俺様ボスと私の恋物語

福山ともゑ

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ふと気が付くと、ひろちゃんに抱きつく感じで寝てたのに気がついた。
なにやら、尻の方に違和感を感じるが…
尻の方に手をやり、経緯を思い出そうとする。
そしたら、「痛いか?」と聞かれ素直に頷く。
お互いが初めてだったということだな、と言われて気がついた。
そうだ、この人に抱かれたんだって…

よく知りもしない人と、しかも男とだなんて…
ウーンと考えながら、対応策はないものかと悩んでいた。
そしたら、ひろちゃんの一言が聞こえてきた。  
 「最後までやってない。だから、違和感も薄れてくるだろう。
なにしろ、私はノーマルなんだよ。
男相手にしたのは、お前が初めてだ。」
 「え?それにしては、なにやらと知ってる感じでしたよね。」
そしたら、素直に頷いてくれた。
 「喬嗣がゲイだからな、色々と知識だけは教えてくれてた。」
へえ、ゲイの人と知り合いねぇ・・・。
 「大学に、鮫島喬嗣っているだろ。」
 「…サメと知り合い?」
 「従兄弟だ。」

えっ・・・。
ってことは、学長とも従兄弟って事なのか?
確か、母親はドイツ人で自分達はハーフだと言ってたよな。
なるほど、だからか。
サメと学長にひろちゃん。
龍三先生との関係が分かったよ。

んで、私はどうしよう…。
この人の事は置いといて、自分の事を考えないと。
やっぱり服は借りて帰ろう。
で、ランドリーに出してから返そうかな。
その事を言うと、ひろちゃんは「返すのはいつでも良いから」と言ってくれた。
エントランスに居るスタッフに渡してくれても構わない。
とも言われたが、手渡す方がいいと言い張ったら、連絡先を教えてくれた。


やれやれ、とにかく帰れる。
身体を起こすと、アンティークな時計が目に入る。
その時計は、短針が7を指し、長針は4と5の間を指してる。
夜かと呟いたら、私の声が聞こえたのだろう。
ひろちゃんの声が返ってきた、「朝の7時だ。」と。

え、朝?
もしかして、無断外泊?
うわっ、優人は心配してるだろうな。
ベッドから降りようとしたら、力が入らずズデッと落ちてしまった。
なんで?

ため息と共に、ひろちゃんの声が聞こえてきた。
 「うーん…。いくら違和感はそんなに無くても、初めてだから力が入らないのか」
と、のほほんと言ってくれる。

とにかく、優人に連絡しないと…
1人では動けないので、ひろちゃんを足に使ってリビングまで移動する。
そこには、財布とスマホがある。
スマホを見ると、履歴にはびっしりと優人の名前が並んでいた。
メールも入ってるので、先にメールを打つ。
すると、電話が掛かってきた。
 『お兄ちゃん、大丈夫?』
 「ああ、もう大丈夫だ。悪いな心配かけてしまった。」
 『まあ、お兄ちゃんも大人なんだからアレコレとは言わないけど、優介君も心配してたよ。』
 「そっか、優介のところにも後で行くよ。」
 『うん、そうしてあげて。それじゃ、僕はバイト行くから。』
 「ああ、気を付けてな」
電話が終わるのを見計らい、食事が出てきた。

え、この人が作ったのか?
 「簡単なモノだけど、どうぞ」と、ひろちゃんが皿を目の前に出してくれた。
焼いたトーストの上には、レタスが敷かれてあり、その上にはハムやトマトが置いてある。 
紅茶も淹れてくれてた。
 「頂きます」と言って、朝食を頂いた。


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