中でもう一度、継続治癒魔法の陽炎を掛けて寝かせておく。
生命力が強ければ生きながらえる事も出来るだろう。
個室から外に出たリーは集団の方に顔を向けて強く言った。
「おいっ藤子っ!中に入って介抱してやれ」
ジャドは藤子だけの拘束を解き、リーの個別空間Ⓢに押し込んだ。
(な、なんだろ?この部屋は? ゲートみたいなのをくぐっただけなのに・・・)
「イチさん・・・ 頑張ってね・・・」
藤子は小さい声でそう呟きながら、イチの頭を膝枕し、肩口から股関節まで斬りつけられて大きく開いた傷口を優しくさする。
(ヒュン)
「んっ?あっ?!」
藤子のスキル欄に新しいスキルが現れた。
「ヒ、ヒールッ!」
リーの掛けた継続治癒魔法の陽炎と新スキルであるヒールを掛け続ける。
「イチさん、頑張ってね、私も魔力が尽きるまで頑張る・・・」
ヒール ヒール ヒール ヒール ・・・・・・・・・・・
(ヒュン)(ヒュン)
陽炎やヒールでは悪化しないだけで治癒自体はあまり進まなく、藤子が心底願いを込めて、絶対にイチを助けたいとの強い思いから、スキルが上化していった。
「ヒール! ハイヒールッ!」
「オーバーヒールッ!」
上位の治癒魔法まで覚えた事で、豹人のイチの大傷は閉じていきうっすらと傷跡を残すだけになった。
「やったぁ~♪」
右手で小さくガッツポーズをする藤子。
だが、イチの意識はまだ戻っては来ていない。
傷が治っただけで、大量に失われた血液まではすぐには回復しない。
「ちょっと待ってな、 佐助、ウェイズ、キングにご報告を」
「了解っ!」
中学校の北側に着いた一行は、校舎の中に獣人たちを入れる訳にもいかず、トオルに指示を仰ぐつもりだ。
「ただいま戻りました」
「ただいまです」
『おぅおかえり、これで全員揃ったなっ ん? ってか、リーは?」
「きゃ~黒猫ちゃん?可愛い~」
「ってか、誰じゃ?おまえは~?」
トオルの部屋の奥のアジトにしているインスタンスダンジョンの、だだっ広い前室に入るとメンバー全員が帰還してテーブルや椅子や地べたに座ってカップ麺やお菓子を食べながら談笑をしていた。
佐助の進化後に立ち会った人は少ないため、ダンジョンから出てきているほぼ全員のメンバーが驚いた。
始めましての人も多いので、自己紹介は後に回し、トオルに簡単に詳細を伝える。
「キング、実は斯々然々で外にリーと獣人を待たせてるんです」
佐助は会館であった事を、手短に掻い摘んで簡潔に詳細を話した。
(ん~獣人か、あいつのとこの奴かもな?)
『美凪、五十惟、一緒に行っておまえらの個別空間に収容してきてくれ』
「了解しました、キング」
2階の理科化学室から出て行く五十惟と美凪が、佐助の変貌ぶりに驚いている。
「しっかし、男前になったやんけぇw」
「あははっ、もうエイプの面影も無いけどなw」
「猿はさるやけどなw」
「ウッキ~!」
「あはははははっ」
「その子はやっぱり召喚眷属なんかな?」
「我はスヴァルトアールヴヘイムと言う世界から、主によって召喚されたウェイズと申す」
「おぉ~暁闇の世界やな」
「んじゃうちの眷属も紹介しとく アヴィ~」
「闇と水の王、アヴィアダルじゃ」
骨の王冠をかぶった美形の眷属が現れた。
その五十惟の眷属が現れると、佐助の1番眷属のジャドも影から出て来る。
「闇と水の王よ、久しいのぉ」
「ジャド・ハザール、おまえもこちらに来ていたのか・・・」
「おやっ?ジャドと知り合いなのか?」
「国は違えど、同じヘルヘイムの王だからな」
「その子も佐助の眷属なんか?」
「こいつが最初の眷属なんですよ、元の世界で王だったのは知らなかったけど」
「んじゃうちも紹介しとくか、 イフリートッ!」
「青空美凪の眷属のイフリートじゃ」
「おっ?日本語が上手になっとんなぁ」
「ムスペルヘイムの魔神じゃな?」
「ん~ みんなお互いに知ってるんだね?」
「ははは、おいら以外は有名人ばかりだよ」
お互いの眷属紹介も終わり、外に出るとリー達が黙って暗闇の中に立っていた。
「リー、おかえりっ」
「あぁただいま帰ったよ」
「疲れてそうやなw んじゃさっそく部屋に入ってもらおか」
五十惟と美凪の個別空間に残りの魔獣軍+αを押し込んだ。
--リーの部屋--
リーの個室には藤子と息を吹き返した豹人のイチが入ったままだ。
「ふ、藤子、すまなかった・・・」
「な、なにを謝るの~、私を庇って大怪我したんだから・・・」
「意識だけはずっとあったからな、もう死ぬんだと悟っていたよ」
「でもホント良かった・・・」
また藤子は大粒の涙を溢した。
「ふふっ、おまえは泣き虫だなぁ~」
そう言って、イチは優しく藤子の涙を手でぬぐいさった。
藤子は感情を抑えきれずにイチに抱きつき、また大泣きを始めた。
「グスッ ホ、ホントに助かって良かったぁぁぁぁ」
「おまえの治癒魔法のおかげだよ。
もう死ぬビジョンしか見えなかったのに、おまえの治癒魔法の詠唱を聞いたら急に明るくなった」
「ウッウッウッ・・・」
2人はしばし抱き合い、生還を喜び合った。
--美凪の部屋--
「なんやろ?これも技能なんか~?」
「この女って、今朝のクロコ隊を殲滅しやがった奴だよなぁ」
「多分そうだろな、なんとなく見覚えがある気がする」
「なんか強そうな人やけど、知ってるの?」
「あぁうちの1番隊隊長を務めてたクロコダイルウォーリアを倒した奴なんだ」
「俺は7番隊、アンダルは5番隊の隊長を務めている」
「俺らも殺されるんやろうか・・・」
「わからんが、ボスってのはこの女と一緒に居た奴なのかもな」
「みんな、ごめんなさい・・・ 私らの我儘に付き合ったがために・・・」
「アホォ~ おまえが謝るな」
「そうやっ 悪いのは全部藤子や」
「・・・」
--五十惟の部屋--
「なんやの?ここは?」
「こいつらって、ホントに凄い連中やな・・・」
「あの女って、クロコ倒した奴やろ?」
「俺は見とったけど、あの女だけやなくもう一人の男も強かったぞ」
「・・・ うちら、どないなるんやろう・・・」
「うち、ちょっとトイレ使うわ、リャン覗くなよ?」
(お気楽なやっちゃ・・・ 一番ビビりのくせに)
「ここから出れなかったら、俺がハーレムの王になるんやな~w」
「おまえわぁ~そこから離れんかいっ!」
(こいつも緊張感の欠片も無いなぁ・・・)
個別空間の中では色々な思惑がある中で、美凪、リー、五十惟と佐助がインスタンスダンジョンに戻ってきた。
「キング、ただいま戻りました」
『おぅおかえり、ご苦労さんやったな』
「まずはご報告から」
リーは今日の収穫は無かった事の謝罪と、魔獣軍とのいきさつや自分の勘違いで傷つけた事などをトオルに詳しく報告し、個別空間からその獣人たちを呼び出した。
「私らのボスのトオルさんや、まずは自己紹介と挨拶をしてくれ」
獣人たちは呼び出された空間の異様性を感じ、きょろきょろと周りを見回す。
(なんや?こんなところがこの島にあったのか?)
450㎜x900㎜くらいの大きめの白い大理石のブロックで出来た、天上が異常に高く、床の1辺が10mほどで、畳換算で言えば60畳はあるその部屋の存在に驚く一同。
奥には黒い大きな門が鎮座している。
そして、照明も無いのに凄く明るいその部屋の構造を理解出来ない。
ふと辺りを見回すと、自分達を取り囲むように多くの人間達がこちらを凝視している。
『おれがここのリーダーを務めている櫻庭通と言う者だ』
一際異彩や威圧を放つ男が先に自己紹介をして来た。
その後方から獣人隠密軍10人がツラツラと尽いて来る。
最後尾にはジャドが一行を見張りながら着いて来る。
瀕死の状態の豹人が一人居るのでなかなか歩みが進まない。
少し苛立ったリーはそのイチと言う呼び名の豹人を個別空間Ⓢに放り込んだ。
中でもう一度、継続治癒魔法の陽炎を掛けて寝かせておく。
生命力が強ければ生きながらえる事も出来るだろう。
個室から外に出たリーは集団の方に顔を向けて強く言った。
「おいっ藤子っ!中に入って介抱してやれ」
ジャドは藤子だけの拘束を解き、リーの個別空間Ⓢに押し込んだ。
(な、なんだろ?この部屋は? ゲートみたいなのをくぐっただけなのに・・・)
「イチさん・・・ 頑張ってね・・・」
藤子は小さい声でそう呟きながら、イチの頭を膝枕し、肩口から股関節まで斬りつけられて大きく開いた傷口を優しくさする。
(ヒュン)
「んっ?あっ?!」
藤子のスキル欄に新しいスキルが現れた。
「ヒ、ヒールッ!」
リーの掛けた継続治癒魔法の陽炎と新スキルであるヒールを掛け続ける。
「イチさん、頑張ってね、私も魔力が尽きるまで頑張る・・・」
ヒール ヒール ヒール ヒール ・・・・・・・・・・・
(ヒュン)(ヒュン)
陽炎やヒールでは悪化しないだけで治癒自体はあまり進まなく、藤子が心底願いを込めて、絶対にイチを助けたいとの強い思いから、スキルが上化していった。
「ヒール! ハイヒールッ!」
「オーバーヒールッ!」
上位の治癒魔法まで覚えた事で、豹人のイチの大傷は閉じていきうっすらと傷跡を残すだけになった。
「やったぁ~♪」
右手で小さくガッツポーズをする藤子。
だが、イチの意識はまだ戻っては来ていない。
傷が治っただけで、大量に失われた血液まではすぐには回復しない。
「ちょっと待ってな、 佐助、ウェイズ、キングにご報告を」
「了解っ!」
中学校の北側に着いた一行は、校舎の中に獣人たちを入れる訳にもいかず、トオルに指示を仰ぐつもりだ。
「ただいま戻りました」
「ただいまです」
『おぅおかえり、これで全員揃ったなっ ん? ってか、リーは?」
「きゃ~黒猫ちゃん?可愛い~」
「ってか、誰じゃ?おまえは~?」
トオルの部屋の奥のアジトにしているインスタンスダンジョンの、だだっ広い前室に入るとメンバー全員が帰還してテーブルや椅子や地べたに座ってカップ麺やお菓子を食べながら談笑をしていた。
佐助の進化後に立ち会った人は少ないため、ダンジョンから出てきているほぼ全員のメンバーが驚いた。
始めましての人も多いので、自己紹介は後に回し、トオルに簡単に詳細を伝える。
「キング、実は斯々然々で外にリーと獣人を待たせてるんです」
佐助は会館であった事を、手短に掻い摘んで簡潔に詳細を話した。
(ん~獣人か、あいつのとこの奴かもな?)
『美凪、五十惟、一緒に行っておまえらの個別空間に収容してきてくれ』
「了解しました、キング」
2階の理科化学室から出て行く五十惟と美凪が、佐助の変貌ぶりに驚いている。
「しっかし、男前になったやんけぇw」
「あははっ、もうエイプの面影も無いけどなw」
「猿はさるやけどなw」
「ウッキ~!」
「あはははははっ」
「その子はやっぱり召喚眷属なんかな?」
「我はスヴァルトアールヴヘイムと言う世界から、主によって召喚されたウェイズと申す」
「おぉ~暁闇の世界やな」
「んじゃうちの眷属も紹介しとく アヴィ~」
「闇と水の王、アヴィアダルじゃ」
骨の王冠をかぶった美形の眷属が現れた。
その五十惟の眷属が現れると、佐助の1番眷属のジャドも影から出て来る。
「闇と水の王よ、久しいのぉ」
「ジャド・ハザール、おまえもこちらに来ていたのか・・・」
「おやっ?ジャドと知り合いなのか?」
「国は違えど、同じヘルヘイムの王だからな」
「その子も佐助の眷属なんか?」
「こいつが最初の眷属なんですよ、元の世界で王だったのは知らなかったけど」
「んじゃうちも紹介しとくか、 イフリートッ!」
「青空美凪の眷属のイフリートじゃ」
「おっ?日本語が上手になっとんなぁ」
「ムスペルヘイムの魔神じゃな?」
「ん~ みんなお互いに知ってるんだね?」
「ははは、おいら以外は有名人ばかりだよ」
お互いの眷属紹介も終わり、外に出るとリー達が黙って暗闇の中に立っていた。
「リー、おかえりっ」
「あぁただいま帰ったよ」
「疲れてそうやなw んじゃさっそく部屋に入ってもらおか」
五十惟と美凪の個別空間に残りの魔獣軍+αを押し込んだ。
--リーの部屋--
リーの個室には藤子と息を吹き返した豹人のイチが入ったままだ。
「ふ、藤子、すまなかった・・・」
「な、なにを謝るの~、私を庇って大怪我したんだから・・・」
「意識だけはずっとあったからな、もう死ぬんだと悟っていたよ」
「でもホント良かった・・・」
また藤子は大粒の涙を溢した。
「ふふっ、おまえは泣き虫だなぁ~」
そう言って、イチは優しく藤子の涙を手でぬぐいさった。
藤子は感情を抑えきれずにイチに抱きつき、また大泣きを始めた。
「グスッ ホ、ホントに助かって良かったぁぁぁぁ」
「おまえの治癒魔法のおかげだよ。
もう死ぬビジョンしか見えなかったのに、おまえの治癒魔法の詠唱を聞いたら急に明るくなった」
「ウッウッウッ・・・」
2人はしばし抱き合い、生還を喜び合った。
--美凪の部屋--
「なんやろ?これも技能なんか~?」
「この女って、今朝のクロコ隊を殲滅しやがった奴だよなぁ」
「多分そうだろな、なんとなく見覚えがある気がする」
「なんか強そうな人やけど、知ってるの?」
「あぁうちの1番隊隊長を務めてたクロコダイルウォーリアを倒した奴なんだ」
「俺は7番隊、アンダルは5番隊の隊長を務めている」
「俺らも殺されるんやろうか・・・」
「わからんが、ボスってのはこの女と一緒に居た奴なのかもな」
「みんな、ごめんなさい・・・ 私らの我儘に付き合ったがために・・・」
「アホォ~ おまえが謝るな」
「そうやっ 悪いのは全部藤子や」
「・・・」
--五十惟の部屋--
「なんやの?ここは?」
「こいつらって、ホントに凄い連中やな・・・」
「あの女って、クロコ倒した奴やろ?」
「俺は見とったけど、あの女だけやなくもう一人の男も強かったぞ」
「・・・ うちら、どないなるんやろう・・・」
「うち、ちょっとトイレ使うわ、リャン覗くなよ?」
(お気楽なやっちゃ・・・ 一番ビビりのくせに)
「ここから出れなかったら、俺がハーレムの王になるんやな~w」
「おまえわぁ~そこから離れんかいっ!」
(こいつも緊張感の欠片も無いなぁ・・・)
個別空間の中では色々な思惑がある中で、美凪、リー、五十惟と佐助がインスタンスダンジョンに戻ってきた。
「キング、ただいま戻りました」
『おぅおかえり、ご苦労さんやったな』
「まずはご報告から」
リーは今日の収穫は無かった事の謝罪と、魔獣軍とのいきさつや自分の勘違いで傷つけた事などをトオルに詳しく報告し、個別空間からその獣人たちを呼び出した。
「私らのボスのトオルさんや、まずは自己紹介と挨拶をしてくれ」
獣人たちは呼び出された空間の異様性を感じ、きょろきょろと周りを見回す。
(なんや?こんなところがこの島にあったのか?)
450㎜x900㎜くらいの大きめの白い大理石のブロックで出来た、天上が異常に高く、床の1辺が10mほどで、畳換算で言えば60畳はあるその部屋の存在に驚く一同。
奥には黒い大きな門が鎮座している。
そして、照明も無いのに凄く明るいその部屋の構造を理解出来ない。
ふと辺りを見回すと、自分達を取り囲むように多くの人間達がこちらを凝視している。
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