13 / 64
(13)福山博人Side
しおりを挟む卒業した大学で、実演会がある。
その打ち合わせをするので大学に行ったのだけど、事務室の様子がおかしい。
気配が尋常ではない。
中に入るが、誰もこっちを向かない。
そこには、今田が居るので驚いたのだが、なぜ包丁を持ってるんだ?
誰かに包丁を突きつけようとしてるのか。
それを阻止すべく、間に入っていった。
だけど、結局アイツはその人物の背中に向けて包丁を投げた。
その人物は背中に包丁を投げられたにも関わらず、なんともないという表情だ。
でも、私も医者だ。
毒がないかどうかを診るために、背中を舐めていた。
いい身体つきをしていた彼は、カフェ『Home』でバイトをしていた友明だった。
分からなかった。
そういえば、少林寺と合気道をやってたな。
だから、身体つきは良いのか。
ホールで来週の打ち合わせをしてる間中、私は彼を目で追っていた。
私は、今まで知らなかった。
彼が、どこの大学なのか。
医学部だなんて、思いもしてなかったのだ。
打ち合わせが終わるまで、私は先程の彼の身体を思い出していた。
若者らしいツルツルとしていた肌。
引き締まった体躯。
舐めてしまった背中。
ああ言えばこう言う、理屈っぽいところ。
なんだが、彼のことばかりを考えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる