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食堂に残った四人もそれぞれに食事を終え、片付けの段取りに入った。

バーナード伯爵はナタリーに礼を言って別れの挨拶をすると、エドガーとコルテオに対し、「今晩はお前たちもゆっくり休め。私に構わないでくれ」と命じ、食堂を出た。

事態を呑み込めていないナタリーだったが、コルテオに「後で説明するから」と言われると、そのまま納得し、何も聞こうとはしなかった。


エドガーがコルテオに指示を出す。


「コルテオ。お前はナタリーを家まで送ってやれ。馬車はリシャールを呼んでるから、安全に送り迎えしてくれるだろう。屋敷に帰ってきても手伝いはいらない。まっすぐ部屋に帰って寝るんだ。わかったな?」


「爺ちゃん……あの人は本当に……奥様なの?」


「その答えは……急がなくていい。いつかお前自身で見つけるんだ」



 ***



夜が明け、バーナード伯爵邸は静かな朝を迎えていた。

エドガーはバーナード伯爵がいつもの時間に食堂に来ないので、様子を見に行った。しかし、バーナード伯爵は自室にもおらず、書斎にもいない。


(ああそうか……昨晩は……特別な夜だった……)


寝室はかつて伯爵夫婦がともに使用していたが、クラリスの体調が悪くなってからは、クラリス専用の寝室のようになっていた。そのためバーナード伯爵は自室にベッドを入れて寝ていた。クラリスの死後も同様の習慣が続いていたため、エドガーも掃除以外では寝室に訪れなかった。



寝室へ向かうエドガーの足取りは、予感に重く鼓動に揺れた。


…………。


寝室の扉の前に到着したエドガーは、一度深呼吸した。



コンコンコン



ノックの音が、静寂を破る。寝室の扉の向こうからの返事を待つ間、心には希望と不安が混ざり合った。何秒かが永遠のように感じられ、彼は自分が何を期待しているのか、何を恐れているのかを自問した。この静けさが、彼の心の中で渦巻く感情をさらに強めた。



返事はなかった。
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