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1章:駆け出しテイマーの歩み方

2. お父さんからの提案

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「なぁ奈津、気晴らしにゲームをしてみないか?」

 夕食を食べていると突然お父さんがそんな事を言い出した。
 ゲーム? 家は家族三人共あまりゲームをしないから、お父さんからそんな事を言われるとは思いもしなかった。

「ほら、最近よくCMでやってるだろ? プログレス・オンラインって名前の他にはない最新技術でリアルな世界を体験出来るって話しのフルダイブゲーム」
「あー、何かやってるね。ニュースでも何とかが凄いって言ってたフルダイブのネットゲームだっけ?」

 プログレス・オンライン。
 世界最年少で海外の何とかって凄い大学を卒業した天才が1から作り上げたゲームで、その技術がとにかく凄くて他のフルダイブゲームとは世界のリアルさが全く違うってCMとかニュースで話題になってたゲーム。
 確か学校でもやってる人が居て、授業中もその話をしていて怒られてたっけ。

「そうそれ! 会社の同僚が話してたんだけど、そのゲームの中でペットを飼ったり、ペットと一緒に広い世界を冒険出来たりするそうなんだ。レキの代わりにとは思ってないけど、ゲームの中だけでも遊びまわれば楽しい思い出も出来て気が紛れるんじゃないか?」
「いいんじゃない? 何なら私も一緒に遊ぼうかしら。ゲームの中で家族旅行とかも楽しそうかもね♪」

 私はまだやるって言ってないのに両親が先に盛り上がってる。
 
 ――でも、それもいいかもしれない。お父さんもお母さんも私の事を何時も心配してくれていて、何か出来ないかって何時も悩んでくれてる。私がゲームで楽しんでいる姿を見せれば両親も少しは安心するかも。

 何て事を考えるが、学校に行くのが一番安心すると分かっていながら私にはその勇気がまだ出ない。

「でもそのゲームって確か専用の機械が必要で、結構高かったんじゃなかったっけ?」
「心配するな、そのぐらい買える甲斐性はあるぞ。なんたって奈津のお父さんだからな!」
「一先ず奈津の分だけ買ってみたら? で、奈津が気に入ったら私やお父さんの分も買って皆で遊べばいいし」

 そんなこんなでトントン拍子にプログレス・オンラインをやってみる事が決まり、夕食後すぐにお父さんが機材一式とゲームを購入した。
 リアルな体験が出来るゲームの中でペットと一緒に冒険か~。今までは全然興味なかったけど、ちょっと楽しみかも。
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