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腕を斬り捨ててやる
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「男に暴力を振るったらダメ。捕まる」
「でも!」
「ねえ。わかって。我慢して。男の為なら多くの犯罪は見逃されるの。それが常識なのっ!」
「そんなのおかしいよ」
言い合っている間に母親はもう一度蹴られてしまった。立ち上がろうとすると、男を護衛している一人の女性が剣を抜いて近寄る。
「ツエル様の邪魔をしたのだ。腕を斬り捨ててやる」
冷たい目をして親子を見下ろしている。
なぜ肉を買っていただけで、こんな理不尽を受けなければいけないんだろう。おかしい。許せない。
「ダメー!」
母親を助けようとしたのか、子供が両腕を広げて間に立った。
ピクリと、剣を持っている女性の腕が動く。
危ない。と思ったときにはスキルを発動させていた。対象はレベッタさんとヘイリーさんだ。
スキルブーストがかかって驚いたようで、二人の拘束力が弱まる。
「女性を助けるのであれば、問題ないですよね」
全力で走り出す。護衛の女性は剣を振り上げたところで俺は子供を抱きしめる。間に合ったと安堵したが、危機は去っていない。
「何故、邪魔をする?」
「…………」
男だとバレてはいけないので黙って睨みつけた。
子供を後ろに回して守るように立つ。
「無視するとは良い度胸じゃないか」
嗜虐的な笑みを浮かべた女性が剣を振り下ろした。
金属音が鳴り響く。俺の頭に当たる直前で、ヘイリーさんの剣が間に入って守ってくれたのだ。
ヘイリーさんは腕を振り上げて押し返すと、護衛の女性が後ろに下がる。
母親はレベッタさんが立ち上がらせていたので、抱きかかえていた子供を向かわせた。
「お前たちッ!! 許さんッ!」
二度も邪魔されて激怒した護衛の女性の目が光った。刀身に薄いオーラが発生する。
「あれはオーラブレードのスキル。私も対抗する」
ヘイリーさんの目も光った。スキルを使ったのだろう。ブーストはかけたままだから、能力の底上げはできているはず。
「死ね!」
オーラをまとった剣で突きを放ってきたので、ヘイリーさんはラウンドシールドで受け流す。護衛の女性はバランスを崩すことなく、今度は連続して斬りつけてくるが直撃はくらっていない。全ての攻撃を回避していた。
ヘイリーさんのスキルは『動体視力強化』だと聞いていたけど、数秒先の未来を見ているように思える。事前に全ての動きを察知しているかのような動きなのだ。
「なんで当たらないっ!!」
何度も攻撃しているのに回避されて怒りが高まっているのか、護衛の女性は息が荒くなり、苛立っている。このままならヘイリーさんは勝てそうだ。
邪魔をしそうな男を見る。
肉は買い終わっているみたいで、女性に荷物持ちをさせながら戦いを見物していた。
「勝てない……」
息切れした護衛の女性は膝をついてしまう。
足の筋肉に疲労が溜まったのか動けないようだ。
これで騒動は終わりになればよかったんだが、ついに男が動き出す。
「弱い女はいらない。俺の元から離れろ」
「ツエル様! まだ私は負けていませんっ!」
護衛の女性が叫んだが、男は話を聞いていない。無視されていた。
「見苦しいわよ。さっさと消えなさい」
別の護衛が吐き捨てるように言うと、男は去って行った。
逆上して襲ってくると思っていたから意外な行動だ。
「おっと。一つ忘れてた」
男は立ち止まって振り返る。
「誰かこいつらの名前を知っているヤツはいるか?」
男が周囲に問いかけるが誰も動かない。
身内を売る人なんていないと安堵したが、護衛の女性はちがったようだ。男に耳打ちをしている。
「ヘイリーとレベッタか。有名な冒険者らしいな」
男はニヤリと口角を上げて、悪意のこもった笑顔になる。
「お前達のことは衛兵に伝えておく。顔を隠している臆病者と一緒に、後で地獄を見させてやる」
前言撤回。やっぱりコイツはクソ野郎だった。
ヘイリーの動きを見て、残りの護衛を使っても勝てないと判断し、俺のことを見逃しているように演じつつ、衛兵隊を使うことにしたのだ。
罪のない女性に暴力を振るったくせに。
俺が教育してやるか?
手を強く握りしめ、怒りに身を任せようとする。
むにゅ。
柔らかい感触が俺の頭を包み込んだ。
「落ち着いて。お姉さんは、笑っている方が好きだよ」
レベッタさんが抱き付いたのだ。
高ぶっていた感情が落ち着いていく。スキルを解除して力を抜いた。
「ありがとう。もう大丈夫です」
「よかった」
安心したのかすぐに解放してくれた。
残された護衛の女性が気になったので様子を見ると、呆然とした表情で座り込んでいる。ブツブツと何かを呟いているが俺には聞き取れない。
「可愛そうだとは思うけど、関わるのはよそうね」
「わかってます」
レベッタさんに言われなくてもわかっている。性格の悪い男に付き従い、罪のない女性を斬ろうしたのだ。同情の余地はない。放置するべきだろう。
「多分、夜ぐらいに衛兵が来ると思うけど、私たちが対応するから。安心してね」
「ごめんなさい。また迷惑をかけてしまいました」
「ううん。気にしないで良いよ。私たちもムカついていたから」
俺の行動を否定せずに全て肯定してくれる。油断したらダメ男になってしまいそうだ。レベッタさんの優しさに甘えるだけの男にはなりたくない。
「細かいことは後回しにして、家に帰ろっ!」
レベッタさんに手を引かれて歩き出す。
暴力が発生した現場を放置して良いのかな、なんて思いもしたが、ツエルは勝手に去ってしまったので問題はないだろう。
宣言されたとおり、後で衛兵の誰かが来て事情徴収される流れになるはず。その時にちゃんと、俺たちは正しいことをしたんだって伝えればいいのだ。
「でも!」
「ねえ。わかって。我慢して。男の為なら多くの犯罪は見逃されるの。それが常識なのっ!」
「そんなのおかしいよ」
言い合っている間に母親はもう一度蹴られてしまった。立ち上がろうとすると、男を護衛している一人の女性が剣を抜いて近寄る。
「ツエル様の邪魔をしたのだ。腕を斬り捨ててやる」
冷たい目をして親子を見下ろしている。
なぜ肉を買っていただけで、こんな理不尽を受けなければいけないんだろう。おかしい。許せない。
「ダメー!」
母親を助けようとしたのか、子供が両腕を広げて間に立った。
ピクリと、剣を持っている女性の腕が動く。
危ない。と思ったときにはスキルを発動させていた。対象はレベッタさんとヘイリーさんだ。
スキルブーストがかかって驚いたようで、二人の拘束力が弱まる。
「女性を助けるのであれば、問題ないですよね」
全力で走り出す。護衛の女性は剣を振り上げたところで俺は子供を抱きしめる。間に合ったと安堵したが、危機は去っていない。
「何故、邪魔をする?」
「…………」
男だとバレてはいけないので黙って睨みつけた。
子供を後ろに回して守るように立つ。
「無視するとは良い度胸じゃないか」
嗜虐的な笑みを浮かべた女性が剣を振り下ろした。
金属音が鳴り響く。俺の頭に当たる直前で、ヘイリーさんの剣が間に入って守ってくれたのだ。
ヘイリーさんは腕を振り上げて押し返すと、護衛の女性が後ろに下がる。
母親はレベッタさんが立ち上がらせていたので、抱きかかえていた子供を向かわせた。
「お前たちッ!! 許さんッ!」
二度も邪魔されて激怒した護衛の女性の目が光った。刀身に薄いオーラが発生する。
「あれはオーラブレードのスキル。私も対抗する」
ヘイリーさんの目も光った。スキルを使ったのだろう。ブーストはかけたままだから、能力の底上げはできているはず。
「死ね!」
オーラをまとった剣で突きを放ってきたので、ヘイリーさんはラウンドシールドで受け流す。護衛の女性はバランスを崩すことなく、今度は連続して斬りつけてくるが直撃はくらっていない。全ての攻撃を回避していた。
ヘイリーさんのスキルは『動体視力強化』だと聞いていたけど、数秒先の未来を見ているように思える。事前に全ての動きを察知しているかのような動きなのだ。
「なんで当たらないっ!!」
何度も攻撃しているのに回避されて怒りが高まっているのか、護衛の女性は息が荒くなり、苛立っている。このままならヘイリーさんは勝てそうだ。
邪魔をしそうな男を見る。
肉は買い終わっているみたいで、女性に荷物持ちをさせながら戦いを見物していた。
「勝てない……」
息切れした護衛の女性は膝をついてしまう。
足の筋肉に疲労が溜まったのか動けないようだ。
これで騒動は終わりになればよかったんだが、ついに男が動き出す。
「弱い女はいらない。俺の元から離れろ」
「ツエル様! まだ私は負けていませんっ!」
護衛の女性が叫んだが、男は話を聞いていない。無視されていた。
「見苦しいわよ。さっさと消えなさい」
別の護衛が吐き捨てるように言うと、男は去って行った。
逆上して襲ってくると思っていたから意外な行動だ。
「おっと。一つ忘れてた」
男は立ち止まって振り返る。
「誰かこいつらの名前を知っているヤツはいるか?」
男が周囲に問いかけるが誰も動かない。
身内を売る人なんていないと安堵したが、護衛の女性はちがったようだ。男に耳打ちをしている。
「ヘイリーとレベッタか。有名な冒険者らしいな」
男はニヤリと口角を上げて、悪意のこもった笑顔になる。
「お前達のことは衛兵に伝えておく。顔を隠している臆病者と一緒に、後で地獄を見させてやる」
前言撤回。やっぱりコイツはクソ野郎だった。
ヘイリーの動きを見て、残りの護衛を使っても勝てないと判断し、俺のことを見逃しているように演じつつ、衛兵隊を使うことにしたのだ。
罪のない女性に暴力を振るったくせに。
俺が教育してやるか?
手を強く握りしめ、怒りに身を任せようとする。
むにゅ。
柔らかい感触が俺の頭を包み込んだ。
「落ち着いて。お姉さんは、笑っている方が好きだよ」
レベッタさんが抱き付いたのだ。
高ぶっていた感情が落ち着いていく。スキルを解除して力を抜いた。
「ありがとう。もう大丈夫です」
「よかった」
安心したのかすぐに解放してくれた。
残された護衛の女性が気になったので様子を見ると、呆然とした表情で座り込んでいる。ブツブツと何かを呟いているが俺には聞き取れない。
「可愛そうだとは思うけど、関わるのはよそうね」
「わかってます」
レベッタさんに言われなくてもわかっている。性格の悪い男に付き従い、罪のない女性を斬ろうしたのだ。同情の余地はない。放置するべきだろう。
「多分、夜ぐらいに衛兵が来ると思うけど、私たちが対応するから。安心してね」
「ごめんなさい。また迷惑をかけてしまいました」
「ううん。気にしないで良いよ。私たちもムカついていたから」
俺の行動を否定せずに全て肯定してくれる。油断したらダメ男になってしまいそうだ。レベッタさんの優しさに甘えるだけの男にはなりたくない。
「細かいことは後回しにして、家に帰ろっ!」
レベッタさんに手を引かれて歩き出す。
暴力が発生した現場を放置して良いのかな、なんて思いもしたが、ツエルは勝手に去ってしまったので問題はないだろう。
宣言されたとおり、後で衛兵の誰かが来て事情徴収される流れになるはず。その時にちゃんと、俺たちは正しいことをしたんだって伝えればいいのだ。
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