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このまま男性特区の外周を回っちゃおうか
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「イオちゃん! 私に付いてきてっ!」
元気よくレベッタさんが走り出したので、僕も後を付いていく。
ペースは速くない。僕を気づかってくれているみたいだ。
はっ、はっ、と一定のリズムで呼吸しながらレベッタさんの背中を見続ける。最初は順調だったんだけど、すぐに疲れが出てしまった。
立ち止まって休憩するほどじゃないけど、姿勢の維持が辛くなって視線が自然と下がる。
お尻だ。鍛えられていて、重力に逆らうようにプリッとしている。それが二つもあるのだ。肌にぴったりと張り付くような服だから、形や柔らかさがはっきりとわかった。前後に動いていて僕を誘っている。目が、目が離せないっ!
疲れたとか、息苦しいとか、横っ腹が痛いとか、そんなの一気に忘れてしまう。
一心不乱にレベッタさんのお尻と見続けながら走っていると、急に近づいて背中に当たってしまった。
突然のことで受け身はとれず、地面に倒れてしまう。
先ほどまで僕の体を支配していた邪な感情は、視界一面に映る青空がかき消してしまった。ああ、なんて世界は美しいのだろう。
動きが止まったことで汗が一気に噴き出て、新鮮な空気を求めて胸が大きく上下する。
「イオちゃんーーーーっ! ケガしてない!?」
心配そうな顔をしたレベッタさんがのぞき込んできた。
汗で髪が濡れていて、いつもより色っぽく感じてしまう。やや厚めの唇が魅力的だ。
そういえば、メスゴブリン退治の時にキスしちゃったんだよね。
思い出すだけでも胸がドキドキと高鳴って、全身の血液が高速で循環しているような気がする。
母さんとは違い家族ではないし、恋人でもない。でも他人や友人よりも親しい。今はふわふわとしている。不思議な関係だ。
「大丈夫です。元気ですよ」
「良かったぁーーーっ!」
安堵して力が抜けたみたいで、レベッタさんは地面に座り込んでしまった。
「男性特区で事件?」
「衛兵に通報した方がいいかも……」
そういえばここは人通りの多い道だったのを思い出した。
遠巻きで僕たちを見ている女性が数人いる。ヒソヒソと話していて、すごく注目されているのが分かった。
魔道具の指輪で女性の見た目にしているけど、結局は幻みたいなのを見せているだけなので、触られたら男だとバレてしまう。捕まったら大変なことになるだろう。目立つのは良くない。
慌てて立ち上がると、レベッタさんの腕を引っ張る。
「ランニング、続けましょう」
「良いの? 辛くない?」
「もっと体力を付けたいので、どんとこいです!」
「わかった! 一緒にがんばろっ!」
同じ失敗をしたくないので、今度はレベッタさんと横に並んで走り出す。
僕を守るために作られた男性特区は、引きこもっている間に開発が進んでいたようだ。
男性専用ハウスと書かれている大きな建物が出来ていた。多分、住んでいる場所を隠すためのダミー用の家なんだと思うんだけど、誰が住むんだろう。高い壁があって外部からは覗けないようになっている。まるで監獄の様だと感じた。
スカーテ王女の側近みたいに男装した令嬢か、それとも本当の男性なのか。想像がはかどって楽しくなってくる。
他にも武器やファッションショップも新設されていて、さらにはメヌさんが使うために作ってもらった鍛冶ができる家も完成したみたい。ランニングが終わったら見に行こうかな。
「このまま男性特区の外周を回っちゃおうか」
「はい!」
レベッタさんの提案に乗って、細い道を通り抜けて外壁エリアに入った。
男性特区を囲むように高さ五メートルはある目隠し用の壁があった。町から完全に隔離されている。上には見張りの兵士もいて、侵入者がいないか厳重に管理していた。
また壁を沿うように道が作られていて、ランニングコースとして人気らしい。街頭もあるので夜も走る人はいそうだ。
外壁エリアのコースを走っていると、ランニングしている女性たちとすれ違う。
異性の目がないからか、みんな薄着、というか下着みたいな服装だから目のやり場に困ってしまう。レベッタさんよりも普通の人たちの方が、露出度が激しいなんて思ってもみなかったぞ。
しばらく走り続け、外壁コースの半分ぐらいを進んだところで、後ろから一人の女性が近づいてくる。
隣にいるレベッタさんはイヤな顔をしているけど、警戒している様子はないので、知り合いが来たんだとわかった。
「やぁ。イオちゃん。頑張ってるね」
この声はダークエルフのテレシアさんだ。後ろを見ると、艶のある長い黒髪をなびかせながら走っている姿が目に入る。
目がキリリとしていて、衛兵団長らしい威厳を感じた。
「こんにちは、テレシアさん。お休みですか?」
「今日も男性特区を警備している。今は休憩がてら走っているだけ」
「衛兵団長が直接、警備しているんですか!?」
「大事な場所だから。当然だろ」
ウインクされてしまった。
カッコイイ女性だから、ものすごく似合う。
「イオちゃんは私と一緒に走ってるんですー。さっさと先に行ってくださいー!」
文句を言っているレベッタさんを無視して、走っているテレシアさんは僕の横に来た。
このまま一緒に走りたいらしい。
残りの体力が少なくなって呼吸が乱れてきたので、周囲のことは忘れて走ることに専念する。
一定のリズムで呼吸するように心がけていれば、隣にいる二人の言い争いも気にならなくなった。
元気よくレベッタさんが走り出したので、僕も後を付いていく。
ペースは速くない。僕を気づかってくれているみたいだ。
はっ、はっ、と一定のリズムで呼吸しながらレベッタさんの背中を見続ける。最初は順調だったんだけど、すぐに疲れが出てしまった。
立ち止まって休憩するほどじゃないけど、姿勢の維持が辛くなって視線が自然と下がる。
お尻だ。鍛えられていて、重力に逆らうようにプリッとしている。それが二つもあるのだ。肌にぴったりと張り付くような服だから、形や柔らかさがはっきりとわかった。前後に動いていて僕を誘っている。目が、目が離せないっ!
疲れたとか、息苦しいとか、横っ腹が痛いとか、そんなの一気に忘れてしまう。
一心不乱にレベッタさんのお尻と見続けながら走っていると、急に近づいて背中に当たってしまった。
突然のことで受け身はとれず、地面に倒れてしまう。
先ほどまで僕の体を支配していた邪な感情は、視界一面に映る青空がかき消してしまった。ああ、なんて世界は美しいのだろう。
動きが止まったことで汗が一気に噴き出て、新鮮な空気を求めて胸が大きく上下する。
「イオちゃんーーーーっ! ケガしてない!?」
心配そうな顔をしたレベッタさんがのぞき込んできた。
汗で髪が濡れていて、いつもより色っぽく感じてしまう。やや厚めの唇が魅力的だ。
そういえば、メスゴブリン退治の時にキスしちゃったんだよね。
思い出すだけでも胸がドキドキと高鳴って、全身の血液が高速で循環しているような気がする。
母さんとは違い家族ではないし、恋人でもない。でも他人や友人よりも親しい。今はふわふわとしている。不思議な関係だ。
「大丈夫です。元気ですよ」
「良かったぁーーーっ!」
安堵して力が抜けたみたいで、レベッタさんは地面に座り込んでしまった。
「男性特区で事件?」
「衛兵に通報した方がいいかも……」
そういえばここは人通りの多い道だったのを思い出した。
遠巻きで僕たちを見ている女性が数人いる。ヒソヒソと話していて、すごく注目されているのが分かった。
魔道具の指輪で女性の見た目にしているけど、結局は幻みたいなのを見せているだけなので、触られたら男だとバレてしまう。捕まったら大変なことになるだろう。目立つのは良くない。
慌てて立ち上がると、レベッタさんの腕を引っ張る。
「ランニング、続けましょう」
「良いの? 辛くない?」
「もっと体力を付けたいので、どんとこいです!」
「わかった! 一緒にがんばろっ!」
同じ失敗をしたくないので、今度はレベッタさんと横に並んで走り出す。
僕を守るために作られた男性特区は、引きこもっている間に開発が進んでいたようだ。
男性専用ハウスと書かれている大きな建物が出来ていた。多分、住んでいる場所を隠すためのダミー用の家なんだと思うんだけど、誰が住むんだろう。高い壁があって外部からは覗けないようになっている。まるで監獄の様だと感じた。
スカーテ王女の側近みたいに男装した令嬢か、それとも本当の男性なのか。想像がはかどって楽しくなってくる。
他にも武器やファッションショップも新設されていて、さらにはメヌさんが使うために作ってもらった鍛冶ができる家も完成したみたい。ランニングが終わったら見に行こうかな。
「このまま男性特区の外周を回っちゃおうか」
「はい!」
レベッタさんの提案に乗って、細い道を通り抜けて外壁エリアに入った。
男性特区を囲むように高さ五メートルはある目隠し用の壁があった。町から完全に隔離されている。上には見張りの兵士もいて、侵入者がいないか厳重に管理していた。
また壁を沿うように道が作られていて、ランニングコースとして人気らしい。街頭もあるので夜も走る人はいそうだ。
外壁エリアのコースを走っていると、ランニングしている女性たちとすれ違う。
異性の目がないからか、みんな薄着、というか下着みたいな服装だから目のやり場に困ってしまう。レベッタさんよりも普通の人たちの方が、露出度が激しいなんて思ってもみなかったぞ。
しばらく走り続け、外壁コースの半分ぐらいを進んだところで、後ろから一人の女性が近づいてくる。
隣にいるレベッタさんはイヤな顔をしているけど、警戒している様子はないので、知り合いが来たんだとわかった。
「やぁ。イオちゃん。頑張ってるね」
この声はダークエルフのテレシアさんだ。後ろを見ると、艶のある長い黒髪をなびかせながら走っている姿が目に入る。
目がキリリとしていて、衛兵団長らしい威厳を感じた。
「こんにちは、テレシアさん。お休みですか?」
「今日も男性特区を警備している。今は休憩がてら走っているだけ」
「衛兵団長が直接、警備しているんですか!?」
「大事な場所だから。当然だろ」
ウインクされてしまった。
カッコイイ女性だから、ものすごく似合う。
「イオちゃんは私と一緒に走ってるんですー。さっさと先に行ってくださいー!」
文句を言っているレベッタさんを無視して、走っているテレシアさんは僕の横に来た。
このまま一緒に走りたいらしい。
残りの体力が少なくなって呼吸が乱れてきたので、周囲のことは忘れて走ることに専念する。
一定のリズムで呼吸するように心がけていれば、隣にいる二人の言い争いも気にならなくなった。
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