死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

文字の大きさ
52 / 188

このまま男性特区の外周を回っちゃおうか

しおりを挟む
「イオちゃん! 私に付いてきてっ!」

 元気よくレベッタさんが走り出したので、僕も後を付いていく。

 ペースは速くない。僕を気づかってくれているみたいだ。

 はっ、はっ、と一定のリズムで呼吸しながらレベッタさんの背中を見続ける。最初は順調だったんだけど、すぐに疲れが出てしまった。

 立ち止まって休憩するほどじゃないけど、姿勢の維持が辛くなって視線が自然と下がる。

 お尻だ。鍛えられていて、重力に逆らうようにプリッとしている。それが二つもあるのだ。肌にぴったりと張り付くような服だから、形や柔らかさがはっきりとわかった。前後に動いていて僕を誘っている。目が、目が離せないっ!

 疲れたとか、息苦しいとか、横っ腹が痛いとか、そんなの一気に忘れてしまう。

 一心不乱にレベッタさんのお尻と見続けながら走っていると、急に近づいて背中に当たってしまった。

 突然のことで受け身はとれず、地面に倒れてしまう。

 先ほどまで僕の体を支配していた邪な感情は、視界一面に映る青空がかき消してしまった。ああ、なんて世界は美しいのだろう。

 動きが止まったことで汗が一気に噴き出て、新鮮な空気を求めて胸が大きく上下する。

「イオちゃんーーーーっ! ケガしてない!?」

 心配そうな顔をしたレベッタさんがのぞき込んできた。

 汗で髪が濡れていて、いつもより色っぽく感じてしまう。やや厚めの唇が魅力的だ。

 そういえば、メスゴブリン退治の時にキスしちゃったんだよね。

 思い出すだけでも胸がドキドキと高鳴って、全身の血液が高速で循環しているような気がする。

 母さんとは違い家族ではないし、恋人でもない。でも他人や友人よりも親しい。今はふわふわとしている。不思議な関係だ。

「大丈夫です。元気ですよ」

「良かったぁーーーっ!」

 安堵して力が抜けたみたいで、レベッタさんは地面に座り込んでしまった。

「男性特区で事件?」

「衛兵に通報した方がいいかも……」

 そういえばここは人通りの多い道だったのを思い出した。

 遠巻きで僕たちを見ている女性が数人いる。ヒソヒソと話していて、すごく注目されているのが分かった。

 魔道具の指輪で女性の見た目にしているけど、結局は幻みたいなのを見せているだけなので、触られたら男だとバレてしまう。捕まったら大変なことになるだろう。目立つのは良くない。

 慌てて立ち上がると、レベッタさんの腕を引っ張る。

「ランニング、続けましょう」

「良いの? 辛くない?」

「もっと体力を付けたいので、どんとこいです!」

「わかった! 一緒にがんばろっ!」

 同じ失敗をしたくないので、今度はレベッタさんと横に並んで走り出す。

 僕を守るために作られた男性特区は、引きこもっている間に開発が進んでいたようだ。

 男性専用ハウスと書かれている大きな建物が出来ていた。多分、住んでいる場所を隠すためのダミー用の家なんだと思うんだけど、誰が住むんだろう。高い壁があって外部からは覗けないようになっている。まるで監獄の様だと感じた。

 スカーテ王女の側近みたいに男装した令嬢か、それとも本当の男性なのか。想像がはかどって楽しくなってくる。

 他にも武器やファッションショップも新設されていて、さらにはメヌさんが使うために作ってもらった鍛冶ができる家も完成したみたい。ランニングが終わったら見に行こうかな。

「このまま男性特区の外周を回っちゃおうか」

「はい!」

 レベッタさんの提案に乗って、細い道を通り抜けて外壁エリアに入った。

 男性特区を囲むように高さ五メートルはある目隠し用の壁があった。町から完全に隔離されている。上には見張りの兵士もいて、侵入者がいないか厳重に管理していた。

 また壁を沿うように道が作られていて、ランニングコースとして人気らしい。街頭もあるので夜も走る人はいそうだ。

 外壁エリアのコースを走っていると、ランニングしている女性たちとすれ違う。

 異性の目がないからか、みんな薄着、というか下着みたいな服装だから目のやり場に困ってしまう。レベッタさんよりも普通の人たちの方が、露出度が激しいなんて思ってもみなかったぞ。

 しばらく走り続け、外壁コースの半分ぐらいを進んだところで、後ろから一人の女性が近づいてくる。

 隣にいるレベッタさんはイヤな顔をしているけど、警戒している様子はないので、知り合いが来たんだとわかった。

「やぁ。イオちゃん。頑張ってるね」

 この声はダークエルフのテレシアさんだ。後ろを見ると、艶のある長い黒髪をなびかせながら走っている姿が目に入る。

 目がキリリとしていて、衛兵団長らしい威厳を感じた。

「こんにちは、テレシアさん。お休みですか?」

「今日も男性特区を警備している。今は休憩がてら走っているだけ」

「衛兵団長が直接、警備しているんですか!?」

「大事な場所だから。当然だろ」

 ウインクされてしまった。

 カッコイイ女性だから、ものすごく似合う。

「イオちゃんは私と一緒に走ってるんですー。さっさと先に行ってくださいー!」

 文句を言っているレベッタさんを無視して、走っているテレシアさんは僕の横に来た。

 このまま一緒に走りたいらしい。

 残りの体力が少なくなって呼吸が乱れてきたので、周囲のことは忘れて走ることに専念する。

 一定のリズムで呼吸するように心がけていれば、隣にいる二人の言い争いも気にならなくなった。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

男女比1:50の世界に転生したけど、前世の感覚で普通に接してたら幼馴染も姉妹もお嬢様もみんな沼にハマっていった件 ~ダンジョンにも潜ります〜

メトト
ファンタジー
男女比1:50――この世界で男は、守られ、大切にされ、穏やかに生きることを求められる存在。 だけど蓮は違った。 前世の記憶を持つ彼には、「男だから」という枷がない。女の子にも男の子にも同じように笑いかけ、距離を詰め、気負いなく手を差し伸べる。本人にとってはただの"普通"。でもこの世界では、その普通が劇薬だった。 幼馴染は気づけば目で追っていた。姉は守りたい感情の正体に戸惑い始めた。名家のお嬢様は、初めて「対等」に扱われたことが忘れられなくなった。 そして蓮はと言えば――。 「ダンジョン潜りてえなあ!」 誰も見たことのない深淵にロマンを見出し、周囲の心配をよそに、未知の世界へ飛び込もうとしている。 自覚なき最強のタラシが、命懸けの冒険と恋の沼を同時に生み出す、現代ダンジョンファンタジー。 カクヨムさんの方で先行公開しております。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比5対1の女尊男卑の世界で子供の頃、少女を助けたら「お嫁さんになりたい!」と言って来た。まさか、それが王女様だったなんて……。

楽園
恋愛
「将来、あなたのお嫁さんになりたい」 10年前、俺は魔法の力で一人の少女を救った。 ……そして現在。ここは男女比5:1の女尊男卑の世界。 男は女に「選ばれる」ためだけの存在する。   俺、アルトは、前世の記憶と女でさえ持っていない無限の魔力を隠し、父と静かに暮らす「モブ」になるはずだった。 「待っていましたわ、アルト」 学園で再会したあの時の少女は、驚くべきことにリリアーナ王女だった。 どうやら彼女、あの日の「約束」を本気で果たしに来たらしい。 (俺の平穏なモブ生活が……!) 最強を隠したい男と、その秘密ごと彼を手に入れたい王女の、すれ違い学園ファンタジー!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

処理中です...