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第1章――2 【 吸血鬼の誘惑/吸血鬼の甘~い誘惑 】
第10・5話 年頃娘は二人を知りたい
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カルラを交えた朝食は、和気藹々とした空気の中で行われていた。
「ねぇねぇ! 私ずっと気になってたんだけど、二人っていつから一緒に旅をしてるの⁉」
「もぐもぐ……えっと、昨日からだよ」
「えええええ⁉ 昨日から⁉ ……え、ってことは二人は知り合ったばかりなの?」
「うん」
「マジか~」
ちなみにリリスは朝食に夢中で、カルラの怒涛の質問攻めは殆ど僕が受けていた。
「私はてっきり何年も一緒に旅をしてきた仲なのかと」
「えぇ。僕とリリスってそんなに仲良さそうに見える?」
「そりゃもうお互いに全幅の信頼を寄せあってる感がするわ!」
「そこまで断言されると、ちょっと照れるちゃうな」
ぽりぽりと頬を掻く僕に、カルラは羨望を含めた視線を向けてきて、
「互い出会ったばかりなのに意気投合して一緒に旅をするとか、ちょっと憧れちゃうなぁ」
「意気投合してパートナーになったかは怪しいけど、リリスのおかげでこの世界で迷子にならなくて済んでるから、それは素直に感謝してるかな」
「迷子?」
「あぁ! なんでもない!」
僕の言葉に気掛かりな部分を覚えたのか小首を傾げるカルラ。僕は慌てて誤魔化す。
僕が異世界から来たことはリリス以外に知られない方が得策だ。今朝、そう判断したばかりなのに、うっかり自分で口を滑らせそうになってしまった。
カルラはぎこちない笑みを浮かべる僕を不思議そうに見つめたあと、そう、と呟いてそれ以上の言及は抑えてくれた。
「……なんだか二人にも複雑な事情がありそうだし、これ以上は突っ込まないでおくわ」
「あはは。助かるよ」
「誰にだって知られたくないことの1つは2つあるもの。でも、いつか私にこっそり教えてくれると嬉しいな。その時はお肉奮発してあげる」
「本当⁉ よし、センリ。貴方の秘密をカルラに打ち明けなさい!」
「酷いよリリス⁉」
それまで碌に話に参加しなかったリリスがカルラの『肉を奮発する』という発言に
目の色を変えて飛びついた。
僕の秘密よりも肉の方が重要らしく、なんだか裏切られた感覚にガックリと肩を落とした。
「はぐはぐ……べつに隠すようなことでもないでしょう」
「それは、そうだけど。でも、念の為だよ」
「貴方の故郷が露呈したところで、そこに行ける手段がないなら知っても意味ないでしょ。それに、むしろ明かした方が故郷に帰れる可能性が広がるかもしれなのよ?」
「リリスの言ってることは正論だよ。でも、今はまだ、キミ以外の誰かに教える気にはならない」
「……ふーん」
サンドイッチを頬張りながらどうでもいいような返事を返すリリス。それからリリスは口の中に入ってるものを咀嚼して飲み込むと、「ま、」と継いで、
「私はどっちでもいいわ。センリが故郷に今すぐ帰りたいならその方法を模索するし、私と一緒にいることを優先したいならとことん一緒にいるわ」
「ふふ。なら、僕の答えは決まってるよ」
「…………」
即答されるとは思ってなかったのか、リリスが面食らったように目を見開く。
そんな彼女に、僕は今、自分が何をしたのか、それを告げた。
「僕はリリスと一緒にいたい。キミとこの世界の色々な所を巡って、色んな思い出を共有したい。それが今、僕がしたいことだよ」
「――――」
こんなにも胸躍る場所で、こんなにも胸を高鳴らせてくれる人がすぐ傍にいる。始まりは歪であれど、僕がリリスと一緒にいたい気持ちに嘘偽りはない。
その感情が何なのか。答えはもう出ているけれど、でも今はまだ伝えず、この胸にそっと仕舞い込んでおく。
僕の想いを真正面から聞いたリリスは、しばらく呆けたまま、やがてぷいっとそっぽを向いてしまった。ただ、ぽつりと、彼女が何かを呟いたのはしっかりと聞き取れた。
「……あっそ。なら、とことん付き合ってる」
僕からは見えない。リリスの表情。けれど、僕たちの向かいに座る少女には吸血鬼の横顔がしっかりと見えて。
「くぅぅぅ! 甘酸っぺぇぇぇぇぇ!」
と、抑えきれない感情を爆発させるようにテーブルを叩くのだった。
「ねぇねぇ! 私ずっと気になってたんだけど、二人っていつから一緒に旅をしてるの⁉」
「もぐもぐ……えっと、昨日からだよ」
「えええええ⁉ 昨日から⁉ ……え、ってことは二人は知り合ったばかりなの?」
「うん」
「マジか~」
ちなみにリリスは朝食に夢中で、カルラの怒涛の質問攻めは殆ど僕が受けていた。
「私はてっきり何年も一緒に旅をしてきた仲なのかと」
「えぇ。僕とリリスってそんなに仲良さそうに見える?」
「そりゃもうお互いに全幅の信頼を寄せあってる感がするわ!」
「そこまで断言されると、ちょっと照れるちゃうな」
ぽりぽりと頬を掻く僕に、カルラは羨望を含めた視線を向けてきて、
「互い出会ったばかりなのに意気投合して一緒に旅をするとか、ちょっと憧れちゃうなぁ」
「意気投合してパートナーになったかは怪しいけど、リリスのおかげでこの世界で迷子にならなくて済んでるから、それは素直に感謝してるかな」
「迷子?」
「あぁ! なんでもない!」
僕の言葉に気掛かりな部分を覚えたのか小首を傾げるカルラ。僕は慌てて誤魔化す。
僕が異世界から来たことはリリス以外に知られない方が得策だ。今朝、そう判断したばかりなのに、うっかり自分で口を滑らせそうになってしまった。
カルラはぎこちない笑みを浮かべる僕を不思議そうに見つめたあと、そう、と呟いてそれ以上の言及は抑えてくれた。
「……なんだか二人にも複雑な事情がありそうだし、これ以上は突っ込まないでおくわ」
「あはは。助かるよ」
「誰にだって知られたくないことの1つは2つあるもの。でも、いつか私にこっそり教えてくれると嬉しいな。その時はお肉奮発してあげる」
「本当⁉ よし、センリ。貴方の秘密をカルラに打ち明けなさい!」
「酷いよリリス⁉」
それまで碌に話に参加しなかったリリスがカルラの『肉を奮発する』という発言に
目の色を変えて飛びついた。
僕の秘密よりも肉の方が重要らしく、なんだか裏切られた感覚にガックリと肩を落とした。
「はぐはぐ……べつに隠すようなことでもないでしょう」
「それは、そうだけど。でも、念の為だよ」
「貴方の故郷が露呈したところで、そこに行ける手段がないなら知っても意味ないでしょ。それに、むしろ明かした方が故郷に帰れる可能性が広がるかもしれなのよ?」
「リリスの言ってることは正論だよ。でも、今はまだ、キミ以外の誰かに教える気にはならない」
「……ふーん」
サンドイッチを頬張りながらどうでもいいような返事を返すリリス。それからリリスは口の中に入ってるものを咀嚼して飲み込むと、「ま、」と継いで、
「私はどっちでもいいわ。センリが故郷に今すぐ帰りたいならその方法を模索するし、私と一緒にいることを優先したいならとことん一緒にいるわ」
「ふふ。なら、僕の答えは決まってるよ」
「…………」
即答されるとは思ってなかったのか、リリスが面食らったように目を見開く。
そんな彼女に、僕は今、自分が何をしたのか、それを告げた。
「僕はリリスと一緒にいたい。キミとこの世界の色々な所を巡って、色んな思い出を共有したい。それが今、僕がしたいことだよ」
「――――」
こんなにも胸躍る場所で、こんなにも胸を高鳴らせてくれる人がすぐ傍にいる。始まりは歪であれど、僕がリリスと一緒にいたい気持ちに嘘偽りはない。
その感情が何なのか。答えはもう出ているけれど、でも今はまだ伝えず、この胸にそっと仕舞い込んでおく。
僕の想いを真正面から聞いたリリスは、しばらく呆けたまま、やがてぷいっとそっぽを向いてしまった。ただ、ぽつりと、彼女が何かを呟いたのはしっかりと聞き取れた。
「……あっそ。なら、とことん付き合ってる」
僕からは見えない。リリスの表情。けれど、僕たちの向かいに座る少女には吸血鬼の横顔がしっかりと見えて。
「くぅぅぅ! 甘酸っぺぇぇぇぇぇ!」
と、抑えきれない感情を爆発させるようにテーブルを叩くのだった。
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