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3章:それぞれのテイマーの道

70. ショッピング

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「よし、今日はショッピングだ!」
「ワフゥ♪」「パルゥ!」

 ファイさんから20Mを貰った翌日、今日は待ちに待ったショッピングだ。何故こんなにも買い物を楽しみにしていたかというと、それはこれまでの生活で身に着いた金欠病が原因だったりする。
 プログレス・オンラインではモンスターを倒したからといってお金をドロップすることはない。お金を得る為には、冒険者組合が出しているクエストを熟すか、倒したモンスターからのドロップアイテムを売るかする必要がある。……つまり、まだまだ弱い私はお金を稼ぎ辛いのだ。

 最近では各種スキルも上がって猿洞窟でそこそこ稼げるようになってきたが、スキルが上がったことで使えるようになる技能を購入しなければならず、おいそれと無駄使い出来ないのである。
 
「でも今日の私は一味違う! 今まで買えなかった技能書や魔法書を大人買い出来ちゃう。それに新たな高性能装備に手を出すのもありだし、レキやパルに普段なら絶対に買えない高級おやつ買ってあげるのも良いかも♪」

 今日の予定に思いをはせて、出かける準備を整える。今日はみんなでショッピングを楽しみたいので、レキやパルは具現化した状態で一緒にお出かけする予定だ。

「さ、まずは技能屋さんからかな」

 ……

 …………

 ………………

 プログレス・オンラインの技能はスキルを上げていけば勝手に覚えていく物ではなく、技能なら技能書を、魔法なら魔法書を手に入れて使用する事で初めて使えるようになる。勿論規定のスキル値まで上げなければ技能や魔法を覚えていても使うことが出来ない。
 
 そして基本的に技能書や魔法書は、低レベルの物はNPC販売されており、中レベル以上の物はクエスト報酬で手に入ったり特定のモンスターを倒して抽選ドロップで手に入れる必要がある。けれど、実はもう1つお手軽に手に入れる方法があるのだ。

「うわぁ、本当に沢山の技能があるんですね!」
「まぁ、うちはそういう店だからね。プレイヤーから不要な技能書や魔法書を買い取り、必要としているプレイヤーに販売する。嬢ちゃんも必要な物があったら、じゃんじゃん買って行ってくれ」

 そう、お手軽に技能書や魔法書を手に入れる方法。プレイヤー間売買!
 このお店は技能書と魔法書の売買専門店で、大体の物は取り揃えている良店だ。前から知ってはいたのだけれど、スキルレベル的にまだ必要なかったのと、お金も無かったので冷やかしでウィンドウショッピングをする事もしていなかった。
 
 ――けれど今日は違う。なんたって20Mあるからね!

「えっと、必要なのは調教、短剣、白魔法、黒魔法。あと候補としては蹴りと深淵魔法かな」

 店頭に並んでいる商品から私が今育てているスキルの90までに使えるようになる物をどんどん取っていく。蹴りと深淵魔法に関してはギンジさんやロコさんにも意見を聞いて買う事にした。

「えっ、1つ1.8M! あの、この異様に高い技能書って何なんですか?」
「ん? あぁ、そいつはガチャ産の技能書だな。確かそいつは重戦士用の確定パリィ技だったか。ガチャ産で効果がいい物はとんでもなく高価になるんだ。だからもしガチャ産に手を出すんなら、事前にどんな物かしっかり調べてから買いな」

 20Mを手に入れて有頂天気分だったが、課金アイテムの前では簡単に溶ける程度の額でしかないのかもしれない。……たしかロコさんも装備や魔法なんかに凄い額掛けてると言っていた気がする。
 色々目移りしてしまうガチャ産の技能であったが、気軽に手を出せる物でもないと踏ん切りをつけて一般の技能書と魔法書のみを購入する事にした。……全部で2.8Mだった。

 ……

 …………

 ………………

「はぁ、1回の買い物で2.8Mも使ったのは初めてだよ。……凄い緊張した」
「パルゥ」
「ふふ、ありがとうパル。……よし、ちょっと疲れちゃったし、この後はちょっとお高いカフェに行っちゃおうか♪ 確か小型ペット入店可の高級カフェがあったはず」
「ワフッ♪」

 どっと疲れた顔をした私を、ペロっと舐めて気遣ってくれたパルの可愛さに疲れなんかポーンっと吹っ飛び「今日は思いっきり散財しよう」と一気に吹っ切れてしまった。
 
 その後はおしゃれで高級チックなカフェに緊張しながら入り、もうお金の事は気にしないぞとばかりに美味しそうな物を色々頼んで楽しい時間を過ごした。ちなみに会計で請求された金額は……いや、うん、金額の事はもう忘れよう。
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