「ビットコイン無双」前世で一山当てたのに、使う前に転生しちまった俺は異世界で金を使いまくる

leviathan

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第二章:火鋼脈を求めて

現状把握

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風が、村の小道を吹き抜ける。
村の治療院の前、木製のベンチに並んで座る二人の姿があった。



アメリア被雇用者と、ジョー雇用主

静かな朝の中、互いの言葉を待つように、しばし無言の時間が流れる。

「……お前」

先に口を開いたのはアメリアだった。
騎士然とした凛々しさに、どこか探るような視線を乗せて。

「何だよ、改まって」

「お前は……あの時、何をした?……あれは一体、何なんだ?…魔法?だったのか?」

ジョーは口を閉じ、曇った空を仰ぐ。

「……正直な話、俺もよく分かってねぇ」

「……?」

「というか……前置きが必要かも」

ジョーは頭を掻きながら、ぽつりぽつりと前世からの現在までの経緯を語って聞かせた。

「……刺されて、死んで?」

「ああ。次に目が覚めたら、森の中だった。腹も減ってたし、喉もカラカラで……最初は何がなんだか分からなかったよ」

「……」

「それで、森を彷徨ってるうちに“祠”を見つけて。中に入ったら、いたんだよ。幽霊が」

「幽霊……」

「自分では“賢者”だとか、“知の化身”だとか名乗ってたけどな。そいつと契約を結ばされた。というか、気付いたら取り憑かれてた」

ジョーは肩をすくめる。

「で、あの時にアドバイスを貰って、を、俺とアメリアで結んだって事みたい」

「…なんなのだ一体……前の世界?刺されて死んだ?信じられん…」

「でも嘘は言ってないぞ?」

アメリアは額に手を置きつつ、自身に言い聞かせるように次の言葉を紡ぐ。

「…とりあえず、わかった…では、その契約魔法の事を"亡霊"に教えて貰えないのか?」

「バール、説明出来る?」

「説明も何も、この前言うた通りなんじゃが…まあよいわ」

俺はアメリアとの契約魔法の内容をバールから聞き、アメリアに伝えた。

?…つまり私はお前に雇われたのか?」

「そうなるみたいだな」

「はぁ…訳が解らないな…ちなみに、すてーたす、というのは今も見えるのか?」

「ああ、見えるぞ」



《アメリア・グレイスハルト(被雇用者)》
《年齢:30歳/レベル:3(仮)》
《称号:雷の戦女神ヴァルクレス
《成長限界:S(仮)》
《職業:騎士長、地方監督官》
《体力:229/229(仮)/魔力:183/183(仮)/精神:202/202(仮)》
《技能:裂空葬剣(仮)/号令/逆境陣形/雷風刃装(仮)》
《適性:剣術SS(仮)/指揮A+/戦術A/行政管理C+》
《魔法適性:風S+(仮)/雷S(仮)》
《現在状態:健康》



「おっ!アメリア!レベルが上がってるし、カッコ良い称号が付いてるぞ!…ていうかやたらと仮ばっかだな」

アメリアの眉がぴくりと動く。

「れべる…称号…。仮とは何だ?」

突然、ジョーの脳内に老獪な声が響く。

「なに、アメリアの称号とステータスが“仮”なのは当然じゃ。
あれは神貨ビットコインを使った一時的な強化、いわばよ。
その力を真に自分のものとするには、鍛錬を積み、魂を磨き続けねばならん。でなければ、時が経てば消え失せる。そうなれば投資失敗!損切りじゃわい。ガッハッハッ!」

ジョーは、脳内に響いたバールの言葉を咀嚼し、アメリアに伝えた。

「つまり……あの力はってことらしい。俺が注いだ神貨BTCで、一時的に強化されたステータスであって、アメリア自身が鍛錬を続けなきゃ、いずれ元に戻るってさ。借り物の力ってわけだ」

アメリアは小さく息を吐き、真剣な眼差しで頷いた。

「それと、バールの話ではである俺にも、お前の能力の一部が還元されてるらしい」

「……つまり、使えない主と、使い捨てられる部下ってことだな」

「言い方!」

アメリアがふっと笑った。

「まあ、時間もないしな。信じる信じないじゃない。行動あるのみだな」

「……時間がないって?」

「魔獣が人里近くに現れるなんて、そうそうある話じゃない。
つまり、原因がある。
魔力の漏出、結界の崩壊、何かが、事態の調査が必要だ」

「なるほど……」

「という訳で、村で何の役にも立たないお前に、仕事をやる」

「えー、俺には畑が待ってるんだけどなあ」

「お前以外に祠の道を知ってて、かつ暇を持て余してる人間はいない。
よって、決定」

「裁判もなしで有罪!?くそぉ……」

ジョーは頭を抱えた。
だが、同時に瞳の奥に、小さな使命感が灯っていた。
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