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第一話
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今から20年前──。
俺、佐藤栄治がちょうど24歳だったころだろうか。
日本に丁度7つの巨大地下構造物、所謂ダンジョンが出現した。
そのうちの一つが、俺が住む東京市にも出現した。
バブルの崩壊による経済成長のストップから始まったであると言われているGDPの低下に直面していた我が国日本では、その状況の打開のためにダンジョンに活路を見出した。
ダンジョンには様々な危険な意思なき化物である魔物が跋扈しており、同時に膨大な未知の魔力資源が埋蔵されていた。
未知の魔力資源とは、まあ、魔石なるものだ。
それは熱エネルギーや電気エネルギーに簡単に変換することができ、今まで主要エネルギーである石油や天然ガスを遥かに超えるエネルギー効率を誇るのだ。
とまあ、そんな便利資源である魔力結晶を求め、国のお偉いさんたちは検討に検討を重ねた結果、ダンジョンに活路を見出したという訳だ。
▽▲▽▲
《最近、A級の魔石が3億円で落札されたらしい》
《マジで!?》
《ダンジョンが初めて出現した時から随分と伸びたな》
《俺はあの時何をやっていたのだろうか……》
流れるコメント欄。
様々な公開のコメントがあるコメントを皮切りに流れる。
「まー、そうだよね。最近の魔力結晶は金と同じ価値って言っても過言じゃないくらい伸びてるもんな」
やや枯れた男らしい声がダンジョンの閉鎖環境に響いた。
「全く、俺はあの時何をしてたんだかってのはホントにそうだよな……ビットコインもそうだけど、初期の数千倍の価格になってるんだからなあ」
ダンジョンが出現した頃の魔石の価格はC級、小指ほどの大きさで約100円だった。しかし、今じゃその百倍である一万円だ。
その尋常じゃない価値の上昇にドン引きしてしまう。
あの頃から魔石に目をつけて収集していれば今頃とんでもない億万長者になっていたというのだから全く後悔せざるを得ない。
「俺はあの時のんびりのほほんと学生生活を送っていたわけか。はあ、あの時ダンジョンに潜って居たらなあ……」
マイクに向かって愚痴りつつ、溜息を吐く。
まあ、こんな事を言ったところで何も変わらないのは分かっているのだがそれはそれだ。
人間、誰もがそう簡単に割り切りがつくわけではないのだ。
あの時あれしていれば、などなど止めどなく脳裏を過るのが人間の性なのである。
それも、やりさえすれば簡単に出来ていた事なら尚更そうである。
20年前、ダンジョンが初めて出現したことで冒険者なる職業が生まれた。
危険な魔物が跋扈するダンジョンの探索を生業とする職業なわけで当然、危険が付きまとう。というか危険が付きまとうとかいうレベルではなく、普通に気を抜くと死ぬというのが正確な表現であろうか。
とまあそんな危険な仕事であるダンジョン冒険者なのだが、当時の人々は死が付きまとうという点を恐れてなかなかその職に就かなかったのである。
まあ、あれだな。ネット黎明期に動画配信をやっていた人は今、いい目を見ているって感じのやつだな。普通の人間はそんな事をやっている時間などないし、そんな物を職業とするなど信じられないというのが一般的な見解だった。
しかし、今となっては黎明期からコツコツと頑張っていた動画配信者は視聴者を獲得し、簡単に億単位で稼げるようになったのである。
「あ、魔物だ」
そんな愚かしい考えを脳裏に過らせつつ【魔力探知】をしていたところ、感知網に魔物が引っかかるのを検知した。
《今の階層を考えるとレッサードラゴンかそこいらか?》
《そろそろ返り血で服真っ赤になってそう》
《主ガチでバーサーカーになっててw》
「バーサーカーとは失礼な。これでも俺は一般人ですとも」
失礼なコメントに思わずムッとしてしまったものの、直ぐに切り替え大ぶりの巨斧を召喚し、構える。
「えー、はい。今からあの魔物をやります。」
《映ってない》
《まったく見えん》
「あ、今映す」
額に括り付けたカメラを微調整し目の前を闊歩するレッサ―ドラゴン?いや、普通のドラゴンを移す。
《あれドラゴンやんけ》
《勝てんのか?》
《負けたな風呂食ってくる》
《引き返した方がよくね?》
「んー、いや、たぶん行ける」
見た感じあのドラゴンはそこまで強くない。
あの魔物から漂う魔力の揺らぎや、気配。様々な要素を吟味し、行けると判断した。
「幻影魔法【思考加速】発動」
《お、きた》
《いつもの全く見えないやつや》
なぜかは知らないが配信を始めた頃に比べて小さくなったお手手で斧の柄を握り、地面を蹴った。
────────────────────
あと一話だけでも宜しいのでご拝読になられると大変嬉しい
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俺、佐藤栄治がちょうど24歳だったころだろうか。
日本に丁度7つの巨大地下構造物、所謂ダンジョンが出現した。
そのうちの一つが、俺が住む東京市にも出現した。
バブルの崩壊による経済成長のストップから始まったであると言われているGDPの低下に直面していた我が国日本では、その状況の打開のためにダンジョンに活路を見出した。
ダンジョンには様々な危険な意思なき化物である魔物が跋扈しており、同時に膨大な未知の魔力資源が埋蔵されていた。
未知の魔力資源とは、まあ、魔石なるものだ。
それは熱エネルギーや電気エネルギーに簡単に変換することができ、今まで主要エネルギーである石油や天然ガスを遥かに超えるエネルギー効率を誇るのだ。
とまあ、そんな便利資源である魔力結晶を求め、国のお偉いさんたちは検討に検討を重ねた結果、ダンジョンに活路を見出したという訳だ。
▽▲▽▲
《最近、A級の魔石が3億円で落札されたらしい》
《マジで!?》
《ダンジョンが初めて出現した時から随分と伸びたな》
《俺はあの時何をやっていたのだろうか……》
流れるコメント欄。
様々な公開のコメントがあるコメントを皮切りに流れる。
「まー、そうだよね。最近の魔力結晶は金と同じ価値って言っても過言じゃないくらい伸びてるもんな」
やや枯れた男らしい声がダンジョンの閉鎖環境に響いた。
「全く、俺はあの時何をしてたんだかってのはホントにそうだよな……ビットコインもそうだけど、初期の数千倍の価格になってるんだからなあ」
ダンジョンが出現した頃の魔石の価格はC級、小指ほどの大きさで約100円だった。しかし、今じゃその百倍である一万円だ。
その尋常じゃない価値の上昇にドン引きしてしまう。
あの頃から魔石に目をつけて収集していれば今頃とんでもない億万長者になっていたというのだから全く後悔せざるを得ない。
「俺はあの時のんびりのほほんと学生生活を送っていたわけか。はあ、あの時ダンジョンに潜って居たらなあ……」
マイクに向かって愚痴りつつ、溜息を吐く。
まあ、こんな事を言ったところで何も変わらないのは分かっているのだがそれはそれだ。
人間、誰もがそう簡単に割り切りがつくわけではないのだ。
あの時あれしていれば、などなど止めどなく脳裏を過るのが人間の性なのである。
それも、やりさえすれば簡単に出来ていた事なら尚更そうである。
20年前、ダンジョンが初めて出現したことで冒険者なる職業が生まれた。
危険な魔物が跋扈するダンジョンの探索を生業とする職業なわけで当然、危険が付きまとう。というか危険が付きまとうとかいうレベルではなく、普通に気を抜くと死ぬというのが正確な表現であろうか。
とまあそんな危険な仕事であるダンジョン冒険者なのだが、当時の人々は死が付きまとうという点を恐れてなかなかその職に就かなかったのである。
まあ、あれだな。ネット黎明期に動画配信をやっていた人は今、いい目を見ているって感じのやつだな。普通の人間はそんな事をやっている時間などないし、そんな物を職業とするなど信じられないというのが一般的な見解だった。
しかし、今となっては黎明期からコツコツと頑張っていた動画配信者は視聴者を獲得し、簡単に億単位で稼げるようになったのである。
「あ、魔物だ」
そんな愚かしい考えを脳裏に過らせつつ【魔力探知】をしていたところ、感知網に魔物が引っかかるのを検知した。
《今の階層を考えるとレッサードラゴンかそこいらか?》
《そろそろ返り血で服真っ赤になってそう》
《主ガチでバーサーカーになっててw》
「バーサーカーとは失礼な。これでも俺は一般人ですとも」
失礼なコメントに思わずムッとしてしまったものの、直ぐに切り替え大ぶりの巨斧を召喚し、構える。
「えー、はい。今からあの魔物をやります。」
《映ってない》
《まったく見えん》
「あ、今映す」
額に括り付けたカメラを微調整し目の前を闊歩するレッサ―ドラゴン?いや、普通のドラゴンを移す。
《あれドラゴンやんけ》
《勝てんのか?》
《負けたな風呂食ってくる》
《引き返した方がよくね?》
「んー、いや、たぶん行ける」
見た感じあのドラゴンはそこまで強くない。
あの魔物から漂う魔力の揺らぎや、気配。様々な要素を吟味し、行けると判断した。
「幻影魔法【思考加速】発動」
《お、きた》
《いつもの全く見えないやつや》
なぜかは知らないが配信を始めた頃に比べて小さくなったお手手で斧の柄を握り、地面を蹴った。
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