恋人は副会長

福山ともゑ

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(12)意識し始める

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七夕祭に向けての練習が始まった。
約2ヵ月間という練習期間だが、総会に向けての練習よりマシだった。
あの3曲がなんなのかは直ぐに分かった。
昨年と一昨年の文化祭で演奏したという曲だった。
ヤスオ兄ちゃん…、いや、松岡先輩は2人だけで練習したいと言ってくるが、その間に期末試験がある。俺にとっては小遣いアップの為の大切なものだ。落とせない。
だから、断った。
俺は、その日から部活が終わると2年生に勉強教えてビームを食らわしていた。
中間と違って範囲は広いし、難しいからだ。
他の1年生は最初の内はすぐ帰宅していたが、6月も中旬になると俺と同様に2年生を捕まえて教えて貰っていた。


そんな、ある日。

ガラッ…。
 「誰だ、こんな時間までっ…」
そう言いながら入ってきた数人の男。
1年生6人と2年生2人は、一斉にドアの方を向いた。
生徒会長と宮田副会長と向井副会長と高田書記だった。
そう、生徒会役員の4人だった。

2年生2人の内、伊藤先輩は時計を見ては言ってきた。
 「あ、こんな時間だ。はい、今日は終わりっ。」
 「えー…。もうちょっとだけ…」
 「見回りの時間だよ…」
 「今のとこ、まだ納得出来てない…」

 「何やってるんだ?」
そう言いながら、生徒会長は近くに寄ってきた。
 「え?これって…」
その言葉に部長が返した。
 「1年の試験勉強です。」

 「そんなものは家に帰ってからにしろっ。」
そう言ってきたのは、宮田副会長。
でも、俺は即答した。
 「分からないところを聞いてるだけです。部活した後にね。」

 「マジメなのは良いんだけどね…」
苦笑まじりに言ってるのは、伊藤先輩だ。
 
ノボルは何かを思いついたみたいだ。
 「あっ…、4人増えたのだから、タイマンで教えて貰えるっ」
その言葉を聞き、俺達1年生は身近に居る先輩の手を握った。
俺は、すぐ側に居る宮田副会長の手を。
ノボルは、関会長の手を。
カナタは、向井副会長の手を。
アツヒコは、高田書記の手を。
ツカサは、福永部長の手を。
シンスケは、伊藤先輩の手を。

そして、俺達1年生は相手をもっと近くに引き寄せ、教えろビームを送るように睨んだ。

しばらくして会長は言ってきた。
 「仕方ないな…。10分だけだぞ。」
 「はい、お願いします。」
ヤッター!と、ノボルの声を合図に、俺は宮田副会長に数学を教えて貰った。


宮田副会長の教え方は丁寧だった。
10分間という短い時間だったが、俺の理解力は跳ね上がった。
なぜか、俺の脈拍も跳ね上がった。
…ような、気が、、した。

なにしろ、こんなに近い位置で宮田副会長の声を聞くとは思いもしなかったからだ。
それに、細くて長い指。
この指が、情熱的な音を出したりバラードを弾いたりしてるんだ…。
この、指が…。


はっ…!
な、何を考えてるんだ、俺は…。
い、今は教えて貰ってるんだ。
集中しよう、集中だ。
そう、勉強に集中だ。


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