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<Chapter1>始動
<1-1>出会いと任命①
しおりを挟む「知らない天井だ・・・」
どこまで続いているのか想像もつかないほどに底の見えない天井を見上げながら、四肢を大の字に投げ出したまま青年は呟いた。
「ここは・・・どこだ・・・」
記憶のどこにもない見たことのない場所、それが青年・・・天宮 奏翔の置かれている空間だった。
図書館・・・なのか?
そう呼ぶにはあまりにも開けすぎており、手の届かないような場所にも本がずっしりと入っている本棚が、奏翔の四方を埋め尽くしていた。
だが、奏翔には図書館と考えるしかなかった・・・いや、考えられなかった。
なぜなら奏翔はつい先ほどまで、どこにでもありそうな図書館そのものにいたはずだったからだ。
「なんでこうなったんだ・・・」
未だに頭痛に揺らぐ頭を片手で押さえながら、今までの事を思い返す。
「確か・・・俺はそこで一冊の本を借り、そして外に出たら袋の中にもう一冊知らない本があって、開いたら・・・」
・・・ここにいた。
奏翔がわかる事はそれだけだった。
しかし、体を起こした奏翔が見た周りの景色は、そうやって苦悩する奏翔の頭へと追い打ちをかけるように異常だった。
本棚とは別に、山積みになった本の横に、物理現象を無視するかの如く、数々の本が浮遊していた。
全く・・・どうなってるんだ?俺の目は妄想でも見えるぐらいに進化しちまったのか?
もはや奏翔にはあざ笑う事しかできなかった。
そうして、未知としか形容できない風景をぼんやりと眺めていた奏翔の後ろから、突然、声がかけられた。
「やあ、お目覚めかい?」
声のした方へ振り返ると、そこにはどこか幼さを残した、活発そうな顔立ちの少女が立っていた。だが、その少女の顔はまるでこの世の物とは思えないほどに整っていた。綺麗すぎるという一言が似合いすぎていた。
「君は今、この場所に驚いているかい?」
色素が抜けたのではなく、地毛なのだとはっきりとわかるほどに真っ白く、長い髪をした少女は不意に奏翔へと問いかけた。
「ああ・・・かなり、思考が追いつかないほどには・・・」
見ず知らずの相手なので嘘を言っても良いのかも知れないが、特にいう必要もなく、また少女が醸し出すその不思議さに、奏翔は自然と答えていた。
「そうかい。でも、君はこの程度で驚いてはいけないよ・・・だって、これから行く世界は君の想像を遥かに超える世界だからさ」
想像を超える世界?既にこの景色だけで一杯一杯なのに・・・
「・・・どういうことだ?」
「君がこれから身を置く世界は、この程度のものではないということさ」
「身を置く世界?・・・俺は、今からどこかへ行かないといけないのか?」
「いや、その必要はないよ。もう既に世界は動き始めている。だから君がそこへ行くための何かをする必要もない・・・」
「必要もないのに何で、俺は身を置くことになるんだ?」
「それは、その世界が君を必要としているからさ」
「必要・・・?」
「そう・・・君は選ばれたのさ!そして選ばれた君がしなければならない事は、これから行く世界を救ってもらう。つまり、君にはその世界の救世主となってもらう!!」
少女から奏翔は高らかにそう宣言された。
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