無能と呼ばれた魔術師の成り上がり!!

春夏秋冬 暦

文字の大きさ
5 / 62
プロローグ

訓練で才能が発動!?

しおりを挟む
朝になり目を覚ますと、そこには知らない天井があった。

「知らない天井だ……いや、そういえば昨日俺たちは異世界に来たんだったな。寝ぼけてて間違えたな」

コンコンッとドアをノックする音がした。はーいと返信をすると、失礼しますと言いながらメリィが入って来たようだった。

「おはようございます、サトウさん。朝ごはんの準備が出来たので持ってきたのですが……お召し上がりますか」

「あ、ああ。いただくよ」

「かしこまりました。今すぐ持ってきます」

そう言いメリィは部屋の外へ向かった。
しかし、メリィはすごいな。あの猫耳が本物だとすると、ヒューマンの中に一人獣族で仕事してるんだよな。俺なら確実に無理だな。
少し時間が経ってメリィが朝ごはんを持ってきた。そこにあったのは、日本の食卓に出てきそうな洋風の朝ごはんだった。

「少し遅くなってしまい申し訳ありません」

「いや、全然大丈夫だよ。それじゃあ、早速いただくとするよ。いただきます」

そうして俺は朝ごはんを無事に食べ終えてしまい次の予定を聞くことにした。
「なぁメリィ。この予定とか分かるか」

「はい。分かりますけど……」

「えっと、じゃあ。お、教えてくれないかな」

少し話す時に詰まってしまったのは、まあしょうがないと思いたい。

「そうですね。このあとは昨日伝えてあるように訓練所での皆さんの戦闘訓練だそうですよ」

「そうか、ありがとう」

ということで、俺はその訓練所までメリィに案内してもらった。

訓練所に着くと、クラスメイトたちはすでにほとんど集まっていた。賢一のところまでいき昨日のことを伝えた。

「そうか。それは災難だったな」

「災難か……それだけで済めばいいのだかな」

「なんだよ、まだ何かあると思ってるのか」

「ま、まあな。だが、あまり気にしなくてもいいはずだ。多分だが、お前たちが使えるレベルになってからじゃないと俺を追い出すことができないからな」

「そうなのか?」

「ああ。といっても勘に近いがな」

「そっか……」

二人で話し込んでいると、いつの間にか全員が揃ったようだった。
そして、全員が揃うと同時になんか騎士の格好をした人たちが入ってきた。

「俺の名前は、リアル=ジークスだ。この国の騎士団団長をしている。ランクはAで、職業は騎士だ。これから、お前たちの訓練を仕切っていこうと思っている。よろしくな」

騎士団団長と名乗った人物は、すぐに指示を出した。

「まずは、模擬戦をうちの騎士団のやつらとやってくれ。俺の相手はそこのお前でいいな」

俺を人差し指で指しながら言った。

「え、ええええええええ!」

ほんとに驚くことしかできなかった。


 
「それではみんな武器は持ったかい。それじゃあ、はじめ!」

団長のかけとともに訓練が始まった。
ちなみに俺は魔術師だけど剣を使っている。なぜなら、初めて剣を見た時から使いやすいと思ってしまったからだ。それがなぜなのかは、俺には分かることができなかった。
訓練が始まり、団長が剣で切りかかってきた。すごく速い攻撃だったが、避けることだけを考えて避け続けた。

「!よくこの攻撃を初見で避けたね。けど、それがいつまで続くかな」

団長の言った通りだったのだ。今までのはすべて偶然避けただけだった。そして、攻撃に追いつかなくなり、もう、ダメだ……と思った瞬間に頭の中に声が響いた。

《適応レベルMAXが剣術レベルMAXに変化します》

その言葉が鳴り響いた瞬間、体が自分のものじゃないと錯覚するくらいに剣が体に馴染み、また、さっきとは桁違いな動きとなった。

あ、あれ。なんかさっきまでと体が違う。剣の使い方が分かる。相手の剣のいなし方も反撃の仕方も全部、全部わかる!

「な、なんだ。さっきまでと動きが違うぞ。こいつ本当に王様が言っていたFランクなのか。そんなやつに負ける訳にはいかないんだ!」

そこからは団長までもが本気を出してきた。そこからの試合は一方的だった。
さすがにいくら才能がレベルMAXあろうとも、ランクの差をひっくり返すことはできずに負けた。だけど、その時の俺は自分が《無能の魔術師》だったとしても才能だけは本物の力なんだと可能性を感じていた。

「Fランクだからといって油断した。君は弱いが強いのだな」

「そんなことないですよ。ただ運がよかっただけですよ」

今の試合は確かに才能という不確定要素があってこそ成り立った試合なのだから、相手がなんて言おうと俺は、のだと実感した。

その後、賢一と集まって話していると、クラスメイトの一人である露切真白つゆぎりましろさんが話しかけてきた。

「あの、佐藤くん。さっき見てたけど凄いね!団長さんとあそこまで戦えるなんて!」

「い、いや。そんなことないよ。たまたまだよ。たまたま」

いや、別に相手が可愛いからドもったとかないから。ほんとだから。オレウソツカナイ。

露切真白さん、この人はこのクラスの中のマスコットキャラクター的な存在である。なぜなら、人がつい愛しんでしまうような可愛さがあるからである。
そして、天然フラグ建築士として有名で、勘違いしてしまった男どもは数知れない。俺も一年の頃は勘違いしていたが、それは違うことに気づいたからだ。
だって、俺と話す時顔を赤くして目を合わせてくれないんだよなー。なんか嫌われるようなことしたっけなー。

「その、だから。か、かっこよかったよ

と今にも消え入りそうな声で言った。ふぅー、大丈夫、大丈夫。俺は、冷静だ、超冷静だ。

「あ、ありがとう」

はい、どこが冷静だったかなー。超キョドりまくりですね。

「そ、それだけだから!じゃ、じゃあね」

「お、おう。じゃあな」

え、なに。この急なラブコメ展開。マジか、俺にもついに春が!なんてことはないはずだ。きっと……だよね?


    
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。 絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。 辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。 一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」 これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...