34 / 64
(34)福山博人Side
しおりを挟む友明からメールがあったが、仕事の為そっけない返事しか出来なかった。
だが、昨夜は夜勤だったので今日はもう上がるか。
午前の部が終わると同時に事務室に顔を出し、上がることを告げる。
車に乗ってすぐにメールした。
結果的にはスーパーで友明を拾い、マンションに行くことに。
そうだ、この際だと思い着替えを数セット持っていこう。
時々、そこから直に病院に行けばいい。
そう思うと楽しみになってきた。
買い物を済ませた友明をスーパーで乗せて、マンションに向かった。
夕食まで時間があり、シャワー浴びてきてもいいと言うので、先に浴びることにした。
夕食にはパエリアとサラダ。
少しカリカリ気味に焼けたガーリックパン。
そこに、私の持ってきたワインを飲む。
飲み過ぎると朗らかになりおしゃべりしてくる友明には、少しペースダウンしてもらおう。
すると弟の話しをしてきて、そのまま話題はお互いの好きな人という話しになった。
話しを聞いてると、どうやら好きな人はいないみたいだ。
「強いて言うなら…」と言い出したから当ててやろうと思い、遮って私の方から言ってやった。
「好きな物は勉強です、っていう言葉ではないだろうな」
この言葉に対しての返事はなく、笑って誤魔化しては私に振ってきた。
「片思いだが、好きな人はいる」
そう言うと、ビックリしていたが当然だろう。私を何歳だと思ってる?
紅茶のお代わりを貰って飲んでいたが、友明は片付けにキッチンに行ってしまった。
だが、その内に壁やら床を拭いてる感じを受けていたら、リビングの床まで拭いてる。
…え?思わず言っていた。
「大理石の床まで拭くのか?」と。
返事はすぐにきた。
「大理石とは言え、汚れは付きますから。」
なにかイラついてる?
掃除も終わり、「寝て帰られますか?」と聞かれ、持ってきたケースを見せながら言った。
「そのつもりで着替えを持ってきた。
一々着替えに戻るよりも、ここから仕事に行きたいから。」と。
そしたら、なんか顔色が明るくなったようだ。
そこで思い立った。
ああ、そうか。酒を飲んだからか。
酒を飲むと朗らかになり、おしゃべりになるが。
表情まで違ってくるのか、と気がついた。
喜怒哀楽が表情に出てくるのを見るのも、いいかも。
寝室に案内され、その部屋のクローゼットに置かせてもらう。
2ケース分をそこのクローゼットに入れていく。
「終わった」と、思わず声に出ていた。
少し話しをして、シャワーを浴びに行ってる友明を待ってる間、ベッドに横たわり軽くストレッチをして寝る準備に入る。
そうそう、忘れてはならない日課。
iPhoneの彼女を。
彼女を思いながら少し眠気がきた時に、友明が入ってきた。
湯気で少し紅くなっており、ちょっと目の毒だ。
私がじっとiPhoneを見てるのが気になったのだろう。
案の定、聞いてきた。
面白いもの、と言ってきたが「片思いの相手の写真。毎晩見ては心癒されて寝るんだ。私の日課だ。」と素直に答えた。
その時は感じなかった。
「見たい」と言ったので、見せたらジッと黙って見てる。
暫らく待ってたが、そろそろ返してもらおうと思ってたら、耳を疑う言葉を聞いた。
「削除決定」
なに?
「言っとくが、その女は現実には居ない人間だ。いつまでも昔に浸るな。」
それを聞き、私はブチ切れた。
他人が大切にして、ずっと心の支えにしてきたものを削除するだと。
何が現実には居ない人間なんだ。
いるからこそ、私は写真撮ったんだ。
お前に何が分かるっ!
相手は20代だろうが、構わず怒鳴りつけた。
そしたら、ペラペラと喋ってきた。
マルクのことを医学オタクと言うし…。
私は、マルクから聞いた言葉を思い出していた。
『ねえ、ヒロ。
今、開催されてるフェスに日本の大学から交流歌を歌いに来てる学生達がいるんだ。
初日と2日目に歌っててね、明後日の最終日にはファイナルを歌うんだ。私は最終日に聴きに行くのだけど、ヒロも聴きに来ないかい?』
それに対して「最終日なら行けるかもしれない」と返事をした。
『午後13時から18時までだから。』
間に合うかもしれないと思い、行くと約束した。
当日、17時過ぎに会場に着いたが、どこに居るのかすぐには分からなかった。
そうしてると写真を撮りますという言葉が聞こえてきて、そっちに目をやると居た。
しかも、隣には私好みの美女が立っていた。
マルクは彼女の腰に腕を絡ませたり、手を触ったりと異常なほどのボディタッチをしていた。
顔をしかめて見ていたが、チャンスだ撮ろうと思い、持ってきたカメラで撮りまくっていた。
マルクの近くにも寄って行き、そこでも撮る。そうしてると、私に気づき手を振ってくれて、彼女をこっちに振り向かせてくれた。一緒に写ってるのを数枚撮っては、マルクがこっちに来るのを、そこで待っていた。
その内の1枚を、笑顔の写真を自分のiPhoneに取り入れた。
思い出した。
そうだ、あれはセクハラだ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる