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ヴァネッサに抱きつかれたコルテオは天に昇るほどの気持ちになった。彼女を繋ぎ止めたという安心感と、彼女に必要とされているという満足感とが、一時的にお金の不安をかき消した。彼女の豊かで柔らかい胸がコルテオの顔にクリティカルフィットしており、コルテオはその興奮からも二重の意味で高まった。

ヴァネッサは目一杯コルテオに自分の胸を堪能させた後、静かに彼を離した。惜しむようにして抱くのをやめたコルテオは、ヴァネッサの手を取った。窓から差し込むたそがれが彼の心をいっそう赤く染めた。


「先月末に、王国展覧会に応募したんだ。もし入賞したら、画家として食べていけると思う。そうしたらおいらと結婚してくれ」夢見心地のコルテオは、ここぞとばかりにかっこつけて言った。プロポーズだった。


ヴァネッサは一瞬戸惑ったものの、感激したふりをしてコルテオに抱きついた。コルテオは再び彼女の胸の甘い香りに酔った。至福のひとときだった。


「もちろんよ。入賞したら結婚しましょうね。わたし、信じてるから!」


王国展覧会は何千倍という倍率を勝ち抜かなくては入賞できないので、絶対に無理だろうとヴァネッサは考えていた。適当に話を合わせておき、利用できるだけ利用して、あとはさよなら……。そう言い聞かせた。

(わたしはアランと幸せになる。そうよ、幸せは決して安くない。お金もかかるし、心をすり減らすことだってある。……もういまさら戻れるはずがない。コルテオから貰えるお金はすべて頂いて、もしお金がないなら上手く別れる。女としての腕の見せどころね。わたしはわたしの大好きな男と結婚するの。ああ……愛しのアラン……!)
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