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第六章
「亡霊たちの夜」
場所:オクラホマ準州・廃坑跡に近い谷間の集落跡
夜風に揺れる松明の火が、瓦礫に影を落とす。
それは、かつて金を求めて人が集まり、そして消えていった――廃坑の村。
今、その廃墟にひとりの少年が足を踏み入れていた。
柔らかな金髪に、薄汚れたブーツ。
その背には、見慣れぬ構造のウィンチェスター・ライフル。
彼の名は――“ビリー”
いや、そう名乗っていた。
「ビリー・ザ・キッドの遺志を継ぐ者」として。
火を囲んだのは、ゼックとジェーン、そして老いたビル。
三人はついに“同じ地図の断片”を手に集い、口を閉ざしていた。
「……おい、若造」
ゼックがライフルの銃口を逸らすように手を伸ばすと、
少年――ビリーは微笑んだ。
「撃てばいい。けど、俺が持ってるのはその地図の“最後の欠片”だ。
燃やされた分の写しをな」
そう言って少年は、革製のポーチから古びた巻物を取り出した。
地図の中央には、はっきりと記されていた。
“バーニング・ポイント”
“第3支線 地下5尺、鉱脈あり”
「それが真実なら……なぜ、お前はそれを持って逃げてた」
ビルが問うと、ビリーは答えた。
「俺は“証人”なんだ。
ジェシー・ジェームズが殺された本当の理由も、
あんたたちが撃たれそうになった理由も、全部……“記録された”」
ジェーンが眉をひそめた。
「記録?」
「……“殺された歴史”を語るのは、いつだって“記録を喰らった者”さ。
俺たちが生き残るには、それを書き換えるしかない」
その言葉は、まるで預言のように聞こえた。
その夜、彼らは地図を囲み、互いの過去を語り、決意を分け合った。
ゼックは、ジェシー・ジェームズを“売った”過去と向き合い、
ビルは、再び銃を抜くことを赦した。
ジェーンは、兄の死に意味を見出し、
こう告げた。
「……私、撃つよ。“守るために”撃つ。
兄はそうして死んだ。私は、その続きをやる」
その直後――
銃声が響いた。
誰かが、谷の上から見下ろしていた。
「見つけたぞ、“反逆者ども”」
鉄道会社が雇った傭兵部隊、“ブラックレール”の小隊だった。
火の粉が弾け、弾丸が岩を砕く。
ゼックは即座に反撃体勢を取り、ビルは廃坑の裏手に誘導する。
「こっちだ、谷に抜け道がある!」
ジェーンとビリーを守るように、三人は夜の山を駆け抜けた。
廃坑の空洞が、銃声と叫びを飲み込む中――
西風だけが、静かに吹いていた。
追撃の中、ビリーは一瞬だけ立ち止まり、空を見上げた。
「……“彼”がここにいたなら……どうしたかな。
ジェシー・ジェームズ……あんたが望んだ西部って、こんなだったか?」
そして、彼は再び走り出す。
過去の亡霊を引き連れながら。
夜風に揺れる松明の火が、瓦礫に影を落とす。
それは、かつて金を求めて人が集まり、そして消えていった――廃坑の村。
今、その廃墟にひとりの少年が足を踏み入れていた。
柔らかな金髪に、薄汚れたブーツ。
その背には、見慣れぬ構造のウィンチェスター・ライフル。
彼の名は――“ビリー”
いや、そう名乗っていた。
「ビリー・ザ・キッドの遺志を継ぐ者」として。
火を囲んだのは、ゼックとジェーン、そして老いたビル。
三人はついに“同じ地図の断片”を手に集い、口を閉ざしていた。
「……おい、若造」
ゼックがライフルの銃口を逸らすように手を伸ばすと、
少年――ビリーは微笑んだ。
「撃てばいい。けど、俺が持ってるのはその地図の“最後の欠片”だ。
燃やされた分の写しをな」
そう言って少年は、革製のポーチから古びた巻物を取り出した。
地図の中央には、はっきりと記されていた。
“バーニング・ポイント”
“第3支線 地下5尺、鉱脈あり”
「それが真実なら……なぜ、お前はそれを持って逃げてた」
ビルが問うと、ビリーは答えた。
「俺は“証人”なんだ。
ジェシー・ジェームズが殺された本当の理由も、
あんたたちが撃たれそうになった理由も、全部……“記録された”」
ジェーンが眉をひそめた。
「記録?」
「……“殺された歴史”を語るのは、いつだって“記録を喰らった者”さ。
俺たちが生き残るには、それを書き換えるしかない」
その言葉は、まるで預言のように聞こえた。
その夜、彼らは地図を囲み、互いの過去を語り、決意を分け合った。
ゼックは、ジェシー・ジェームズを“売った”過去と向き合い、
ビルは、再び銃を抜くことを赦した。
ジェーンは、兄の死に意味を見出し、
こう告げた。
「……私、撃つよ。“守るために”撃つ。
兄はそうして死んだ。私は、その続きをやる」
その直後――
銃声が響いた。
誰かが、谷の上から見下ろしていた。
「見つけたぞ、“反逆者ども”」
鉄道会社が雇った傭兵部隊、“ブラックレール”の小隊だった。
火の粉が弾け、弾丸が岩を砕く。
ゼックは即座に反撃体勢を取り、ビルは廃坑の裏手に誘導する。
「こっちだ、谷に抜け道がある!」
ジェーンとビリーを守るように、三人は夜の山を駆け抜けた。
廃坑の空洞が、銃声と叫びを飲み込む中――
西風だけが、静かに吹いていた。
追撃の中、ビリーは一瞬だけ立ち止まり、空を見上げた。
「……“彼”がここにいたなら……どうしたかな。
ジェシー・ジェームズ……あんたが望んだ西部って、こんなだったか?」
そして、彼は再び走り出す。
過去の亡霊を引き連れながら。
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